3日のNYダウ工業株30種平均は3日続落し前日比280ドル23セント安の2万7502ドル81セントと11月6日以来ほぼ1カ月ぶりの安値で終えた。最近3営業日での下げ幅は600ドルを超えた。
トランプ米大統領は3日、訪問先のロンドンで米中貿易協議の合意について「期限は設けていない」と述べ、来年秋の米大統領選の後に結論を持ち越す可能性を示唆。年内に目指していた協議「第1段階」の合意文書の署名が大幅にずれ込むとの不安が高まり、米株式市場では取引開始から売りが広がった。
米中の合意先送り懸念で、米政府が15日に中国製品のほぼすべてに対象が広がる制裁関税「第4弾」の発動に踏み切るとの見方も広がった。建機のキャタピラーや工業製品・事務用品のスリーエム(3M)など中国関連を中心に幅広い銘柄に売りが広がった。
スマートフォンのアップルに加え、半導体のインテルやマイクロン・テクノロジーなどの下げも目立った。
2日にトランプ大統領がブラジルやアルゼンチンから輸入する鉄鋼などに追加関税を課す考えを示したほか、米通商代表部(USTR)が24億ドルの仏製品に最大100%の制裁関税を検討すると発表したのも相場の重荷だった。
投資家心理の悪化を受けて相対的に安全資産とされる米国債が買われ、米長期金利の指標となる10年物国債利回りは一時ほぼ1カ月ぶりの低水準を付けた。利ざやが悪化するとの見方からゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースといった金融株も売られ、指数を押し下げた。
ダウ平均は午前中に下げ幅を457ドルまで広げる場面があったが、売り一巡後は下げ渋った。年末商戦の好調が伝わるなど、米景気は底堅く推移しており、押し目買いも入って相場を下支えした。
市場では第4弾の発動は米中両国の経済に深刻な影響を及ぼすために最終的には回避されるとの見方も根強く、「大統領の発言も中国に圧力を加えるための駆け引きの一環と信じたい」との声も聞かれた。
セクター別では、不動産や公益事業が上昇する一方で運輸や半導体・半導体製造装置が下落した。
ナスダック総合株価指数は前日比47.344ポイント(0.6%)安の8520.643で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
27,502.81-280.23
S&P500種
3,093.20-20.67
ナスダック
8,520.643-47.344
NY金(ドル/トロイオンス)
1,469.20-3.50
NY原油(ドル/バレル)
56.28+0.32
円・ドル
108.62 – 108.63-0.47
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は3日続落した。
12月物は前日比80円安の2万3135円で引け、3日の大取終値を195円下回った。
貿易戦争への懸念が広がり、株式相場は売りが優勢だった
米中貿易協議の長期化への警戒感が広がり、投資家心理が悪化した。トランプ米大統領は3日、米中貿易合意について来年11月の米大統領選後まで待っても良いとの見解を示した。米中貿易協議の先行き不透明感からリスク資産である米株が売られ、日経平均先物も下げた。
この日の12月物安値は2万2900円、高値は2万3385円。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
23135 ( -195 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
23135 ( -195 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7158.76(-127.18)
FTSE100種総合株価指数は大幅に4日続落した。前日の終値に比べ127.18ポイント安の7158.76で引けた。
米株式市場の株安に伴い、午後に入り英株相場は下げ幅を広げた。資源株や金融株を中心に構成銘柄の9割が下落した。
貿易戦争への懸念が広がり、株式相場は売りが優勢だった。訪英中のトランプ米大統領が米中貿易協議について「合意は2020年の大統領選後の方が良いかもしれない」と指摘。
中国との貿易協議の合意に関して「期限は設けていない」などと交渉の先送りを示唆するような発言をしたことで協議の進展期待が後退した。投資家が運用リスクをとりにくくなるとの見方から売りが膨らんだ。
個別銘柄では、ロシアの鉄鋼大手エブラズが7%超安と大幅に下げた。石油株も売られた。銀行株をはじめ金融株にも売りが出た。米欧の長期金利が下落し利ざや縮小が意識された。外国為替市場でのポンド高を受けて医薬品株などの多国籍企業への売りも目立った。
半面、リスク回避の買いで金相場は上昇したことから関連のフレスニージョは2.0%高とロシアの金銀生産大手のポリメタル・インターナショナルは上げた。景気動向に左右されにくいとされる公益株も堅調だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12989.29(+24.61)
ドイツ株式指数(DAX)は4営業日ぶりに反発した。終値は前日と比べて24.61ポイント(0.19%)高の12989.29だった。
航空エンジン大手のMTUエアロ・エンジンズが大幅上昇し、相場をけん引した。複数のアナリストが投資判断などを引き上げたことを材料に買われた。オンライン決済サービスのワイヤーカードの上げも目立った。一方で欧州の長期金利低下を受けてドイツ銀行が安かった。自動車株も売りに押された。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5727.22(-59.52)
フランスの株価指数CAC40が下落した。2日夕に、フランスの米IT(情報技術)企業へのデジタルサービス課税は不当とし、米国側が仏製品に制裁関税を検討していると発表したことで投資家心理が悪化した。
