「問い直してみる」

「問い直してみる」
 
週末のNY株式市場は続落。
NYダウは98ドル安だが一時300ドル超下落した場面もあり日中安値からは200ドル超戻して終わった。
印象としては「下げ渋り」。
NYダウとS&P500は6月下旬以来の安値。
週間ではS&PとNASDAQが昨年12月以来の大幅な下げを記録した。
7月の雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びは16.4万人増。
市場予想とほぼ一致しての着地。
ただ時間当たり平均賃金は2カ月連続で前月比0.3%(8セント)上昇した。
雇用統計は安心をもたらす内容となったが、対中貿易戦争の激化懸念が拡大。
10年国債利回りは1.8%水準に低下(価格は上昇)。
9月利下げの予想確率は98%と前日の85%から高まった。
ドルは下落しドル円は106円台半ばでの推移。
「トランプ大統領は株価が目先天井ゾーンに来ると、トランプ砲を炸裂。
相場が下げようとするというか下落する。
今回も同じような状況でトランプ砲が炸裂した。
ただトランプ大統領は経済戦争に勝つために株高政策を続けること自体に変化はない。
過熱ゾーンに入ったときにトランプ砲をぶっぱなす可能性があるということだ」。
「株価が高水準にある時のトランプ大統領のちゃぶ台返し」というリズムにそろそろ市場も気が付くべきだろう。
恐怖と欲望指数は前日の43ポイント→37ポイントに低下。
 
 
金曜の日経平均は寄り付き329円安。
一時580円近く下落し21000円割れの場面もあり終値は453円安。
これは3月25日の650円安に次ぐ下げ幅で、今年2番目の下落記録。
5月以降は最大の下落幅だから「令和最大の下落」という表現は間違っていない。
日経平均採用銘柄のうち高いのは16銘柄で東証1部でも129銘柄。
構成比6%だから全面安の展開だ。
最大の悪役はトランプ大統領。
木曜の午前中は300ドル以上上げていたNYダウは一気に300ドル超のマイナス。
「上下600ドル超のナイアガラ級の崩落」という声もある。
もっとも「6月4日安値20289円を下回る前に反転できるかが焦点」という見方は結構大袈裟かもしれない。
8月は2日目にしてまた大きく窓を開けた日経平均株価。
週間では570円の下落で週足は陰線。
新高値40銘柄。
新安値271銘柄と急増。
騰落レシオは97.07に低下した。
NTレシオは13.75倍。
25日線からは2.2%、200日線からは1.6%のマイナスかい離。
松井証券信用評価損益率速報で売り方▲8.285%。
買い方▲11.110%。
マザーズ銘柄ネットストック信用評価損益率で売り方▲2.004%。
買い方▲14.784%。
空売り比率は50.3%で規制なし銘柄の比率は12.0%と急上昇。
7月8日の51.2%。規制なしは3月8日の14.6%以来の水準。
「そろそろ」の域でもある。
40%超は98日連続。
日経HVは14.4、日経VIは17.93。
東証REIT指数は2018ポイントと反発。
日経平均のPERは11.87倍と12倍割れ。
EPSは1776円。
PBRは1.05倍。
シカゴ225先物終値は大証日中比135円安の10875円。
高値21255円、安値20755円。
気学では「弱日柄にしてじり安を辿ることあり」。
火曜は「前場高いと後場安の日。吹き値売り方針良し」。
水曜は「変化を起こす重要日。後場の足取りを注視」。
木曜は「前場の足取りに逆行して動く日」。
金曜は「安寄りは買いなれど上放れ高きは売り狙え」。
日足のボリンジャーのマイナス3σ(21002円)を下回ったのは目先の限界だろう。
週足のボリンジャーのマイナス2σが20643円。
日足の一目均衡の下限は21052円。
ヒゲでは下回っても終値でキープすることが重要。
勝手雲の白いねじれが救いだ。
 
