21日午前の日経平均株価は続落した。前日比276円54銭安い2万2872円03銭で前場を終え、取引時間ベースで心理的節目の2万3000円を1日以来およそ3週間ぶりに下回った。
米中関係の悪化や貿易協議の先行き不透明感が嫌気された。アジア株が総じて軟調だったことも投資家心理を悪化させ、先物主導で大きく売り込まれる形となった。
米議会下院は20日、上院に続き香港人権・民主主義法案を賛成多数で可決。米ブルームバーグ通信は同日に「トランプ大統領は同法案に署名する見通し」と報じた。中国側は、法案が成立した場合の報復措置を示唆する中、日本株にも米中関係の悪化を懸念した売りが膨らんだ。
両国間の貿易交渉を巡る不透明感も意識され、日経平均の下落幅は一時400円超まで拡大した。ロイター通信は20日に関係者の話として米中交渉の「第1段階」の合意が「来年にずれ込む可能性がある」と報じていた。
25日移動平均(20日時点で2万2982円)などの節目を下回ったことで目先の株価調整に対する警戒感が強まり、短期筋が株価指数先物などへの売りを加速させた。香港・ハンセン指数が一時2%超下げるなど主要なアジア株式相場が軒並み下落したことも重荷となった。
ただ、午前の取引終了にかけては急速に下げ渋った。前引けにかけ押し目買いや買い戻しが入った。ブルームバーグ通信は、中国の劉鶴(リュウ・ハァ)副首相が「第1段階」の合意に対して「慎重ながらも楽観的だ」と述べたと伝えた。中国側の高官から前向きな発言が出たことでやや警戒感が和らいだ。
JPX日経インデックス400と東証株価指数(TOPIX)も続落した。
前引け時点の東証1部の売買代金は概算で1兆1692億円、売買高は7億286万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は全体の8割強となる1825。値上がり銘柄数は262、変わらずは64銘柄だった。
個別では、ソフトバンクグループ(SBG)やファミマも売られた。東京エレクトロン、ファナックやTDKが売られ、アドバンテスト、SCREENホールディングスなども安い。村田製作所も軟調。ソニーも売り優勢で日本新薬が急落した。CKD、山一電機なども下げた。
半面、KDDIやリクルート、エーザイ、日本電産が底堅く、富士通、横河電、SUBARU、ブリヂストンも上げた。チタン工業がストップ高、テンポイノベーション、イワキ、図研なども大幅高に買われた。技研製作所も高い。
東証2部株価指数は前日比66.49ポイント安の6762.51ポイントと3日続落した。
出来高5163万株。値上がり銘柄数は114、値下がり銘柄数は265となった。
個別では魚喜、マーチャント・バンカーズ、ジー・スリーホールディングス、兼房、東京ボード工業が年初来安値を更新。アドテック プラズマ テクノロジー、明星電気、ヨネックス、タカトリ、石井表記が売られた。
一方、マイスターエンジニアリング、ミダック、中央自動車工業、グリーンランドリゾートが年初来高値を更新。パス、技研ホールディングス、サイバーステップ、アジア航測、那須電機鉄工が買われた。
