NYダウ800ドル安、世界経済の鈍化懸念

 
14日のNYダウ工業株30種平均は前日比800ドル49セント安の2万5479ドル42セントと反落した。6月4日以来ほぼ2カ月半ぶりの安値で終えた。下げ幅は今年最大で、ほぼ10カ月ぶりの大きさ。
世界経済の減速懸念が強まったうえ、景気後退の兆しとされる米国債の10年物と2年物の利回り逆転が起きて投資家心理が悪化した。景気敏感株を中心に幅広い銘柄が売られた。
 
債券市場では長期金利の指標である10年物米国債利回りが急低下し、14日朝に2年債利回りを下回る「長短金利逆転(逆イールド)」現象が出現。ロイター通信によると、逆転は住宅バブル崩壊が始まった2007年6月以来。リセッション(景気後退)の兆候とされる逆イールドとなったことで投資家心理が一段と悪化した。
利ざや悪化を懸念した売りでJPモルガン・チェースなど金融株が大幅安となり、相場の下げを主導した。
 
また、中国の7月の工業生産がほぼ10年半ぶりの低水準となり、ドイツの4~6月期の実質国内総生産(GDP)速報値が3四半期ぶりにマイナスとなった。貿易摩擦が世界経済を押し下げるとの懸念が一段と強まった。
 
景気敏感の化学のダウや建機のキャタピラーなどが売られた。リスク回避の流れでハイテク株も軒並み下げ、フェイスブックやアップルが大幅安となった。原油安を背景にエクソンモービルやシェブロンなど石油株の下落も目立った。
 
四半期決算が市場予想を下回る減収減益となったメーシーズが急落し、消費関連株に売りが波及した。ダウ平均を構成する全30銘柄が下げ、S&P500種株価指数の業種別指数は全11業種が下げた。
セクター別では全面安となり、特に銀行や自動車・自動車部品の下落が目立った。
 
株式相場の予想変動率を示す変動性指数(VIX)は3割近く上げ、22台で終えた。20を上回ると不安心理が高まった状態とされる。変動率を参照して自動的に資産配分を決める「リスク・パリティ」戦略をとる投資家からの機械的な売りが出て相場の下げが大きくなったとの見方もあった。
 
ナスダック総合株価指数は同242.420ポイント(3.0%)安の7773.939で終えた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
25,479.42-800.49
S&P500種
2,840.60-85.72
ナスダック
7,773.939-242.420
NY金(ドル/トロイオンス)
1,527.80+13.70
NY原油(ドル/バレル)
54.82-0.41
円・ドル
105.80 – 105.81-0.64

 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は大幅反落した。
9月物は前日比600円安の2万0120円で引け、期近物終値ベースで今年1月14日以来、約7カ月ぶりの安値をつけた。
14日の大取終値を460円下回った。14日の米国債市場で12年ぶりに10年債の利回りが2年債を下回り、景気後退の兆候を示唆した。このため投資家心理が悪化し、日経平均先物は米株とともに売られた。中国とドイツの景気指標の低迷も世界景気の悪化見通しを招いた。
9月物安値は2万0095円、高値は2万0765円。
 
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
20120 ( -460 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
20125 ( -455 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数は大幅に反落した。前日の終値に比べ103.02ポイント安の7147.88と、終値ベースで3月中旬以来、約5カ月ぶりの安値をつけた。構成銘柄の約9割が下落した。
投資家のリスク回避姿勢が再燃し、株価は大きく値を下げた。前日の反動に加え、中国やドイツのさえない経済指標を受け、世界経済の減速懸念が強まった。
 
米国と英国で10年債と2年債の利回りが逆転し、景気後退の前兆ともされる現象が起きたことで、午後には下げ幅が広がった。景気に敏感な資源と金融株の値下がりが株価指数の下げに大きく影響した。
 
個別銘柄では、投資会社のメルローズ・インダストリーズとロシアの鉄鋼大手エブラズがともに5%超の下落と目立った。保険大手プルーデンシャル4.1%安を筆頭に保険株もさえなかった。航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)、旅行代理店大手トゥイはいずれも4.3%安と旅行関連銘柄も売りが目立った。鉱業大手アングロ・アメリカン4.0%安など資源株も軒並み売られた。
 
半面、保険のアドミラル・グループは4%上がった。国内部門の顧客が増加したことが貢献し、上期の税引き前利益が拡大した。保険のダイレクトライン・インシュアランス・グループも買われた。日用品・食品大手ユニリーバは1.2%高と買われた。
 

■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数(DAX)は大幅に反落した。終値は前日と比べて257.47ポイント(2.19%)安の11492.66と、終値ベースで3月下旬以来、約4カ月半ぶりの安値だった。
 
軟調な中国経済指標の発表に続いて、ドイツでも4~6月期の実質国内総生産(GDP)がマイナス成長となったことを受けて、世界景気が減速していると懸念され、欧州の各国株式相場はそろって下落した。米国で10年債利回りが2年債利回りを一時下回った。景気後退の兆しとの観測が広がったことも売りにつながり、各国とも徐々に下げ幅を広げた。
 
個別では、鉄鋼のティッセン・クルップとドイツ銀行、半導体のインフィニオンテクノロジーズがそれぞれ大幅安となった。上昇したのは3銘柄だけだった。電力のRWEは、上期決算で利益が予想以上に増加したことが好感された。日用品のバイヤースドルフと不動産のボノビアも上がった。
 

■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40の終値が前日に比べて2%下落した。

 

株ちゃんofficial xはこちら!
目次