NYダウ460ドル安と急反落 世界経済減速への懸念

 22日のNYダウ工業株30種平均は急反落し、前日比460ドル19セント安の2万5502ドル32セントとこの日の安値圏で終えた。
 
英調査会社IHSマークイットが22日発表した3月のドイツ製造業購買担当者景気指数(PMI)は44.7と前月(47.6)を下回り、約6年半ぶりの低水準。フランスの製造業PMIも落ち込み、欧州の景気不安の高まりから欧州株式市場は軒並み大幅安。
世界経済の減速懸念が高まる中、米国でもPMIの製造業指数が1年9カ月ぶりの水準に下げた。投資家心理が冷え込み、取引開始から売りが広がった
 
米債券市場では長期金利が1年3カ月ぶりの水準に急低下した。政策金利に連動しやすい短期金利はそれほど下がらず、一部で長期金利が短期金利の水準を下回る「逆イールド」が発生した。銀行の収益が圧迫されるとの見方からゴールドマン・サックスなど金融株が下落。逆イールドが先行きの景気後退を示唆するとの懸念もリスク回避姿勢を一段と強めた。
 
S&P500種株価指数は年初から14%上昇し、約5カ月ぶりの高値圏にあった。市場では「良い材料を先に織り込んで相場が上昇してきたため、指標の悪化に反応し持ち高調整目的の売りが出た」との声があった。
 
ボーイングの新型小型機「737MAX」の2度の墜落事故を受け、インドネシア国営のガルーダ・インドネシア航空が同型機の発注をキャンセルする意向を伝えていたことが22日に判明。ナイキは前日夕の四半期決算で主力の北米売上高が市場予想を下回った。株価はともに大幅に下げ、2銘柄でダウ平均を110ドル以上、押し下げた。
 
米連邦準備制度理事会(FRB)は20日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、これまで「2回」を見込んでいた今年の利上げを「ゼロ」に変更。事前予想を上回る「ハト派」ぶりに、市場は年内の利下げも織り込み始めている。「FRBの弱気の先行き見通しが、景気後退入りへの不安を煽る結果となっている」との指摘が聞かれた。
 
ナスダック総合株価指数は6営業日ぶりに反落し、前日比196.292ポイント安の7642.667で終えた。動画配信のネットフリックスや半導体のエヌビディアなどの下げが目立った。前日に急伸したアップルのほか、アマゾン・ドット・コムやマイクロソフト、アルファベット(グーグル)など主力株が軒並み下げた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
25,502.32-460.19
S&P500種
2,800.71-54.17
ナスダック
7,642.667-196.292
NY金(ドル/トロイオンス)
1,312.30+5.00   
NY原油(ドル/バレル)
58.97-1.01
円・ドル
109.91 – 109.92-1.68

 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は反落した。
欧米の製造業景気指標の低迷や米長短金利の約11年半ぶりの逆転を受け、景気の先行き懸念が強まり米株式相場とともに下落した。長期金利が短期金利を下回る「逆イールド」は将来の景気後退を示唆するとされている。
6月物は前日比430円安の2万0985円で終え、大阪取引所の終値を355円下回った。
円高も売り材料になり、6月物は一時2万0925円まで下げた。高値は2万1480円だった。
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
20985 ( -355 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
21000 ( -340 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数は大幅に反落した。前日21日の終値に比べ147.72ポイント安の7207.59で引けた。構成銘柄の約9割が下落した。
 朝方発表された独仏の3月の製造業購買担当者景況指数(PMI)がふるわず、欧州の景気減速懸念が強まった。加えて、前日の欧州連合(EU)首脳会議で、英国のEU離脱が少なくとも4月12日まで延期されることとなり、外国為替市場でポンドが急伸したことも株式相場の逆風になった。米国株の寄り付きの急落も眺めて、英国株はじり安となった。
終値ベースで下げ幅が100ポイントを超えたのは2018年12月以来。資源株や銀行株、多国籍企業への売りが目立った。
 
個別銘柄では、産銅大手アントファガスタが4.1%安、鉱業大手アングロ・アメリカン2.8%安、資源大手グレンコア2.4%安など、資源株が売られた。
総合ヘルスケアのNMCヘルスが大幅安となり、指数の下げを主導した。
 
半面、教育事業のピアソンと衣料小売りのネクストが高くなった。ともにアナリストが目標株価を引き上げたことが買い手がかりになった。店舗削減が伝えられた小売大手セインズベリーは0.1%高と小じっかりだった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数(DAX)は大幅に続落した。終値は前日21日と比べて185.79ポイント安の11364.17と、ほぼ1カ月ぶりの安値水準だった。
朝方に相次いで発表になった仏、独、ユーロ圏の経済指標が低水準となり、景気の先行きを懸念した売りが欧州各国の株式相場に広がった。
 
個別では、医療機器のフレゼニウス、鉄鋼のティッセン・クルップの下げが目立った。一方、電力株は堅調だった。

■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)5,269.92 -108.93
フランスの株価指数CAC40の終値が前日に比べて約2%下落した。

 

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