10日のNYダウ工業株30種平均は6日続伸した。前週末比78ドル74セント高の2万6062ドル68セントで終えた。ダウ平均の6日続伸は2018年5月に8日続伸して以来、1年1カ月ぶりの連続上昇記録となる。2万6000ドル台を回復するのは5月6日以来1カ月ぶり。
トランプ大統領は7日夜、メキシコと不法移民対策で合意したとして、10日に実施予定だったメキシコ産品への制裁関税発動を「無期限に見送る」とツイッターで表明。両政府はその後、メキシコが中米諸国からの不法移民流入を防ぐため、南部国境に警備隊を優先的に配置することなどを盛り込んだ共同宣言を発表した。
これを受け、両国間の貿易戦争がひとまず回避されたとの安心感から自動車株などに買いが入り、ダウは一時226ドル高まで上昇した。
メキシコに工場を持つ自動車のゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターが上げた。メキシコのビール「コロナ」を販売するコンステレーション・ブランズも買われた。
また、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ観測も引き続き相場を支えた。前週末7日発表の5月の雇用統計では、非農業部門就業者数の伸びが前月から大幅に減速し、平均時給の伸びも市場予想を下回った。FRBが景気下支えのため早期利下げに踏み切るとの期待が株価の支援材料となった。
投資家が運用リスクを回避する姿勢を和らげ、リスク回避時に買われやすい米国債を売る動きが強まった。長期金利が上昇し、利ざやが改善に向かうとの期待からゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株が上昇して相場を支えた。
一方、市場では「今週発表される卸売物価指数(PPI)や消費者物価指数(CPI)、小売売上高などの米経済指標が強い内容になれば、早期利下げ観測がしぼみ、株価にはマイナスになるかもしれない」との指摘が聞かれた。
ナスダック総合株価指数は前週末比81.068ポイント高の7823.169で終えた。アマゾン・ドット・コムが3%強上昇した。クアルコムやマイクロン・テクノロジー、エヌビディアなど半導体株の上昇が目立った。
NYダウ工業株30種(ドル)
26,062.68+78.74
S&P500種
2,886.73+13.39
ナスダック
7,823.169+81.068
NY金(ドル/トロイオンス)
1,329.30-16.80
NY原油(ドル/バレル)
53.42-0.57
円・ドル
108.43 – 108.44-0.23
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は6営業日続伸した。
6月物は前週末比85円高の2万1120円で引け、10日の大取終値を30円下回った。
米国の対メキシコ関税発動の回避を受け投資家心理が上向き、シカゴ日経平均先物は米株とともに買われた。トランプ米大統領は7日、対メキシコ関税発動の見送りを発表し、貿易摩擦の激化懸念が薄れた。
この日の6月物高値は2万1250円、安値は2万1075円。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
21120 ( -30 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
21120 ( -30 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7375.54(+43.60)
FTSE100種総合株価指数は6日続伸した。前週末の終値に比べ43.60ポイント高の7375.54で引けた。構成銘柄の約7割が上昇した。
トランプ米大統領は、10日に発動が予定されていたメキシコ製品に対する追加関税を無期限で見送ると7日表明した。これを受けて、投資家のリスク回避姿勢が和らぎ、欧州各国株式相場が上昇、英国もつれ高となった。英通貨ポンド相場の下落も支援材料となった。
銀行と資源株の値上がりが株価指数の上昇に大きく影響した。
各国の長期金利が上昇していることから、利ざやの改善が期待され、銀行株が買われた。
個別銘柄では、ネット専業スーパーのオカド・グループは約4%超上がった。室内や急な斜面を利用して狭い面積で植物を栽培する垂直農法分野に投資すると発表したことが好感された。アラブ首長国連邦(UAE)アブダビの民間医療サービス最大手NMCヘルスケアは3.1%高。鉱業のアントファガスタも3.7%高と大幅高だった。
半面、四半期の売上高が市場予想を下回った建設資材のファーガソンは4%超の下落。金相場の下落を背景に、関連のフレスニージョの2.7%安と下げも目立った。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
10日のフランクフルト株式市場は、聖霊降臨祭の祝日で休場だった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5382.50(+18.45)
フランスの株価指数CAC40の終値が前週末に比べて0.34%上昇した。
