30日のNYダウ工業株30種平均は3日続伸した。前日比124ドル99セント高の2万8859ドル44セントで終えた。
新型コロナウイルスによる肺炎の拡大懸念から、取引終盤までは売り優勢だった。中国では30日夜、感染者が8000人を突破したことが明らかになり、米国でもこの日、人から人への感染が初めて確認された。
世界景気の下押しリスクになるとの見方から売りが先行した。ただ、一巡後は、業績期待の高い銘柄には買いが入り、午後には上昇に転じて終えた。
米疾病対策センター(CDC)は「米国人一般への差し迫ったリスクは依然低い」との見方を表明した。午後に入り世界保健機関(WHO)が国際的な緊急事態を宣言したものの、テドロス事務局長は感染地への渡航や貿易を制限する勧告は行わないと説明。経済への影響をめぐる警戒感が和らいだことから終盤に買い戻しが入り、ダウ平均は下げ幅を244ドルまで広げる場面もあった。
29日夕に市場予想を上回る増収増益決算を発表したソフトウエアのマイクロソフトは一時上場来高値を更新した。30日発表の四半期決算で売上高が市場予想以上だった飲料のコカ・コーラも高い。
米債券市場で大幅に低下していた長期債利回りが午後に下げ幅を縮小し、利ざや悪化懸念がやや後退した金融のゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースが上げに転じた。午後に原油先物相場が下げ幅を縮小したのを受け、石油のエクソンモービルやシェブロンも上昇した。
世界景気の重荷になるとみて、業績が景気の影響を受けやすい化学のダウや中国での生産や販売比率が高いスポーツ用品のナイキなどが下落した。
セクター別では、ソフトウェア・サービスや食品・飲料・タバコが上昇する一方で、メディアや医薬品・バイオテクノロジーが軟調。
ナスダック総合株価指数も3日続伸し、前日比23.770ポイント(0.3%)高の9298.934で終えた。29日夕に市場予想を上回る四半期決算を発表した電気自動車(EV)のテスラは10%高だった。一方、29日夕に発表した四半期決算でコスト増が嫌気されたSNS(交流サイト)のフェイスブックは6%下落した。
NYダウ工業株30種(ドル)
28,859.44+124.99
S&P500種
3,283.66+10.26
ナスダック
9,298.934+23.770
NY金(ドル/トロイオンス)
1,570.40+0.60
NY原油(ドル/バレル)
52.95-0.3830日 16:59
円・ドル
108.94 – 108.95+0.08
【シカゴ日本株先物概況】
30日のシカゴ日経平均先物は小幅に続落した。
世界的な新型肺炎の感染拡大で景気悪化を懸念する売りが先行した。売り一巡後は米株とともに反発に転じ下げ渋った。30日に新型肺炎の緊急事態を宣言した世界保健機関(WHO)が「中国への渡航や貿易の制限などは必要ない」と判断したため投資家心理が改善した。
3月物は前日比50円安の2万3195円で引け、30日の大取終値を225円上回った。
この日の3月物安値は2万2820円、高値は2万3285円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
23195 ( +225 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
23210 ( +240 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7381.96(-101.61)
30日のFTSE100種総合株価指数は大幅に反落した。前日の終値に比べ101.61ポイント安の7381.96で引けた。終値としては2019年12月中旬以来の安値となった。
構成銘柄の約7割が下落した。
新型肺炎の感染が広がっていることを受け、世界経済への悪影響を懸念した売りが優勢だった。午後に米株市場で株安が進むと、英株も下げ幅を広げた。またイングランド銀行(英中銀)が政策金利を据え置いたことを受けて、外国為替市場でポンドが上昇し、多国籍企業銘柄に売りが広がったことも相場の重荷になった。通信株のほか、資源株や旅行関連株の下げも目立った。
個別銘柄では、減益決算を発表したロイヤル・ダッチ・シェルはA株(4.4%安)、B株(3.7%安)とも大幅に下落したことも響いた。通信のBTグループも7.4%と大幅安だった。決算が悪化したことで複数のアナリストが目標株価を引き下げたことが売り材料になった。ポンド高が業績を圧迫するとの見方から時価総額の大きい医薬品株やたばこ株、酒類のディアジオなどの多国籍企業が軒並み下落した。
一方で、住宅建設株は買いが優勢だった。日用品・食品大手ユニリーバは2.0%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13157.12(-187.88)
30日のドイツ株式指数(DAX)は大幅反落した。終値は前日と比べて187.88ポイント安の13157.12だった。
新型肺炎の拡大懸念を材料に23日以降、株価指数は大幅な上げ下げが続いている。
個別では、フォルクスワーゲン(VW)や医療機器のフレゼニウスを筆頭にほぼ全ての銘柄が下落。上昇したのはドイツ銀行だけだった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5871.77(-83.12)
欧州の主要株式市場も総じて大幅に下げた。フランスの株価指数CAC40は1%以上、下落した。
