NYダウ続落879ドル安、新型肺炎拡大を懸念

 
25日のNYダウ工業株30種平均は連日で大幅に下落し、前日比879ドル44セント安の2万7081ドル36セントで終えた。
 
朝方は小幅上昇して寄り付いたものの、新型コロナウイルスの感染拡大が、ハイテク企業や製造業のアジアでのサプライチェーンに影響を与えるとの見方から下落に転じた。米疾病対策センター(CDC)がコロナウイルスの米国での流行を警告すると、投資家のリスク選好姿勢が一段と後退し大幅続落となった。ダウ平均はずるずると下落し、下げ幅は一時963ドルに達した。
 
ダウ平均は24日にも1031ドル下げており、2日間の下げ幅は1911ドルとなった。連続した2営業日の下げ幅では2018年2月2日と5日の1840ドルを抜いて過去最大となった。
 
米疾病対策センター(CDC)は25日、米国内で感染がまん延した場合に備え、教育機関や企業に特別な対策を講じるように呼びかけた。トランプ米大統領は25億ドル規模の緊急予算措置を議会に要請する方針を示した。米国で感染が拡大すれば、景気や企業業績への影響は避けられないと受け止められた。
 
投資家の警戒感の高まりは米株の変動性指数(VIX)の上昇でも明らかだ。別名「恐怖指数」と呼ばれ、市場心理を測る指標となるVIXは2割上昇し、一時は30台と18年12月以来の高水準をつけた。終値でも28弱で高止まりした。同指数は20を超えると不安心理が高まった状態とされる。
 
市場関係者は「新型肺炎患者の増加ペースが鈍り、ピークが見えてこなければ、株価の戻りは期待できない」と指摘。一方で「長期金利が大きく低下し、利下げ期待が高まっている。米国や中国から何らかの景気下支え策が出れば、株安の流れを変えるきっかけになる」との見方を示した。
 
セクター別では全面安となり、特に運輸や銀行の下落が目立った。
 
個別では、新型コロナの影響で1~3月期の売上高見通しを下方修正したクレジットカードのマスターカードが下落し、同業のビザとアメリカン・エクスプレスが連想売りで大きく下げた。米長期金利の指標となる10年物国債利回りが一時1.31%と過去最低水準を付け、利ざや縮小観測からJPモルガン・チェースなど銀行株も売られた。
 
業績が景気の影響を受けやすい資本財株の下げも目立った。航空機・機械のユナイテッド・テクノロジーズや機械のゼネラル・エレクトリック(GE)は5%安。スマートフォンのアップルや、中国売上高が大きい半導体株も大幅安となった。
 
ナスダック総合株価指数は4日続落し、前日比255.667ポイント安の8965.613と、18年12月末以来2カ月ぶりに9000を割って終えた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
27,081.36-879.44
S&P500種
3,128.21-97.68
ナスダック
8,965.613-255.667
NY金(ドル/トロイオンス)
1,676.60+27.80
NY原油(ドル/バレル)
50.04-1.39
円・ドル
110.16 – 110.17-0.55

 


【シカゴ日本株先物概況】

25日のシカゴ日経平均先物は続落した。
新型コロナウイルスの感染拡大が米国でも広がる可能性が意識され、景気悪化を警戒する売りが続いた。米疾病対策センター(CDC)高官は25日、新型コロナの米国内のまん延に備える必要性があると述べ、投資家心理を冷やした。

3月物は前日比100円安の2万2065円で引け、同限月物終値ベースで19年10月14日以来、約4カ月ぶりの安値を連日更新した。25日の大取終値を605円下回った。
この日の3月物安値は2万1890円、高値は2万2730円。
 
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
22065 ( -605 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
22080 ( -590 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7017.88(-138.95)
25日のFTSE100種総合株価指数は4日続落し、前日の終値に比べ138.95ポイント安の7017.88と、2019年1月末以来およそ13カ月ぶりの安値で引けた。
午後には下げ幅を広げた。4銘柄を除くすべての銘柄が下落した。指数構成銘柄全体の96%が下落した。
 
新型肺炎の感染が欧州にも拡大し、投資家のリスク回避姿勢が強まった。英国株は連日の大幅安で、他の欧州株も軒並み崩れた。幅広い銘柄が売られるなか、石油と銀行、医薬品株の下落が株価指数の下げに大きく影響した。
 
主な個別銘柄では、前日に引き続き旅行関連株が売られた。クルーズ運航のカーニバルは6%近く下げた。旅行のTUIと航空のイージージェットの下げも大きくなった。航空・防衛機器のメギットは5%超の下落。米ボーイングの小型機「737MAX」の生産停止と新型コロナの悪影響で、2020年の業績は伸び悩むとの見通しを示したことが売り材料となった。
 
一方、総合ヘルスケアのNMCヘルスと配送のブンズル、教育事業のピアソンは上昇した。保険のプルーデンシャルも上げた。同社に対し、物言う株主(アクティビスト)のヘッジファンドが米国とアジアの事業を切り離すよう求めた。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12790.49(-244.75)
25日のドイツ株式指数(DAX)は4日続落し、終値は前日と比べて244.75ポイント安の12790.49と、2019年10月下旬以来およそ4カ月ぶりの安値だった。1銘柄を除くすべての銘柄が下落した。
 
新型コロナウイルスの感染拡大による世界景気の下振れが引き続き懸念され、欧州各国の株式相場が下落した。
 
個別では、タイヤのコンチネンタルと、航空エンジン大手のMTUエアロ・エンジンズ、保険のアリアンツの下げが目立った。上昇したのは、半導体のインフィニオンテクノロジーズだけだった。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5679.68(-112.19)
フランスの株価指数CAC40の終値が前日に比べて2%近く下落し、19年10月下旬以来およそ4カ月ぶり安値だった。
 

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