27日のNYダウ工業株30種平均は前日比120ドル93セント安の2万5777ドル90セントと反落で終えた。
米中貿易摩擦や世界景気に対する根強い不透明感が相場の重荷となった。中国政府が発表した消費拡大策が好感され買いが先行したが、次第に売りに押された。
トランプ米大統領は26日、訪問先のフランスで、中国政府から貿易協議再開の申し入れがあったと明らかにした上で、「中国は合意を強く望んでいる」と発言。協議再開を期待した買いがこの日も継続し、ダウは序盤に一時155ドル高まで買われた。
医薬品・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が上げ、ダウ平均を下支えた。医療用麻薬「オピオイド」中毒のまん延に責任があるとして、オクラホマ州の判事から制裁金の支払いを命じられたが、金額が想定より小さいと受け止められた。
J&Jに加え、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や通信のベライゾン・コミュニケーションズなど業績が景気の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄は相対的に堅調だった。
しかし、中国外務省の耿爽副報道局長は前日に続き、米国との電話でのやりとりを確認していないと説明した。また、中国共産党機関誌・人民日報系の環球時報の胡錫進編集長が、内需拡大に力を入れる中国から米国が貿易面で譲歩を引き出すのは難しいとツイッターに書き込んだ。市場では協議再開への期待がしぼみ、次第に売りに押された。
ダウ平均は一時176ドル安まで下げ幅を広げた。米中貿易協議について進展を期待させる新たな材料がなかった。米中が前週末にお互いへの制裁措置を拡大したことから、交渉が難航する可能性が改めて意識された。
中国に生産拠点を持つアップルや、中国売上高の大きい航空機のボーイングなど米中摩擦の影響を受けやすい銘柄の下げが目立った。ダウ平均では医療保険のユナイテッドヘルス・グループの下げも大きかった。景気敏感株とされる資本財株が下げ、逆イールドで利ざやが縮小するとの見方から金融株も総じて売られた。
また、景気後退の前兆とされる「逆イールド」が強まったことも投資家心理を冷やした。この日は米2年債利回りが10年債利回りを一時0.05%程度上回り、利回り差は2007年以来の大きさとなった。
ナスダック総合株価指数も反落し、同26.789ポイント安の7826.946で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,777.90-120.93
S&P500種
2,869.16-9.22
ナスダック
7,826.946-26.789
NY金(ドル/トロイオンス)
1,551.80+14.60
NY原油(ドル/バレル)
55.63+0.70
円・ドル
105.78 – 105.79+0.05
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は反落した。
9月物は前日比125円安の2万415円で引けた。大取終値を5円下回った。
前日はトランプ米大統領が中国との貿易協議の進展を示唆して買われたが、27日は新たな手掛かりに欠けて日経平均先物は売り優勢だった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
20415 ( -5 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
20415 ( -5 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7089.58(-5.40)
FTSE100種総合株価指数は小幅ながら3日続落した。前週末23日の終値に比べ5.40ポイント安の7089.58で引けた。
売りが先行して始まった後、午後に入り、中国の景気刺激策を好感した米国株の上昇を受けて買いに転じる局面があった。ただ、引けにかけてふたたび売りに押された。構成銘柄の6割が上昇したものの、大型株の多国籍企業銘柄の下落が相場の重荷になった。
個別銘柄では、時価総額の大きいブリティッシュ・アメリカン・タバコが4.4%安。英オンライン食品デリバリー大手ジャストイートは2.1%安、配管・暖房流通大手ファーガソン(旧ウルズリー)は1.7%安などが売られ相場を押し下げた。中国関連のHSBCホールディングスやプルーデンシャルが安かった。ファッションのバーバリー・グループも下げた。
半面、住宅建設株が軒並み上昇したほか、不動産投資信託(REIT)のブリティッシュ・ランドは4.1%高と大幅高で引けた。たばこのインペリアル・ブランズは上昇に転じた。米たばこ大手フィリップ・モリス・インターナショナルとアルトリア・グループの合併協議の発表を好感した買いが入った。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11730.02(+71.98)
ドイツ株式指数(DAX)は続伸した。終値は前日と比べて71.98ポイント高の11730.02だった。
個別では、航空のルフトハンザと電力のRWEが高かった。ともにアナリストが目標株価などを引き上げたことで買われた。消費財のヘンケルの上げも目立った。米中対立の悪化に対する警戒感が和らぎ、通商問題に敏感な自動車株も堅調だった。一方でドイツ取引所が安かった。関連会社がドイツ警察の立ち入り調査を受けたとの報道を材料に売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5387.09(+36.07)
