「数値は明るくない」
NY株式市場は3日続落。
ヘルスケアやエネルギーセクターが足を引っ張った。
年初来10%超上昇していたS&P500は1カ月ぶりの大幅な下落率となった。
200日移動平均線は上抜けたが2800ポイントが抵抗線という見方だ。
ラッセル2000指数は2.0%安と年初来最大の下落率。
「市場はこれまでにかなり上昇してきた。もう割安とはいえない」という指摘もある。
気にかかるのは先行指標とされるDJ輸送株指数の9日続落。
2011年7~8月の8日連続以来の記録だ。
90年以降の8日以上の続落は8回。
2009年2月9日~23日までの10日続落の記録への挑戦権が発生。
今年2月11日~21日までの8日続伸とは対照的な流れだ。
「決算シーズンが終わりに近付き、投資家は米中通商合意や雇用統計など次の材料を求めている」という見方だ。
地区連銀経済報告(ベージュブック)は「世界経済の減速や政府機関の一部閉鎖が経済成長の重荷になった」
OECDが2019年と20年の世界の経済成長率見通しをそれぞれ3.3%、3.4%に下方修正。
昨年11月に続いて再びの下方修正は嫌気される。
「リスク資産の上昇は息切れしてきた」という声が聞こえる。
株安トレンドを受けて債券は上昇(利回りは低下)。
10年国債利回りは2.6%台。
ドル円は111円台後半。
ADP雇用レポートは民間部門雇用者数が18.3万人増で着地。
前月の30万人増から伸びは鈍化。
市場予想の18.9万人増を下回った。
8日発表予定の雇用統計は非農業部門雇用者数が18万人増、失業率が3.9%の見通し。
1月は30.4万4000人増、失業率4%だった。
メジャーSQ週の「魔の水曜」は続落。
寄り付き67円安、大引け129円安。
「あちらには雇用統計、こちらにはメジャーSQという週末のイベントが控えていて動きづらい」という解釈だ。
5日線(21626円)を割り込んだのが懸念という見方もある。
もっともファーストリテ1銘柄で50円近く日経平均を引き下げた格好。
とりたててどうこういう筋合いでもない。
東証1部の売買代金は1兆9688億円と2兆円割れ。
値上がり737銘柄。値下がり1291銘柄。
新高値20銘柄、新安値14銘柄。
騰落レシオは108.75と低下した。
日足は4日ぶりの陰線。
NT倍率は13.37倍。
25日線からは2.0%のプラスかい離。
200日線からは2.0%のマイナスかい離。
松井証券信用評価損益率速報で売り方▲9.610%。
買い方▲9.890%。
マザーズ銘柄ネットストック信用評価損益率で売り方▲6.006%。
買い方▲15.452%。
空売り比率は44.1%と2日連続の40%超。
今回も40%を下回ったのは1日だけだった。
Quick調査の3月1日時点の信用評価損益率は▲13.15%と3週連続の改善。
3月1日時点の裁定買い残は633億円増の7259億円。
同売り残は69億円増の3907億円。
買い残の当限は787億円増の6815億円、翌限は153億円減の442億円。
売り残の当限は264億円減の1522億円、翌限は333億円増の2384億円。
日経HVは16.5、日経VIは17.56。
日経平均採用銘柄のPERは12.32倍、EPSは1752円。
PBRは1.14倍。
シカゴ225先物終値は大証日中比45円安の21545円。
高値21700円、安値21535円。
ボリンジャーのプラス2σが21951円、プラス1σが21564円。ここが前日下げ止まった水準だ。
2勝6敗の木曜日というのは気にかかる。
東証1部の時価総額が616兆円。
700兆円の壁が立ちはだかった格好でのもみ合いという気もする。
気学では「初め高いと後安の日。逆なら見送れ」。
金曜は「上寄りすると押し込むが安寄りすると踏みあがる日」。
みずほは今季業績を下方修正。
「最近はあまりお目にかからないなと思っていたら、何とみずほがやってくれました」と市場関係者。
ひっそりと下方修正されたOECDの世界経済見通し。
2019年の世界経済成長率見通しは昨年11月時点よりも0.2%ポイント下げて3.3%。
2020年の世界経済成長率見通しは昨年11月時点よりも0.1%ポイント下げて3.4%。
根拠は「貿易摩擦やブレグジット巡る不透明感が打撃。
高い政策不透明感、進行中の貿易摩擦、そして企業・消費者信頼感のさらなる低下。
これが全て見通しの下方修正につながっている。
ブレグジットを含め、欧州ではかなりの政策不透明感が残っている。
無秩序の離脱となれば、欧州の各国経済にとってコストがかなり上昇するだろう」とした。
以下はその数値。
↓
2018 2019 2020
WORLD 3.6 3.3 (-0.2) 3.4 (-0.1)
G20 3.8 3.5 (-0.2) 3.7 (0.0)
AUSTRALIA 2.9 2.7 (-0.2) 2.5 (-0.1)
