NYダウ112ドル安と続落、米中合意に悲観的な見方

 
20日のNYダウ工業株30種平均は香港情勢をめぐる米中の緊張の高まりが両国の貿易協議の妨げになるとの懸念が強まり、続落した。前日比112ドル93セント安の2万7821ドル09セントで終えた。
 
米中貿易協議が難航しているとの報道が相次ぎ、投資家心理が悪化した。中国関連とされる銘柄を中心に売りが広がった。
 
香港情勢をめぐる米中の対立が重しとなり、株価は寄り付きから下落。さらに、午後に入りロイター通信が、通商専門家やホワイトハウスに近い関係筋の話として、米中協議の「第1段階」の合意が来年に後ずれする可能性があると報じた。これを嫌気し、ダウは一時約258ドル安まで値を下げた。
 
米議会上院が19日に香港の民主主義を支援する「香港人権・民主主義法案」を可決した。内政干渉に当たるとして中国政府が反発しているのも、米中協議に悪影響を及ぼすと懸念された。米中協議の不透明感からアップルや工業製品・事務用品のスリーエム(3M)、建機のキャタピラーなど、中国売上高比率が高い銘柄が幅広く売られた。
 
米連邦準備理事会(FRB)が午後2時、10月に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表すると、下げ幅を縮めた。大半の参加者が「経済に関するデータが経済見通しの大幅な見直しを必要としない限り(現在の政策スタンスが)続くだろう」とみていたことがわかった。市場ではFRBの低金利政策が続くと受け止められた。
 
株価は終盤に下げ幅をやや縮めた。日系証券関係者は「米議会による法案可決は単に象徴的なもの。米中両政府が協議決裂を回避するとの見方に支えられ、株価が大きく値崩れしなかった」との見方を示した。
 
航空機のボーイングは1%強上昇した。中東の大手航空会社エミレーツ航空から中型機「787」を30機を受注したと20日に発表した。原油高を受けて石油のシェブロンやエクソンモービルが上昇したのもダウ平均を下支えした。
セクター別では、エネルギーや公益事業が上昇する一方で自動車・自動車部品や運輸が下落した。
 
ナスダック総合株価指数は4営業日ぶりに反落し、前日比43.926ポイント安の8526.732で終えた。アップルやフェイスブック、アルファベットなど主力株が軒並み下げた。マイクロン・テクノロジーやクアルコムなど半導体株も売りが優勢だった。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
27,821.09-112.93
S&P500種
3,108.46-11.722
ナスダック
8,526.732-43.926
NY金(ドル/トロイオンス)
1,474.30+2.40
NY原油(ドル/バレル)
56.91+1.70
円・ドル
108.61 – 108.62+0.18

 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は続落した。
12月物は前日比110円安の2万3135円で引け、20日の大取終値を5円下回った。
米中貿易協議が難航するとの懸念が広がり投資家心理が悪化した。米メディアが20日、ホワイトハウスに近い関係者の話として年内の米中貿易協議の第一段階合意が来年にずれ込む可能性を報じた。
また、米議会が19日に香港の民主主義を支援する法案を可決したことに中国政府が反発し、米中関係の悪化見通しも強まった。
 
この日の12月物安値は2万3015円、高値は2万3295円。

シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
23135 ( -5 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
23145 ( +5 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7262.49(-61.31)
FTSE100種総合株価指数は米中貿易協議の先行き不透明感を嫌気して全面安の展開となった。前日の終値に比べ61.31ポイント安の7262.49と4営業日ぶりに反落した。
構成銘柄の9割近くが下落した。午後に下げ幅はやや縮まった。
 
米議会上院が19日に「香港人権・民主主義法案」を可決したのを受けて米中関係の悪化が懸念され、幅広い銘柄に売りが出た。石油と医薬品株の下落が株価指数の下げに大きく影響した。
 
個別銘柄では、小売りのキングフィッシャーは第3四半期の減収が響いて、7%下がった。総合保険のアヴィヴァも3%超下落した。同社は20日に5部門の再編などを含む事業戦略を発表したが、市場予想よりも小規模にとどまったことが売りの手掛かりとなった。ソフトウエア開発のセージ・グループも通期の営業利益が大幅に縮小したことが嫌気され、約3%下落した。上期の増益を発表した総合公益会社のユナイテッド・ユーティリティーズ・グループも売られた。銀行と保険株の下げも目立った。
 
一方、英投資信託スコティッシュ・モーゲージ・インベストメント・トラストは1.7%高と買われた。衣料小売りと食品事業のアソシエーテッド・ブリティッシュ・フーズはそれぞれ上昇した。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13158.14(-62.98)
ドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前日と比べて62.98ポイント安の13158.14だった。
米中の対立激化が懸念され、朝方から売りが優勢となった。
 
個別では、オンライン決済サービスのワイヤーカードが3%超下がった。同社のシンガポール部門の2017年の監査について、監査法人EYが証明を拒否したと、一部で報じられたことが材料となった。航空のルフトハンザの下げも目立った。
一方でハイデルベルクセメントは買われた。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5894.03(-15.02)

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