「束脩」

「束脩」
 
相場は欲望の集積場。
この議論は全くない。
相場はそんな下賤なものではないという思い込みのせいだろうか。
逆に言えばそんなに高級なものではない。
それでも、形而下的存在を形而上的存在にカモフラージュするために、経済学的な見方をしがちなのが相場。
そして、儲けと損という生臭さを消すために、海外案件を持ち出して、不思議な高級感を醸し出す。
ここに現場は騙されるのだ。
学問チックな横文字という鎧をかぶって武装するから事の本質が見えなくなる。
儲けるために買い方売り方が形振り構わず何をするのか。
これを考えることこそ相場の本質に近付く一里塚だろう。
相場を鎧を被って解釈するのは古今東西のこと。
悪いことにこの国はその舶来の鎧をサイズも合わないのにかぶるから余計に変な世界になってくる。
相場は決して学問ではない。
しかし人は相場を勉強したがる。
勉強して儲かるなら、学者はみな大金持ちになっているはずだ。
所詮相場は欲望の集積場。
これを忘れてROEだ、ESGだと言っても隔靴掻痒。
重要なのは「儲かるのか」「損するのか」という嗅覚。
そんな曖昧模糊とした相場論では「束脩」を取ることができないから、もっともっともらしく材料を持ち出してくる。
とはいえ、所詮経済指標と罫線の域を出るものではない。
そんな鎧を外して裸にして眺めてみればいいだけのこと。
「束脩」を納めるくらいなら自分で考えた方がよほど気が利いている。
強いて言えば相場は「近未来想像学」。
あるいは「近未来創造学」。
学問にしたいならその程度の呼び方をすればいいだけのことだ。
儲けること、あるいは損することは後ろめたいから鎧を被っているだけのこと。
株式市場は儲ける場、損をするかもしれない場。
ここをはっきりすれば似非学問チックな論調は減っていくに違いない。
 
相場は「リズム」と「ハーモニー」と言うことがある。
リズムは縦軸、ハーモニーは横軸。
いつどれだけ動くのかがリズム。
どのセクターや株が動くのかがハーモニー。
そう捉えて考えていけば、楽譜は少し見えてこようか。
上げのリズム、下げのリズム、3日、4日、5日のリズム。
あるいは3ヶ月、半年のリズム。
これは自分で見つけられる筈。
人の言葉や解釈はいらない。
そして・・・。
動きの中心が大型株なのか新興株なのか。
あるいは内需なのか輸出関連なのか。
さらにはどのセクターなのか。
個別株なのか。
これはハーモニーだろう。
一番響くものと休んでいるもの。
これも教えられなくたって、相場を見ればわかる。
あるいは・・・。
ラグビーはゲインラインを突破してからゴールが近づいてくる。
相場は領地取り合戦=陣取合戦とすれば、売り方は下方の陣地領地取り。
買い方は上方の陣地取り。
罫線チックな上下のゲインラインの突破こそ次のゴールへの一里塚だ。
株式市場は柔軟な思考が必要な場所。
「かくあらねばならぬ」なんて教訓は一切通用しない。
毎日変化しているのだ。
そこでは柔軟な発想とわかりやすい解釈こそ求められるはず。
リズムとハーモニーと陣取り合戦。
そんなにややこしいとは思わないのだが・・・。
訳のわからない横文字の経済学的修辞よりはまだマシだろう。
 
信楽焼のたぬきのように自然体で相場に対処すればよいだけのことだ。
因みにあのトトロに似ているタヌキ。
特徴は8つ(笠・目・口元・徳利・通帳・金袋・しっぽ・お腹)。
これを八相縁起という。
 
笠:身を守る
目:周囲に気を配り正しく物事を見る
口:常に笑顔で商売繁盛
徳利:飲食に困らない徳を持つ
通帳:信用第一に
金袋:金運に恵まれる
しっぽ:太いしっぽは縁起の良い末広がり
お腹:慌てず騒がず、常に冷静沈着、且つ大胆な行動
 
ちなみにたぬきは「他を抜く」という語呂合わせで商売繁盛の意味。
相場にもつながる気がする。

(櫻井)
 

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