29日のNYダウ工業株30種平均は前日比11ドル60セント高の2万8734ドル45セントと続伸で終えた。
業績の改善期待から買いが先行した。米連邦準備理事会(FRB)による緩和政策の長期化観測も相場の支えとなったが、取引終了にかけて伸び悩んだ。金融株や石油株の下落が相場の重荷となった。
スマートフォンのアップルが28日引け後に発表した2019年10~12月期決算は、スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の新モデルの販売が好調で、売上高、純利益ともに2年ぶりに過去最高を更新した。
また、ボーイングが29日発表した19年12月通期決算は、墜落事故が相次いだ新型旅客機「737MAX」の運航停止の影響で、純損益が22年ぶりの赤字に転落。しかし、関連コストの見積もりは市場の想定を下回った。こうした主力企業の決算内容を好感した。
FRBが午後、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を発表した。声明で消費の伸びについて「力強いペース」から「穏やかなペース」に変え、景気認識をやや弱めたと受け止められた。金融緩和が長引くとの見方から株価は一段高となり、ダウ平均の上げ幅は一時180ドルを超えた。
ただ、パウエル議長の記者会見が始まると上値が重くなった。世界景気に慎重な発言が相次ぎ、米長期金利が一段と低下。金融株が下落して相場の重荷となった。
新型肺炎の感染拡大への警戒感は続いており、原油先物相場の下落に伴いエクソンモービルなど石油株が下げた。アメリカン航空グループが中国便の一部の運航を停止するとも伝わり、世界景気の先行き不透明感が意識された。
セクター別では、テクノロジー・ハード・機器や運輸が上昇する一方で、電気通信サービスや半導体・半導体製造装置が軟調だった。
ナスダック総合株価指数は前日比5.483ポイント高の9275.164で終えた。フェイスブックやマイクロソフト主力ハイテク株が上昇した。ただ、前日夕に四半期決算とあわせて発表した1~3月期の見通しが市場予想に届かなかったアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が大幅に下げ、半導体株全般に売りが広がった。
NYダウ工業株30種(ドル)
28,734.45+11.60
S&P500種
3,273.40-2.84
ナスダック
9,275.164+5.483
NY金(ドル/トロイオンス)
1,569.80-7.60
NY原油(ドル/バレル)
53.06-0.42
円・ドル
109.03 – 109.04-0.06
【シカゴ日本株先物概況】
29日のシカゴ日経平均先物は反落した。
注目のFOMCでは、大方の予想通り政策金利が据え置かれた。雇用拡大や家計支出の増加を理由に足元の米景気に一定の自信を示したが、弱含むインフレや海外動向を見極めたいとの思惑から、今後も政策金利の据え置きを示唆した。
新型肺炎の感染拡大による景気への影響を懸念が相場を下押した。世界の航空会社が相次いで中国便の一部運航休止を決め、企業への影響が意識された。
3月物は前日比95円安の2万3245円で引け、29日の大取終値を115円下回った。
この日の3月物安値は2万3185円、高値は2万3395円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
23245 ( -115 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
23250 ( -110 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7483.57(+2.88)
29日のFTSE100種総合株価指数は小幅続伸した。前日の終値に比べ2.88ポイント高の7483.57で引けた。構成銘柄の6割近くが上昇した。
米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控えて小動きだった。新型肺炎は感染拡大が続いているが、株式市場の反応は乏しかった。
新型肺炎の拡大懸念が根強く、日中を通して取引は低調だった。買いが先行して始まったが、午後は上げ幅を縮小し、前日終値付近で一進一退した。
時価総額の大きい医薬品株が買われ、相場を下支えした。感染症対策などの需要増を期待した買いが入ったようだとの指摘があった。保険株とたばこ株も上げた。石油株は朝方から売られ、指数の重荷になった。
個別銘柄では、航空機エンジン製造大手ロールス・ロイスが3.4%高と締まったほか、製薬大手グラクソ・スミスクラインも1.2%高と堅調。一方、航空のインターナショナル・エアラインズ・グループは、一時上昇する局面もあったが、結局小幅安となった。傘下の英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)が29日に中国本土と英国間の直行便を休止すると発表した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13345.00(+21.31)
29日のドイツ株式指数(DAX)は続伸した。終値は前日と比べて21.31ポイント高の13345.00だった。
個別では、不動産のボノビアや航空エンジン大手のMTUエアロ・エンジンズの上げが目立った。フォルクスワーゲン(VW)など自動車関連株は売りが優勢だった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5954.89(+29.07)
欧州の主要株式市場も総じて上昇した。フランスの株価指数CAC40では、次期最高経営責任者(CEO)の人事を発表した自動車のルノーが1%超、上げた。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは下落した。
