14日のNYダウ工業株30種平均は小幅に続伸し、前日比32ドル62セント高の2万8939ドル67セントで終えた。
この日好決算を発表した企業JPモルガン・チェースなど米銀行大手の好決算を受け、買いが優勢となった。NYダウ、ナスダックとも一時取引時間中の最高値を更新した。ただ、午後に入り、米政府が発動済みの対中制裁関税が今秋の米大統領選後まで維持される公算が大きいと報じられると、米中関係や米経済への影響を嫌気した売りで小幅に下げに転じる場面もあった。
JPモルガンの2019年10~12月期決算は、1株利益や純営業収益が市場予想以上に増えた。同業のシティグループの決算も市場予想を上回り、株価は過去1年(52週)高値を更新した。デルタ航空も米国内の旅客増で好決算となった。米企業業績への楽観論につながり、ダウ平均は上げ幅を一時147ドルまで広げた。
午後に入ると相場が軟調になる場面があった。米ブルームバーグ通信が、米中が貿易協議の「第1段階」の合意文書に署名しても「米政府は大統領選後までは追加関税を引き下げない」と報じた。13日に米政府が中国の「為替操作国」の指定を解除し、両国の対立が和らぐとの期待が広がっていただけに、米中摩擦の不透明感が意識された。
最近の相場上昇をけん引してきたハイテク株は利益確定売りに押された。GAFA(アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)は軒並み1%前後下げた。ソフトウエアのマイクロソフト、半導体のエヌビディアも安い。
また、訴訟関連費用が重しとなったウェルズ・ファーゴは1株当たり利益が市場予想を下回り、売りを浴びた。
市場関係者は「報道を受けて今後の米中協議進展への懸念が広がったほか、この日発表された決算もまちまちだったため、上値が重かった」と指摘した。
セクター別では、耐久消費財・アパレルや医薬品・バイオテクノロジーが上昇する一方でテクノロジー・ハード・機器やソフトウェア・サービスが軟調。
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比22.603ポイント安の9251.329で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
28,939.67+32.62
S&P500種
3,283.15-4.98
ナスダック
9,251.329-22.603
NY金(ドル/トロイオンス)
1,550.60-9.50
NY原油(ドル/バレル)
58.10+0.02
円・ドル
109.98 – 109.99±0.00
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は小幅続伸した。
3月物は前日比40円高の2万3980円で引け、同限月物終値ベースで約1カ月ぶりの高値をつけた。14日の大取終値を20円下回った。
米銀行の好決算を手掛かりにNYダウ工業株30種平均が続伸し、日経平均先物に買いが波及した。午後に入り伸び悩んだ。
米メディアが米国は対中追加関税を大統領選後まで維持すると伝えたため、15日の米中貿易協議の「第1段階」合意調印を前に強まっていた米中関係の改善観測がやや後退した。この日の3月物高値は2万4025円、安値は2万3840円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
23980 ( -20 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
24000 ( 0 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7622.35(+4.75)
14日のFTSE100種総合株価指数は小幅続伸した。前日の終値に比べ4.75ポイント高の7622.35で引けた。上昇、下落の銘柄数は拮抗した。
上昇して始まったあと、石油株の売りなどで一時下落する場面があった。米中貿易協議の「第1段階」合意署名を控え、米国が中国を「為替操作国」から解除し、米中対立の緩和に期待感が広がった。ただ、ポンド高もあって上値は重かった。
個別銘柄では、NMCヘルスは午後に入り上げ幅を広げ、10%超高で引けた。同社は昨年12月中旬以降から株価の変動が激しく、この日は米金融大手ゴールドマン・サックスが1月にNMC株の保有比率を引き上げたと伝わったことなどを手掛かりに買われた。
住宅建設株も軒並み上げた。好調な決算を発表したテイラー・ウィンピーが高く、他の銘柄にも買いが波及した。
半面、石油株と鉱業株の一角に売りが出た。なかでもロシアの鉄鋼大手エブラズが4.2%安と値下げが目立った。広告大手WPPも2.2%安保険株と銀行株も売りに押された。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13456.49(+4.97)
14日のドイツ株式指数(DAX)は小幅ながら3営業日ぶりに反発した。終値は前日と比べて4.97ポイント高の13456.49だった。
個別では、前日に続きオンライン決済サービスのワイヤーカードが大幅上昇した。ドイツ銀行や医薬・化学大手のメルクは値ごろ感から買われた。
一方で医療機器のフレゼニウスの下げが目立った。最高経営責任者(CEO)が2020年の利益見通しに慎重な姿勢を示したことが響いた。電力のRWEは利益確定の売りで下落した。自動車のダイムラーとBMWは続落した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6040.89(+4.75)
