10月31日のNYダウ工業株30種平均は、米中貿易協議での合意に懐疑的な見方が広がる中、反落した。前日比140ドル46セント安の2万7046ドル23セントで終えた。
米ブルームバーグ通信は、米中貿易協議をめぐり、中国政府当局者が包括的な長期の合意に達することに疑問を呈していると報じた。トランプ米大統領はツイッターへの書き込みで「第1段階」の合意に改めて前向きな姿勢を示したものの、市場では協議の先行きに対する楽観的なムードが後退。「中国関連」とされる建機のキャタピラーや工業製品・事務用品のスリーエムに売りが出た。前日に約1カ月半ぶりの高値をつけたことで利益確定売りも出やすかった。
また、この日米シカゴ購買部協会が10月31日発表した10月の景気指数は43.2と2カ月連続で景気の拡大と縮小の節目を示す50を割り込み、3年10カ月ぶりの低水準まで下げた。製造業を中心に米景気の減速懸念が強まったことも売り材料となった。
一方、前日引け後に市場予想を上回る良好な決算を発表したアップルが買われ指数を下支えした。2019年7~9月期決算が市場予想を上回り、目標株価の引き上げが相次いだ。同じく7~9月期決算が予想を上回ったフェイスブックも上昇した。
セクター別では、テクノロジー・ハード・機器や公益事業が上昇する一方で運輸や素材が下落した。
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比11.615ポイント安の8292.360で終えた。米中の貿易協議への懸念が再燃し、半導体関連銘柄が売られた。
NYダウ工業株30種(ドル)
27,046.23-140.46
S&P500種
3,037.56-9.21
ナスダック
8,292.360-11.615
NY金(ドル/トロイオンス)
1,514.80+18.10
NY原油(ドル/バレル)
54.11-0.07
円・ドル
108.00 – 108.01-0.60
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は下落した。
米メディア報道を手掛かりに米中貿易協議の先行き警戒感が広がり、投資家心理が悪化した。ブルームバーグ通信は31日、複数の中国高官が米中貿易協議について「包括的で長期的な合意を疑問視している」と報じた。報道を受け米中貿易協議の部分合意への期待が後退した。
12月物は前日比210円安の2万2720円で引け、31日の大取終値を230円下回った。この日の12月物安値は2万2650円、高値は2万2980円。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
22720 ( -230 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
22730 ( -220 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7248.38(-82.40)
FTSE100種総合株価指数は投資家のリスクオフを受けて大幅に反落した。
前日の終値に比べ82.40ポイント安の7248.38で引けた。構成銘柄の約6割が下落した。日中を通して安値圏で推移した。欧州株は米中貿易協議をめぐる懸念を背景に売りが出た。時価総額の大きい石油株の下落が株価指数の下げに大きく影響した。
個別銘柄では、ロイヤル・ダッチ・シェルが4%超下がった。第3四半期に減益となったほか、「低調なマクロ経済によって、自社株買いの計画達成に不透明感が出ている」と声明で指摘したことが手掛かりとなった。同業のBPの下げも目立った。医療機器のスミス・アンド・ネフューは第3四半期の増収を発表したものの、3%超下落した。銀行株も下がった。ロイズ・バンキング・グループは、第3四半期の税引き前利益が市場予想を下回ったことが嫌気され売られた。医薬品株も下がった。
一方、金相場の上昇で関連のフレスニージョは2.6%高と買われた。通信のBTグループは、上期の業績が自社予想の水準に達したと発表し上昇した。航空のインターナショナル・エアラインズ・グループも上がった。パイロットのストライキが業績に悪影響を与えたものの、第3四半期の営業利益が市場予想の水準に達した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12866.79(-43.44)
ドイツ株式指数(DAX)は3日続落した。終値は前日と比べて43.44ポイント安の12866.79だった。
30日の米利下げを受けて欧州株は上がって始まった。午前に、米中の貿易協議をめぐり中国が米政権との長期交渉での合意を疑問視していると伝わると、各国とも下落に転じるか上げ幅が縮まった。ただ、午後には一部買い戻された。
個別では、半導体のインフィニオンテクノロジーズとドイツ銀行の下落が目立った。医薬・農薬大手のバイエルは3%超上がった。アナリストが株価目標を引き上げた電力のエーオンも買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5729.86(-36.01)
