「アノマリー」

「アノマリー」
 
 
前場の日経平均株価は4円32銭高の21525円85銭と小幅に反発。
FRBはFOMCで約10年半ぶりの0.25%利下げを決定。
5%を望んでいたNY市場は不満感から大幅安となった。
パウエル議長は過度の利下げ観測をけん制。
このパウエル議長の「いやいやえん」的コメントで追加的な利下げ観測が後退。
1ドル109台前半まで円安方向に振れたことを好感。
一時200円あまり下落している日経平均は、前引け段階ではプラスだ。
東証1部の売買代金は1兆1463億円。
2月以来の「窓を開けない月の初め」となった。
 
寄り前のコメントでこう書いていた。

ないものねだりと過大な欲望があやなした格好での「利下げ株安」。
AIよりも人間の方が賢く思えるのは気の所為だろうか。
好業績だったアップル株の上昇は記憶にとどめておきたいものだ。
ロンドンは続落だったが独仏株価の反発は評価したい。
史上最高値圏での一時的調整という見方の方が良さそうだ。
「ヒンデンブルグ・オーメン点灯」なんて雑音には惑わされたくないところ。
 
いい加減にこのイベント相場あるいはパペット相場からは脱却したいもの。
気学では「下寄り買い、ただし突飛高は利入れ方針、飛びつき警戒」。
黒くねじれた勝手雲は6日に白くねじれている。
月初のマド明けアノマリーは今月も遭遇しそうだ。
 
前場を終えてみればマド明けて寄ったものの結果はプラ転。
後付け講釈だが「付和雷同せず慌てず」の勝利となった。
安値からは200円超の戻りとなった。
109円台の円安傾向も好感。
米国金利低下は予想よりも少ない:パウエル議長の利下げ抵抗姿勢→円安トレンドの流れ。
これは読めなかったのだろうか。
まさに「AIよりも人間の方が賢く思えるのは気の所為だろうか」だった。
 
 
8月というのは市場関係者にとって印象の良くない月らしい。
今朝のブルームバーグは「魔の8月に突入する日本株」。
「海外勢売りや株価最悪の記憶」がサブタイトルだ。

日本株の良くないアノマリーがそろう8月になった。
年初来パフォーマンスが海外に見劣りする中今年も「魔の8月」が繰り返される可能性がある。
海外投資家は2010年以降、毎年8月に売り越している。
最も多く売り越したのは15年で1兆1582億円。
日本株売買代金の5-7割を占める海外勢の動向は株価に影響を与える。
この9年間のTOPIXの8月騰落率平均はマイナス2.8%と12カ月の中で最低だ。
8、9月はファンドの運用上のターニングポイント。
期待できないと思った銘柄は見切り売りのような圧力もあるのではとの観測がある。
そんなコメントも紹介されている。
あるいは「さえない月になるのではないか」という予想の声。
一方で「海外勢が既に足元で売り越しを続けていることやPBR1倍近い株価などからダウンサイドリスクも乏しい」。
結論のない「魔の月」論でもある。
 
そういえば昨年もこう紹介していた。

TOPIXの年初来騰落率は7月30日時点で5.5%高。
先進24カ国でスペインと最下位を争っている。
先行きを楽観視する向きは少ない。
バンク・オブ・ニューヨーク・メロンのチーフ通貨ストラテジスト、サイモン・デリック氏のリポート。
「1970年以降で比較的危険な月の一つと証明されている月は8月」と指摘。
同氏はこの期間に月間ベースでNYダウが急落した50回のうち7回は8月だった。
これら7回の下落率は平均8.9%だという。
 
 
以下は1974年以降に発生した「8月の歴史的事件」
1974年8月:ウォーターゲート事件によりニクソン米大統領辞任(→NYダウ、翌年までの下落の引き金に)
1980年8月:メキシコ債務危機(→新興国株式・通貨暴落の引き金に)
1990年8月:イラク軍、クウェートに突如侵攻開始(→翌年、湾岸戦争に発展)
1998年8月:ロシア財政危機(→翌月、LTCMが破綻)
2007年8月:パリバショック(→サブプライム問題の表面化→翌年のリーマンショックの引き金に)
2015年8月:チャイナショック(→8.11 人民元切り下げ→8.24 フラッシュクラッシュ発生)
 
アノマリー的には「夏枯れ相場」
市場は閑散期に入り、出来高は縮小、株価は軟調となる傾向。
5月に売った資金を、値下がりの顕著な夏枯れ時期にまた投入する、というイメージもある。
「8月後半の円高」
突然予期せぬ材料により大きく相場が動く。
これを投機筋が円買いによって狙う「8月は仕掛け時」という説。
逆に「サマーラリー」(夏休みで薄商いゆえに値が上下にぶれやすくなるというのもある。)
あるいは「ヘッジファンドの45日ルールによる軟調」。
アメリカ国債の利払い(8月15日)で円安。
米国債利払いの円への換金売りで円高(8月16日))
お盆の週に上昇すれば8月月足陽線。
お盆の週に下落なら月足陰線。
 
結局どうとも取れるアノマリーの乱舞だ。
最近は聞かれなくなったスタジオ・ジブリのアノマリー。
今年の夏は8月16日「千と千尋の神隠し」。
23日「崖の上のポニョ」。
30日「天空の城ラピュタ」。
幸いに「魔女」と「トトロ」は登場しない。

(櫻井)
 

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