4→6月期決算集計状況。
土曜朝刊段階で全体の45.7%が通過した。
4→6月期売上高は△0.5%、同経常利益は▲12.4%、同純利益は▲9.6%。
通期売上高は△1.2%、同経常利益は▲2.7%、同純利益は▲0.2%。
 
 
老練な市場関係者のコメント。
「笑ってはいけないんでしょうが・・・。
今回も、弱気だったマーケット関係者が強気転換したところが天井になった。
弱気だったマーケット関係者が強気転換したけど、また、弱気になった時。
『もっと下がる。大変だ』と右往左往し始めたところが底入れのシグナルとなりましょう」。
 
アメリカの著名アナリスト、フィリップ・フィッシャー氏。
以下は氏の「究極の成長株を見つける15の質問」。
(1)少なくとも数年間にわたって、会社の売上を大きく伸ばす製品や、サービスがあるか
(2)そうした成長の牽引役となる製品やサービスを、次々と生み出そうとしているか
(3)研究開発費が有効に活用され、成果を上げているか
(4)強い営業体制はあるか
(5)営業利益率が高いか
(6)営業利益率をさらに高める努力をしているか
(7)コスト分析や、財務分析がきっちりできるか
(8)労使関係が良好か
(9)幹部社員のやる気を引き出す、社風や体制があるか
(10)幹部社員に優秀な人材が多いか
(11)その業界で勝ち抜くための独特のノウハウを十分に持っているか
(12)長期的な視野に立って、企業運営されているか
(13)むやみに新株を発行していないか
(14)自社にとって、不利益な材料を正直に説明しているか
(15)株主に対して誠実であるか
 
特に(1)、(2)、(6)、(10)、(11)、(12)が重要だろう。
アナリストミーティングなどでは目先の数字に終始しがちなので企業側もそういう姿勢が多い。
しかし重要なのは長期にわたる成長計画であることは間違いない。
経営理念とか成長エンジンを語るIRこそ今後はさらに求められる筈。
株式分析は財務分析でも株価分析でもないことは明白になろう。
 
もうひとつフィッシャーの言。
「投資家は決して10%や20%の小さな利益にではなく、
何年間もかけて10倍近くになるような株価の成長にこそ興味をもつべきだ。
企業経営者は長期に渡って立派な会社を作り上げることを最優先課題とすべきである。
大きく儲ける秘訣は、並外れて優秀な企業を選んで株を買い、
その企業が成長し内容が充実していく間は何年間でもずっと持ち続けられることだ」 。
 
そして「株を売る3つのタイミング」。
(1)最初の株式購入時の判断が誤っていた場合
(2)環境・企業の変化により買うべき企業の条件を満たさなくなった場合
(3)もっと有望な企業を発見しそちらに乗り換える場合。
 
ただ(1)はなかなか認めたくないし(3)は錯覚によって間違いやすいから要注意だろう。
 
あるいは「株を買う3つのタイミング」。
(1)新製品の工場を立ち上げて経費がかさみ利益が減少し株価が下落した時。
(2)新製品販売の特別な経費をかけたため利益が減少し株価が下落した時
(3)優良企業に一時的なトラブルが生じた時(労使関係の悪化など)
 
 
NYダウは98ドル安の26485ドルと4日続落。
日中安値からは200ドル超戻した格好。
NASDAQは107ポイント安の8004ポイントと5日続落。
こちらも安値からは50ポイント以上戻した。
S&P500は21ポイント安の2932ポイントと5日続落。
安値からは20ポイント戻している。
ダウ輸送株指数は59ポイント安の10374ポイント。
SOX指数は1.56%下落。
VIX指数は17.61。
3市場の売買高は77.8億株と増加(20日平均は66.2億株)。
225先物CME円建ては大証日中比125円安の20885円。
ドル建ては大証比55ポイント高の21655ポイント。
大証夜間取引終値は日中比110円安の20900円。
ドル円は106.58円。
10年国債利回りは1.846%。

(兜町カタリスト櫻井)
 

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