「農耕民族」

「農耕民族」
 
NY市場は独立記念日の祝日を控えた短縮取引。
主要指数はそれぞれ終値での過去最高値を更新した。
ADPの全米雇用レポートで民間部門雇用者数は10.2万人増。
市場予想の14万人増を下回った。
週間新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比8000件減の22.1万件。
市場予想の22.3万件を下回って着地。
ISM非製造業総合指数は55.1と前月の56.9から低下。
市場予想の55.9を下回り2017年7月以来約2年ぶりの低水準に並んだ。
5月の貿易赤字は前月比8.4%増の555億ドルと5カ月ぶりの高水準。
5月の製造業新規受注は2カ月連続でマイナスとなり製造業が弱含み続けたことを示した。
「第2四半期に経済成長が急激に鈍化したことを改めてうかがわせた」との解釈だ。
この結果「景気鈍化の兆しが経済指標によって新たに示されFRBがよりハト派に傾く」との見方。
つまり金利低下への道のりが固まったという解釈での株高だ。
辻褄があっているようで非合理的な解釈ではある。
7月FOMCでの0.5%の利下げ確率は29.7%。
前日の25%、1週間前の24%から上昇。
0.25%利下げの可能性は完全に織り込まれている。
短縮取引だったことから3市場の売買高は約41.5万株と縮小。
ECB次期総裁に指名されたラガルドIMF専務理事。
ドラギ総裁のハト派スタンスを維持するとの見方からユーロ圏債利回りは低下。
つれて米10年国債利回りは1.95%水準に低下。
一時2016年11月以来の低水準となる1.939%を付ける場面もあった。
米金利低下を受けドル円は107円台後半での推移。
VIX指数は12.58に低下。
恐怖と欲望指数は前日の56から63に上昇。
1週間前は48。
1カ月前は23だった。
 
水曜の日経平均は寄り付き70円安、終値116円安と日足陰線で反落。
ドル円が108円台を割り込んだことを警戒。
「1・7月決算のETFによる分配金捻出に伴う売りも影響」という見方もある。
もっともETFの分配金は受益者の口座に振り込まれ結局、巡り巡って市場に戻ることも多い。
市場インパクトはニュートラルと考えておいてよかろう。
前場145円安、後場下落幅は拡大したものの終値は116円安。
マイナスながら翌日につながらベクトルではあった。
加えれば任天堂が6日続伸していることは結構心強いサインだ。
値上がり995銘柄、値下がり1067銘柄。
新高値95銘柄、新安値4銘柄。
騰落レシオは108.55。
NTレシオは13.70。
25日線(21114円)からは2.5%、200日線(21620円)からは0.1%のプラスかい離。
サイコロは6勝6敗で50%。
松井証券信用評価損益率速報で売り方▲9.367%。
買い方▲10.047%。
マザーズ銘柄ネットストック信用評価損益率で売り方▲6.746%。
買い方▲14.919%。
Quick調査の6月28日時点の信用評価損率は▲13.79%。
2週ぶりの改善。
空売り比率は45.2%で78日連続の40%超。
6月28日時点の裁定買い残は89億円増の4053億円。
3週ぶりの増加だが実質はほぼ変わらず。
全部当限だ。
同裁定売り残は1027億円増の8293億円。
当限が7975億円、翌限以降が317億円。
2週連続の増加。
昨年3月30日の1兆962億円(過去最高)にますます近づいてきた。
日経平均採用銘柄のPERは12.10倍でEPSは1788円。
PBRは1.09倍。
シカゴ225先物終値は大証日中比105円高の21695円。
高値21700円、安値21530円。
大証夜間取引終値は日中比130円高の21720円。
シカゴは半日だったので5時半時点の大証の方が直近値。
昨日サポートとなった一目均衡の雲の上限が21557円。
5日線(21547円)もサポートだ。
ボリンジャーのプラス2σ21804円への挑戦だ。
木曜は過去2週間上昇しておりリズムは木曜高。
気学では「前日の相場に反して動く日」。
金曜は「人気に逆行して動く日。逆張り方針良し」。
 
日経5面では「新暗号技術、23年に採用」の見出し。
サブ見出しは「量子計算機の解読に対抗」とある。
総務省と経済産業省が検討会を立ち上げ、有効な技術を調べ始めたという、
03年に「推奨リスト」としてまとめた安全性の高い暗号技術を13年に入れ替えたのが歴史。
23年に再びリストを更新するという。
初めて登場してきた「量子技術」だ。
 
