NYダウ190ドル安、米欧間の貿易摩擦激化への懸念

9日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比190ドル44セント安の2万6150ドル58セントで終えた。
建機のキャタピラーなど海外事業の売上高比率が高い銘柄の下げが目立った。1~3月期の旅客機の引き渡し機数が前年同期比で大きく減った航空機のボーイング株が3日続落したのも相場の重荷となった。
 
米通商代表部(USTR)は8日、欧州航空機大手エアバスに対する欧州連合(EU)の不当な補助金で損害を被ったとして、報復関税措置の対象品目を公表。エアバス機のほか、乳製品やワインなど約110億ドル(約1兆2000億円)相当を対象とした。これに対し、EUの欧州委員会も米航空機大手ボーイングへの米補助金をめぐり、報復関税の準備を進めていることを明らかにし、米欧間の貿易摩擦激化への懸念からダウは一時230ドル余り下落した。
 
国際通貨基金(IMF)が9日発表した世界経済見通しで今年の成長率予測を下方修正した。幅広い地域で成長鈍化を予測しており、世界経済の先行き不透明感が改めて意識されたのも投資家心理を冷やした。主な株価指数が半年ぶりの高値圏にあるため、利益確定売りも出やすかった。
 
一方、今週からは10日にデルタ航空、12日にJPモルガン・チェースとウェルズ・ファーゴが先陣を切る格好で、米主要企業の1~3月期決算の発表が始まる。調査会社リフィニティブによると主要企業の純利益は前年同期比2.5%減と11四半期ぶりのマイナスとなる見通し。ただ、「企業業績の急減速は織り込み済み」といい、想定よりも悪くない業績であれば、買いが入るとの見方も出ていた。
 
セクター別では、メディアや公益事業が上昇する一方で資本財やエネルギーが下落した。
 
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、同44.606ポイント安の7909.278で終えた。アマゾン・ドット・コムなど主力株の一角や、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など半導体株が下落した。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
26,150.58-190.44
S&P500種
2,878.20-17.57
ナスダック
7,909.278-44.606
NY金(ドル/トロイオンス)
1,308.30+6.40   
NY原油(ドル/バレル)
64.15+0.17
円・ドル
111.12 – 111.13-0.18
 
 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は続落した。6月物は前日比175円安の2万1615円と、大阪取引所の終値を125円下回って終えた。
欧米の貿易摩擦や世界景気の減速への懸念が広がり、日経平均先物は米株式とともに売られた。トランプ米大統領は9日、110億ドル相当の欧州連合(EU)製品に関税を課す姿勢と表明した。国際通貨基金(IMF)は9日に発表した世界経済見通しで19年の成長予測を引き下げた。
安値は2万1585円、高値は2万1815円だった。
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
21615 ( -125 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
21635 ( -105 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7425.57(-26.32)
FTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前日の終値に比べ26.32ポイント安の7425.57で引けた。
米欧の貿易摩擦激化懸念が欧州主要国の株価を軒並み圧迫した。トランプ米大統領は、欧州連合(EU)の欧州航空機大手エアバスへの補助金が不当だったとして、欧州からの輸入品への追加関税を表明。これに対し、EUも米国のボーイングへの補助金が不当だとして報復に乗り出した。
英国のEU離脱の迷走も上値を抑えた要因。10日のEU首脳会議を控えてこの日もポンドは神経質な動きとなり、株価も影響を受けた。構成銘柄の約7割が下落した。
 
個別銘柄では、航空機エンジンのロールス・ロイスも下落した。米通商代表部(USTR)が8日に、EUが欧州航空機大手エアバスに補助金を支給していることへの報復として、航空機を含む欧州製品について、追加関税適用を検討するリストを公表したことから売られた。梱包材メーカーのスマーフィット・カッパ・グループは3%超下落した。流通大手テスコは1.7%安、同モリソンズも2.0%安、同マークス&スペンサーが1.0%安などと小売株が軟調だった。
 
半面、金融大手HSBCホールディングス(0.5%高)、同ロイズ・バンキング・グループは、0.5%高、同ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドは0.7%高などの銀行株が総じて買われた。メディアのITVと総合ヘルスケアのNMCヘルスの値上がりも目立った。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11850.57(-112.83)
ドイツ株式指数(DAX)は続落した。終値は前日と比べて112.83ポイント安の11850.57だった。午前に上昇に転じる場面もあったが、その後再び売られた。
 
個別銘柄では、複数のアナリストが投資判断を引き下げたITのSAPは3%超下落した。医薬・化学大手の独メルクの下げも目立った。米半導体用材料メーカーの買収をめぐり、メルクが競合相手を上回る提示額を示し勝利した。
上昇したのは、日用品のバイヤースドルフと電力のRWEを含む5銘柄だけだった。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5436.42(-35.36)
 
 

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