6日のNYダウ工業株30種平均は前日比133ドル17セント安の2万5673ドル46セントと3日続落した。2月14日以来ほぼ3週ぶりの安値で終えた。
米中の貿易協議の先行きに警戒感が広がり、中国売上高が大きい銘柄を中心に売りが出た。原油価格の下落も重荷だった。
経済協力開発機構(OECD)は6日公表した最新の世界経済見通しで、2019年の世界全体の成長率が3.3%にとどまると予想。英国の欧州連合(EU)離脱などの政治不安が経済的なリスクになり得ると指摘し、昨年11月の前回予想を0.2ポイント下方修正した。こうした見通しを受けて市場では世界的な景気減速への懸念が広がり、エネルギーや資本財など幅広い銘柄に売りが出た。
米商務省が発表した2018年の貿易統計(通関ベース)でモノの赤字が8787億200万ドルと06年以来12年ぶりに過去最大になった。対中国が2年連続で最大となり、トランプ米大統領が貿易協議で一段と強硬姿勢に傾きかねないとの警戒感を誘った。ボーイングやキャタピラーなどが売られ、ダウ平均を押し下げた。
また、米中貿易協議に関する新たな手掛かり材料に欠ける中、当面の利益を確定する売りも出やすかった。
雇用サービス会社ADPが発表した2月の全米雇用リポートで、非農業部門の雇用者数(政府部門を除く)が前月比で18万3000人増えた。ほぼ市場予想並みだったが、共同調査しているムーディーズ・アナリティクスのエコノミストが「雇用拡大のピークは過ぎた可能性がある」と指摘した。8日発表の米雇用統計を見極めたいとの雰囲気が強まり、買いが手控えられた。
過剰在庫への警戒感を背景に原油先物相場が続落した。収益悪化への警戒感からエクソンモービルなどエネルギー関連株が売られた。米長期金利が低下(債券価格は上昇)し、利ざや縮小への警戒感からゴールドマン・サックスなど金融株も下落が目立った。
セクター別では、食品・飲料・タバコや素材が上昇する一方で自動車・自動車部品や半導体・半導体製造装置が下落した。
ナスダック総合株価指数は、70.441ポイント安の7505.920で終えた。アマゾン・ドット・コムやアルファベット(グーグル)など主力株の一角に売りが優勢になった。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,673.46-133.17
S&P500種
2,771.45-18.20
ナスダック
7,505.920-70.441
NY金(ドル/トロイオンス)
1,284.70-2.80
NY原油(ドル/バレル)
56.19-0.37
円・ドル
111.74 – 111.75-0.04
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ3月物は前日比140円安の2万1545円で引け、6日の大取終値を45円下回った。
米中貿易協議の先行き警戒感が広がり米株とともに売られた。6日発表になった米貿易統計で昨年のモノの赤字が過去最大になり、米国が通商交渉で強硬姿勢を強めるとの懸念が広がった。
この日の3月物安値は2万1535円、高値は2万1700円だった。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
21545 ( -45 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
21535 ( -55 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7196.00(+12.57)
FTSE100種総合株価指数は4日続伸し、前日5日の終値に比べ12.57ポイント高の7196.00で引けた。下落した銘柄の方が多かったものの、時価総額の大きいたばこ株が買われ、指数を下支えした。
個別銘柄では、ブリティッシュ・アメリカン・タバコが5%高と大幅に上昇した。電子たばこの規制強化を進めていた米食品医薬品局(FDA)長官が来月に辞任する意向だとの報道を材料に買われた。
包装のDSスミスも高かった。プラスチック事業の売却を発表し、リサイクル可能な製品の生産に力を入れる方針を示したことが好感された。主力の鉱業株も軒並み上げた。
半面、金融株が軟調だった。通期決算を発表したリーガル・アンド・ゼネラル(L&G)を筆頭に保険株がほぼ全面安となったほか、銀行株と資産運用株も売りに押された。
英高級衣料バーバリーは4.0%安と安かった。アナリストが投資判断を引き下げたことが影響した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11587.63(-33.11)
ドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前日5日と比べて33.11ポイント安の11587.63だった。自動車株の下落が指数の重荷になった。構成銘柄の約7割が下落した。
個別銘柄では、欧州連合(EU)当局が調査していた自動車のBMW、ダイムラー、VW(フォルクスワーゲン)グループ3社に対するカルテル疑惑をめぐる懸念が再び意識され、いずれも下落した。透析器大手のフレゼニウス・メディカル・ケアと半導体のインフィニオンテクノロジーズの下げが目立った。
一方でドイツ銀行が上昇した。7日の欧州中央銀行(ECB)理事会で、ユーロ圏の銀行に対する貸し出し条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)の再実施に触れるのではないかとの思惑から買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5288.81(-8.71)
