NYダウ57ドル高、米中対立の懸念後退や業績期待

21日のNYダウ工業株30種平均は前週末比57ドル44セント高の2万6827ドル64セントは反発で終えた。米中対立を巡る懸念が和らぎ、投資家心理が改善した。米企業の決算発表が今週ピークを迎えるなか、好業績を期待した買いが相場を支えた。
 
米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は21日朝、米テレビのインタビューで米中貿易協議は「非常にうまく行っているように見える」と指摘。さらに「第一段階」の署名に向けた協議が順調に進めば、12月15日に予定する対中関税第4弾の発動が見送られる可能性があるとの見通しを示した。また、トランプ大統領も第一段階の署名に向けて「順調に進んでいる」との認識を示したことから、投資家の米中対立への懸念が和らいだ。
 
中国関連とされる銘柄が買われ、建機のキャタピラーや工業製品・事務用品のスリーエム(3M)などが上げた。
 
21日は米長期金利が上昇し、利ざや改善を期待した買いが銀行株に入った。銀行株は前週に市場予想を上回る2019年7~9月期の発表が相次ぎ、見直し買いも入りやすい。JPモルガン・チェースは上場来高値を更新する場面があった。
 
21日に決算と同時に示したコスト削減方針が好感された資源開発のハリバートンが大幅高となり、シェブロンやエクソンモービルといった石油株も連れ高した。
 
新型スマートフォン「iPhone(アイフォーン)11」の好調な売れ行きなどが評価され、アナリストが目標株価を引き上げたアップルも買い優勢となり、上場来高値を更新した。
 
ただ、21日もダウ構成銘柄である航空機大手ボーイングの株価が下げ止まらず、相場の上値を抑えた。同社株の急落は墜落事故が相次いだ新型旅客機「737MAX」をめぐり、同社のテストパイロットが2016年の時点で失速防止装置に欠陥がある可能性を認識していた疑いがあると前週末に報じられたことがきっかけ。さらに21日には金融機関による同社株の投資判断の引き下げが相次ぎ、売りが脹らんだ。1銘柄でダウ平均を90ドル近く押し下げた。
 
セクター別では、銀行や運輸が上昇する一方でヘルスケア機器・サービスや電気通信サービスが下落した。
 
ナスダック総合株価指数は前週末比73.444ポイント高の8162.987と約1カ月ぶりの高値で終えた。アップルに加えて、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムなど主力株や、半導体関連株が買われた。
 
NYダウ工業株30種(ドル)
26,827.64+57.44
S&P500種
3,006.72+20.52
ナスダック
8,162.987+73.444
NY金(ドル/トロイオンス)
1,488.10-6.00
NY原油(ドル/バレル)
53.46-0.3221
円・ドル
108.58 – 108.59-0.01
 
 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は反発した。
12月物は前週末比200円高の2万2690円で引け、21日の大証終値を120円上回った。米中貿易協議の進展期待が広がり日経平均先物は米株とともに買われた。
米メディアが19日、中国の劉鶴(リュウ・ハァ)副首相は10月にワシントンで開いた米中貿易協議について「多くの重要な進展があった」と述べたと伝えた。

この日の12月物高値は2万2695円、安値は2万2445円。

シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
22690 ( +120 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
22705 ( +135 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数は反発した。前週末の終値に比べ13.07ポイント高の7163.64で引けた。
英下院が19日、欧州連合(EU)の離脱延期要請を求める内容の動議を可決したことで、「合意なき離脱」の可能性が低下したとの受け止めが広がった。離脱案の議会承認を控えて賛成が僅差で優勢との報道も投資家のリスク回避姿勢を和らげた。
ただ、ポンド高などで上値は重く、上昇幅も小幅にとどまった。銅相場の上昇を追い風に主力の鉱業株が買われ、相場を押し上げた。銀行株をはじめ金融株も軒並み上昇した。指数構成銘柄全体の約5割が上昇した。
 
個別銘柄では、保険のプルーデンシャルが大幅高で引けた。傘下のM&Gの分割を完了したとの発表を材料に買われた。会社分割の完了が好感された。航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は3.2%高としっかり。資源大手グレンコアは、2.3%高、鉱業大手アングロ・アメリカンは2.1%高など資源株も総じて締まった。
 
半面、医療機器大手スミス・アンド・ネフューが8.9%の大幅安。最高経営責任者(CEO)が約1年半の短期間で辞任するとの報道を嫌気した売りが出た。外国為替相場でのポンド高を背景に、通貨高が業績の重荷になる多国籍企業の売りも目立った。医薬品株や食品・日用品のユニリーバ、酒類のディアジオなどが下落した。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数(DAX)は3営業日ぶりに大幅反発した。終値は前週末と比べて114.36ポイント高の12747.96と、終値ベースで7月下旬以来、約2カ月半ぶりの高値で引けた。
米中貿易交渉の進展期待や、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る懸念がやや和らぎ投資家心理が改善した。
 
個別銘柄では、オンライン決済サービスのワイヤーカードが大幅上昇。不正会計疑惑について独立機関に調査を委託すると伝わり買われた。半導体のインフィニオンテクノロジーズと欧州の金利上昇を背景にドイツ銀行の上げが目立った。自動車株も買われた。ドイツ取引所が安かった。

■フランス・パリ株価指数
CAC40 5648.35 +12.11

 

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