17日のNYダウ工業株30種平均は前日比162ドル94セント高の2万4370ドル10セントと3日続伸した。ほぼ1カ月ぶりの高値で終えた。
朝方は米企業業績の不透明感から、相場は下げる場面が多かった。
米金融大手モルガン・スタンレーが朝方発表した2018年10~12月期決算は、一時的な税金費用がかさんだ前年同期に比べ、純利益が2.3倍に拡大。しかし、金融市場の急変動が響き、1株当たりの利益は市場予想平均に届かなかった。これを受け、ゴールドマン・サックスとバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)の好決算をはやした前日の買い意欲が後退。寄り付き後間もなく、ダウの下げ幅は118ドルに達した。
しかし午後に入り、米政府が対中関税の引き下げを検討していると伝わり、米中貿易摩擦への懸念が後退した。投資家心理が強気に傾き、中国関連を中心に幅広い銘柄に買いが入った。
報道を受け、ダウ平均の上げ幅は一時260ドルを超えた。中国売上比率が高い建機のキャタピラーや航空機のボーイングが大幅に上昇。アップルや化学のダウ・デュポンも相場を押し上げた。
ただ、取引終了にかけて伸び悩む場面もあった。貿易協議の責任者である対中強硬派のライトハイザー米通商代表部(USTR)が反対しているとも伝わり、関税引き下げが実現するかどうかは不透明との見方が浮上し、買いの勢いが鈍った。
セクター別では、資本財や素材が上昇する一方で電気通信サービスや家庭用品・パーソナル用品が下落した。
ナスダック総合株価指数は前日比49.770ポイント高の7084.463とほぼ1カ月ぶりの高値で終了した。アマゾン・ドット・コムやマイクロソフト、アルファベット(グーグル)など主要株が上昇した。
個別では、金属大手のアルコア(AA)は、決算内容が好感され上昇。トランプ大統領が欧州との通商交渉を意識して、輸入自動車への追加関税を検討しているとの観測から、自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)やフォード(F)も堅調推移した。米中貿易交渉の進展が意識され、同国での売上比率の大きい航空機メーカーのボーイング(BA)や建設機械のキャタピラー(CAT)が買われた。
一方で、鉄道のCSX(CSX)は、弱気な売上高見通しが嫌気され下落した。
NYダウ工業株30種(ドル)
24,370.10+162.94
S&P500種
2,635.96+19.86
ナスダック
7,084.463+49.770
NY金(ドル/トロイオンス)
1,293.80
NY原油(ドル/バレル)
52.23-0.08
円・ドル
109.24 – 109.25+0.46
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は上げた。3月物は前日比20円高の2万0495円で引け、17日の大取終値を145円上回った。
午後に米政府が対中関税の取り下げを検討しているとの報道が流れ、米株とともに買われた。朝方は売りが先行し、2万0200円台で推移していた。
この日の3月物高値は2万0605円、安値は2万0180円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
20495 ( +145 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
20515 ( +165 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6834.92(-27.76)
FTSE100種総合株価指数は続落した。前日16日の終値に比べ27.76ポイント安の6834.92で引けた。
英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる先行き不透明感から積極的な取引を手控える投資家も多かったようで、取引は低調だった。金融株が売りに押されたほか、メディアのITVが大幅に下落し株価指数の重荷になった。ただ午後に入り鉱業株と、銀行株の一角が買いに転じたことなどで下げ幅を縮小した。指数構成銘柄全体の約7割が下落した。
個別では、メディアのITVが終日売られ、約6%安で引けた。午前には一時8%近く下落した。アナリストが、テレビ離れが進む傾向から広告収入が減少するとの見方を示し、投資判断を引き下げたことが売り材料視された。他では、エネルギー・サービス会社ジョン・ウッド・グループが4.7%安、エネルギー大手SSEも3.3%安と売られた。
金融の保険株、資産運用株はそろって全面安だった。銀行株も全面安で推移していたが、HSBCホールディングスが引けにかけて小幅に上昇した。銀行のロイズ・バンキング・グループは前日終値と同水準まで値を戻した。
半面、衣料小売りと食品事業のアソシエーテッド・ブリティッシュ・フーズ(ABF)とソフトウエア開発のセージ・グループが大幅に上昇した。四半期決算でABFは市場予想を上回る増益となり、セージも増収となったことが買い手がかりになった。ギャンブル事業のGVCホールディングスも高くなった。通年の利益見通しが予想を上回るとの見方を示したことが好感された。公益株も上げた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 10918.62(-12.62)
ドイツ株式指数(DAX)は3日ぶりに反落した。終値は前日16日と比べて12.62ポイント安の10918.62だった。
個別では、ドイツ銀行が約4%安で引けた。前日に8%高と急伸したことで利益確定の売りが出た。自動車株も売りが優勢だった。一方で前日に下落した消費財のヘンケルは値ごろ感から買われた。オンライン決済サービスのワイヤーカードが高かった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4794.37(-16.37)
フランスの株価指数CAC40では大手金融機関のソシエテ・ジェネラル、スペインのIBEX35ではメディア株が大幅に下落した。