「どこが採用されるかですね」というのが朝方のある市場関係者からのメール。
以下は当方の返信。

今日の報道は、サイバーセキュリティソフトではなく、暗号技術そのものをどうするかという問題です。
現在、金融機関の口座管理は3桁の素数で行われており、現状の技術では解読不可能ですが、いずれ解読されます。
その時のために量子技術を使うという趣旨と思われます。
 
となると、量子技術関連が中核になるでしょう。
しかも、政府の指針ですから中小型企業ではなく、大型企業。
たとえばNECとかNTTとかが対象になってくると思われます。
サイバーテロ防止のためのコア技術をどうする?
2023年までに決めようぜ。
それが政府の意思です。
だから非公式の公聴会(企業トップからのヒアリング)を行っているのです。
 
問題はメドが4年後の2023年ということ。
なぜ2023年なのか。
かつて北京政府の風水担当者に「2023年まで日本株は大丈夫」と言われたことがよみがえります。
ただ2023年では世界的に技術が追いついていない可能性があります。
3Dプリンターは夢と理想の時代から10年かかって実現しました。
たぶん量子も一緒。
逆にいえば玉石混交で面白い数年になってきました。
「おもしろきこともなき世を面白くですね。
 
昔、株は「狩猟民族の仕事」と言われた。
銀行は「農耕民族」で証券は「狩猟民族」。
だから証券マンはいつも何かを追い求めた目をしているとも言われた。
でも、最近は牙を抜かれた狩猟民族で、ほとんど農耕民族ではなかろうか。
というか、最近ではなく、もともとが農耕民族だったのではなかろうか。
毎年毎年同じ時期に同じ話題を提供して同じような苦楽を味わう世界。
以前は3月になれば決算対策の売り、4月からは年金運用資産の配分なんて話題を何年も繰り返した。
毎月の雇用統計を待つ姿勢も一緒だろう。
今の時期はETFの分配金原資確保のため売りと再投資。
暦に従った話題に過ぎないし、十年一日の如くだ。
秋のイスラムヒジュラ暦の株高だった似たようなものだろう。
あれこれ考えることよりも暦を正確に覚えておくことが結構重要なようである。
 
NYダウは179ドル高の26966ドルと4日続伸。
2018年10月3日以来の過去最高値を9カ月ぶりに更新した。
NASDAQは61ポイント高の8170ポイントと6日続伸。
5月3日以来2カ月ぶりに過去最高値を更新。
S&P500は22ポイント高の2995ポイントと5日続伸。
連日の過去最高値更新だ。
ダウ輸送株指数は102ポイント高の10523ポイント。
SOX指数は0.43%下落。
VIX指数は12.58と低下。
3市場の売買高は41.5億株。
225先物CME円建ては大証日中比105円高の21695円。
ドル建ては大証比115ポイント高の21705ポイント。
大証夜間取引終値は日中比130円高の21720円。
ドル円は107.82円。
10年国債利回りは1.953%。
 
後場は大手町の経団連会館で「モノづくりコンファレンス2019」参加。
中小企業庁次長の「ニッポンのものづくり国家戦略」。
ファナックの専務の「スマート向上実現にむけて」。
三菱電気技監の「産業用ロボットの現状」。
夕刻はラジオNIKKEIの番組があるので
グレイステクノロジー松村社長の「日本のマニュアルはジョクだ」まで聞けるかどうかだが・・・
 
◇━━━ カタリスト━━━◇
 
★NTT(9432)
 
NTTに注目する。
同社は国内通信ガリバー。
地域固定電話網独占、携帯・光回線で高シェア。
NTTデータ、コムのクラウドやシステム開発は国内外で堅調、
太陽光発電などエネルギー関連手がける新会社6月設立。
25年度売上6000億円規模目標。
吉本興業と提携し子ども向け教育動画配信事業を10月以降開始。 
ロンドン拠点が稼働。
3000人の従業員を4000人に増加。
2013年度の海外売上高目標は約2.7兆円。
17年度比4割増の見通し。
AIや量子コンピュータ、バイオテクノロジーなど次世代技術に期待感。

(兜町カタリスト櫻井)

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