3日のNYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前営業日比285ドル26セント安の2万6118ドル02セントで終えた。
8月の米製造業の景況感指数が悪化し、米景気への懸念が強まった。米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱を巡る警戒感も強く、景気敏感株を中心に売りが広がった。
米サプライマネジメント協会(ISM)が3日発表した8月の製造業景況感指数は前月比で市場予想以上に低下し、3年ぶりに好不調の分かれ目とされる50を下回った。「新規受注」「雇用」など個別項目も軒並み50を割り、貿易摩擦が米製造業の足を引っ張るとの懸念が強まった。
また、トランプ米政権は1日、中国からの輸入品ほぼ全てに制裁関税を広げる「第4弾」を発動。まずテレビやカメラなど3243品目に15%を上乗せし、残りは12月15日に実施する。中国も米農産品などに即時に報復関税を課したほか、米国を世界貿易機関(WTO)に提訴。市場では貿易戦争激化への警戒感が広がり、株価を押し下げた。
中国売上高比率が高い建機のキャタピラー、工業製品・事務用品のスリーエム(3M)などの下げが目立った。米中の追加関税の影響を受けやすいとの見方から、アップルなどハイテク株も軟調だった。
英政治の混乱が深まったことも投資家心理を冷やした。3日に再開した英議会では野党が欧州連合(EU)からの離脱延期を要請する一方、離脱を急ぐジョンソン首相は解散総選挙を提案する見込みと伝わった。
米10年物国債利回りが一時1.42%前後と、2016年7月以来の低水準を付けた。利ざや縮小への懸念からゴールドマン・サックスなど金融株が軒並み下げた。2度の墜落事故を起こした主力機「737MAX」の運航再開が遅れると伝わり、ボーイングが大幅安となったのも相場の重荷だった。景気の先行きを懸念した売りにダウが急落し、下げ幅を一時425ドルまで広げる場面もあった。
セクター別では、公益事業や不動産が上昇する一方で半導体・半導体製造装置や資本財が下落した。
ナスダック総合株価指数は続落し、88.724ポイント安の7874.158で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
26,118.02-285.26
S&P500種
2,906.27-20.19
ナスダック
7,874.158-88.724
NY金(ドル/トロイオンス)
1,555.90+26.50
NY原油(ドル/バレル)
53.98+0.04
円・ドル
105.95 – 105.96-0.03
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は続落した。
9月物は前週末比65円安の2万0590円で引け、3日の大取終値を70円下回った。米景気指数の悪化や米中貿易摩擦による景気への悪影響を懸念する売りが出た。
3日発表になった米サプライマネジメント協会(ISM)の8月の製造業景況感指数が景気拡大と縮小の境目である50を割り込み、景気先行きに警戒感が広がった。
日経平均先物は、朝方に売りが先行した後、引けにかけては下げ幅を縮めた。
この日の9月物安値は2万0400円、高値は2万0670円。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
20595 ( -65 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
20590 ( -70 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7268.19(-13.75)
FTSE100種総合株価指数は5営業日ぶりに小反落した。前日の終値に比べ13.75ポイント安の7268.19で引けた。
資源株を中心に構成銘柄の約6割が下落したが、外国為替相場のポンド安を背景に多国籍企業株が買われた。英国の欧州連合(EU)離脱を巡る英議会での議論を見極めたいとの様子見ムードが漂い、取引はやや低調だった。
銅と原油相場の下落を受けて鉱業株と石油株に売りが広がり、相場の重荷になった。金融株も軒並み下落した。銀行株には英長期金利の低下を背景に利ざや縮小を意識した売りが出た。
個別銘柄では、中古車販売サイトのオートトレーダー・グループが4.5%安と包装のDSスミス3.5%安の下落が目立った。
一方、リスク回避の買いで金相場は上昇し、関連のフレスニージョが2.4%高と高かった。ポンド安の恩恵を受けやすい多国籍企業のたばこ株や酒類のディアジオ、食品・日用品のユニリーバが上昇した。ソフトウエア開発のマイクロフォーカスも高かった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11910.86(-42.92)
ドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前日と比べて42.92ポイント安の11910.86だった。
個別銘柄では、需要の減速懸念から鉄鋼のティッセン・クルップが安かった一方で自動車のダイムラーや半導体のインフィニオンテクノロジーズが高かった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5466.07(-26.97)