CANADA 1.8 1.5 (-0.7) 2.0 (0.1)
EURO AREA 1.8 1.0 (-0.8) 1.2 (-0.4)
GERMANY 1.4 0.7 (-0.9) 1.1 (-0.3)
FRANCE 1.5 1.3 (-0.3) 1.3 (-0.2)
ITALY 0.9 -0.2 (-1.1) 0.5 (-0.4)
JAPAN 0.7 0.8 (-0.2) 0.7 (0.0)
KOREA 2.7 2.6 (-0.2) 2.6 (-0.3)
MEXICO 2.1 2.0 (-0.5) 2.3 (-0.5)
TURKEY 2.9 -1.8 (-1.4) 3.2 (0.3)
UNITED KINGDOM 1.4 0.8 (-0.6) 0.9 (-0.2)
UNITED STATES 2.9 2.6 (-0.1) 2.2 (0.1)
ARGENTINA -2.5 -1.5 (0.4) 2.3 (0.0)
BRAZIL 1.1 1.9 (-0.2) 2.4 (0.0)
CHINA 6.6 6.2 (-0.1) 6.0 (0.0)
INDIA 7.0 7.3 (0.0) 7.3 (-0.1)
INDONESIA 5.2 5.2 (0.0) 5.1 (0.0)
RUSSIA 1.6 1.4 (-0.1) 1.5 (-0.3)
SAUDI ARABIA 2.0 2.1 (-0.5) 2.0 (-0.5)
SOUTH AFRICA 0.8 1.7 (0.0) 2.0 (0.2)
もう一つ明るくないのは2018年の米国の貿易赤字。
前年比12.5%増の6210億3600万ドルと08年以来10年ぶりの高水準。
減税で内需が刺激されたことで輸入総額が過去最高を記録。
対中貿易赤字も過去最高となった。
17年の貿易赤字は5522億7700万ドルだった。
「米政権の保護主義的な通商政策にもかかわらず貿易赤字は拡大」との見方だ。
米政権は昨年2500億ドル規模の中国製品に輸入関税を発動。
中国は1100億ドル規模の米国大豆やその他の商品に対して報復関税を課した。
また鉄やアルミニウム、太陽光パネル、洗濯機にも輸入関税を課している。
18年の対中貿易赤字は前年比11.6%増の4191億6200万ドルと2年連続で過去最高。
60カ国からの輸入が過去最高で輸入総額は2兆5630億9000万ドルと全体でも最高。
対日貿易赤字は676億ドル(前年比1.8%減)。
主要な輸入先は中国、メキシコ、ドイツだった。
18年のモノの貿易赤字は8913億ドルと過去最高。
12月に12.4%と急増したことが押し上げ要因となった。
昨日、半導体商社のPALTEK(7587)の高橋忠仁会長と対談。
いくつかの点でかなり興味深かった。
一つは「FPGA(Field Programmable Gate Array)」。
設計者が手元で変更を行いながら論理回路をプログラミングできるLSIのこと。
AIのソフトウェアを組み込むことでAIをハードウェア化することができる。
その優位性はリアルタイム高速処理、低消費電力、柔軟性、長期供給。
エッジ側(端末)にAIを搭載することでIoTは進展する。
もうひとつはエッジ側での 画像処理AI。
これはディープラーニング・ソリューションだ。
あらゆるデータを素早く行うことが求められる。
最高だったのは「スパースモデリング・ソリューション」という言葉。
AIというとあらゆるデータを集めて学習すると理解される。
しかしこれは「エッジ学習が可能なFPGA向けAIリューション」。
特徴抽出や移動体検出が中核。
小型なアルゴリズムでディープラーニングと比べ学習量が少なくて済むという。
言ってみれば「勘」の世界。
AIが「勘」を身につければコレは強い。
NYダウは133ドル安の25673ドルと3日続落。
NASDAQは70ポイント安の7505ポイント。
S&P500は18ポイント安の2771ポイント。
ダウ輸送株指数は52ポイント安の10261ポイントと9日続落。
SOX指数は1.70%下落。
VIX指数は15.66。
3市場の売買高は73億株。
CME円建ては大証日中比135円高の21755円。
ドル建ては大証比140ポイント高の21760ポイント。
ドル円は111.75円。
10年国債利回りは2.693%。
◇━━━ カタリスト━━━◇
豊田通商(8015)・・・動兆
豊田通商に注目する。
同社はトヨタ系の総合商社で自動車関連事業が営業利益の7割。
EVジャパン、CDS経営戦略研究所、講談社、マピオンと共同で環境問題や地域の移動問題を解決方向。
モータ・ECU・バッテリーなどのHV基幹ユニットをリユースするシステムを構築。
電動カートや観光地用周遊バス、農業用軽トラックなどへの動力システム供給を目指している。
遠隔監視や遠隔制御、自動運転といった機能を付加した車両の開発を行うという。
(兜町カタリスト櫻井)
