NYダウ237ドル高、香港情勢への警戒後退

 
4日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比237ドル45セント高の2万6355ドル47セントで終えた。
香港政府トップの林鄭月娥行政長官は4日、大規模な抗議活動の発端となった逃亡犯条例改正案について、正式に撤回を表明。また、英国の欧州連合(EU)離脱問題では、英議会下院が3日に「合意なき離脱」阻止に向けた緊急動議を賛成多数で可決。4日には離脱延期法案も可決し、「合意なき離脱」が回避されるとの期待が広がった。
 
さらに政局が混迷していたイタリアでは首相に再指名されたコンテ氏率いる新内閣が5日に発足する運びとなり、「世界中を覆っていた政治的リスクが一時的に和らいだ」として、ダウは朝方から買い優勢となった。
 
中国の景気指標の改善も相場を支えた。4日発表の8月の財新中国非製造業購買担当者景気指数(PMI)が景気判断の境目となる50を上回り、3カ月ぶりの高水準となった。
中国売上高比率が高い建機のキャタピラーや半導体のインテルなどが買われた。世界景気の減速懸念が薄れ、原油先物相場が大幅に上昇。石油のエクソンモービルやシェブロンも買われた。
 
米債券市場では米10年物国債利回りと2年債の逆転(逆イールド)がひとまず解消した。利ざや悪化に歯止めがかかるとの見方から、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースといった金融株に幅広く買いが入った。
 
セクター別では、ヘルスケア機器・サービスを除いて全面高となり、特に半導体・半導体製造装置や自動車・自動車部品の上昇が目立った。
 
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発し、前日比102.722ポイント高の7976.880で終えた。日本経済新聞(電子版)が4日に「iPhone(アイフォーン)の価格を抑えた新製品を来年春にも発売する」と報じたアップルが2%近く上げた。フェイスブックやマイクロソフトなど他の主力株も軒並み高い。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
26,355.47+237.45
S&P500種2,937.78+31.51
ナスダック7,976.880+102.722
NY金(ドル/トロイオンス)
1,560.40+4.50   
NY原油(ドル/バレル)
55.92-0.34
円・ドル
106.37 – 106.38+0.14

 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は反発した。9月物は前日比225円高の2万0815円で引け、4日の大取終値を115円上回った。
香港や英国の政治リスクの薄れを見込んだ買いが入った。

香港政府は4日に「逃亡犯条例」改正案を撤回し大規模デモの収束期待が広がった。
また英議会下院が4日にジョンソン首相による下院解散の動議を否決し、英国の「合意なき欧州連合(EU)離脱」の回避観測を招いた。中国の景気指標の改善も投資家心理の改善につながった。

この日の9月物高値は2万0820円、安値は2万0555円。
 
 
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
20815 ( +115 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
20810 ( +110 )
※( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7311.26(+43.07)
FTSE100種総合株価指数は反発した。前日の終値に比べ43.07ポイント高の7311.26で引けた。構成銘柄の約7割が上昇した。ただ、午後には伸び悩んだ。
 
英議会下院は3日、欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」を防ぐための離脱延期を政府に義務付ける法案を審議する動議を可決し、4日にも採決することになった。
これを受けて、離脱延期が期待され買いが広がった。資源と金融株の値上がりが株価指数を押し上げた。
 
個別銘柄では、原油と銅の価格上昇を背景に資源株が買われ、なかでも鉱業のアントファガスタの上昇が目立った。アジア関連の保険のプルーデンシャルは3%超、スタンダードチャータード銀行も約3%、それぞれ上がった。
 
半面、住宅建設のバラット・ディベロップメンツは3%超下落した。2019年の通期決算で税引き前利益が増加したものの、2020年の業績が目標の下限になるとの見通しを示したことが嫌気された。アナリストが株価目標を引き下げたソフトウエア開発のマイクロフォーカスも下がった。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12025.04(+114.18)
ドイツ株式指数(DAX)は反発した。終値は前日と比べて114.18ポイント高の12025.04だった。
イタリアで左派「五つ星運動」と中道左派「民主党」などによる連立政権が発足するほか、英国でも下院が4日、欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」を防ぐための離脱延期を政府に義務付ける法案が採決されることになった。両国の政治的進展を受けて、欧州各国株式相場はそろって上昇した。香港政府のトップが4日、「逃亡犯条例」改正案を撤回すると表明したことで、混乱が収束するとの期待も買いにつながった。
 
個別では、鉄鋼のティッセン・クルップとオンライン決済サービスのワイヤーカードがともに大幅高となった。下落したのは不動産のボノビアと工業用ガスのリンデの2銘柄だけだった。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5532.07(+66.00)
フランスの株価指数CAC40の終値が前日に比べて1%以上、上昇した。

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