22日のNYダウ工業株30種平均は前週末の18日終値に比べ301ドル87セント安の2万4404ドル48セントと5営業日ぶりに反落で終えた。
中国や世界の景気減速への警戒感が改めて広がった。アジアや欧州の主要な株価指数が下げ、米市場でも海外売上比率が高い企業を中心に幅広く売られた。
ダウ平均は直前の4営業日で800ドル近く上昇していただけに、短期的な利益確定売りも出やすかった。
国際通貨基金(IMF)は21日、世界経済見通しを改定し、2019年の世界の成長率予想を3.5%と、昨年10月時点の予測から0.2ポイント下方修正。また、中国国家統計局が同日発表した2018年の国内総生産(GDP)は実質ベースで前年比6.6%増にとどまり、28年ぶりの低水準となった。米中貿易摩擦や米政府機関の閉鎖長期化などリスク要因が山積する中、世界経済の減速懸念が高まり、ダウは寄り付きから売りが優勢となった。
建機のキャタピラーや化学のダウ・デュポン、航空機のボーイングといった、中国など海外売上比率が高い銘柄の下げが目立った。
また、午後に入ると複数の米欧メディアが、トランプ米政権が月末に予定される米中閣僚級の貿易協議に向けた準備会合に応じない方針と報道。先週高まった閣僚級協議の進展期待に冷や水を浴びせられ、ダウは下げ足を速めて、一時460ドル超下落した。
米長期金利の低下を受け、利ざやが縮小するとの見方からゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなどの金融株も売りが優勢だった。原油先物相場が下落し、シェブロンやエクソンモービルといった石油株もさげた。
セクター別では公益事業と消費者サービスが小幅上昇する一方で、半導体・同製造装置や小売、資本財が軟調。
ナスダック総合株価指数は18日と比べ136.872ポイント安の7020.356で終えた。アマゾン・ドット・コムやアルファベット(グーグル)、アップルなど主力株が軒並み下げ、指数の重荷となった
個別では、医薬品のジョンソン&ジョンソン(JNJ)は10-12月期決算で、ベビーパウダーの発ガン性に関する訴訟関連費用が倍増したことなどが嫌気され下落した。工具メーカーのスタンレー・ブラック&デッカー(SWK)は為替やコスト増加により赤字決算を発表して下落。非鉄金属のアーコニック(ARNC)は、身売り計画を断念したことを明らかにし、大幅下落した。
一方でオークションサイトのイーベイ(EBAY)は、アクティビスト投資家のエリオット・マネジメントが4%強の同社株を取得し、企業価値向上に向けた書簡を公開し上昇した。
NYダウ工業株30種(ドル)
24,404.48-301.87
S&P500種
2,632.90-37.81
ナスダック
7,020.356-136.872
NY金(ドル/トロイオンス)
1,282.60-9.70
NY原油(ドル/バレル)
52.77-1.03
円・ドル
109.38 – 109.39-0.04
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は反落した。
3月物は前週末比500円安の2万0425円で引け、22日の大取終値を135円下回った。
世界景気の減速懸念や米中貿易交渉の先行き不透明感から米株とともに売られた。
この日の3月物安値は2万0330円、高値は2万0935円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
20425 ( -135 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
20450 ( -110 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6901.39(-69.20)
FTSE100種総合株価指数は世界的な株安を背景に3営業日ぶりに反落した。前日の終値に比べ69.20ポイント安の6901.39で引けた。構成銘柄の約7割が下落した。日中を通して下げ幅は徐々に広がった。
国際通貨基金(IMF)が21日に世界景気の見通しを下方修正するなど世界的な景気減速が警戒され、アジアや欧米の各国株式相場が下落し、英国にも売りが波及した。景気に敏感な資源株と銀行株が売られ、株価指数の下落に大きく影響した。
個別銘柄では、エネルギー関連サービスのウッド・グループが4%安となった。石油のロイヤル・ダッチ・シェルはアナリストによる投資判断の引き下げも響いて売られた。軟調な鉄鉱石の生産見通しを示したBHPグループの下げも目立った。
アナリストが株価目標を引き下げたロシアの鉄鋼大手エブラズも大幅安となった。銀行株も軒並み下がった。スイスの同業UBSの2018年の通期利益が市場予想を下回ったことが響いた。
半面、航空のイージージェットは6%超の上昇と目立った。通期利益の見通しがほぼ市場予想の水準圏だったことが買い材料となった。ネット専業スーパーのオカド・グループも3.3%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11090.11(-46.09)
ドイツ株式指数(DAX)は続落した。終値は前日と比べて46.09ポイント安の11090.11だった。世界的な景気減速が警戒され、欧州各国で売りが広がった。
個別銘柄では、素材メーカーのコベストロと半導体のインフィニオンテクノロジーズ、鉄鋼のティッセン・クルップの値下がりが目立った。
一方で、航空のルフトハンザは買われた。モルガン・スタンレーが投資判断と株価目標をともに引き上げたことが好感された。オンライン決済サービスのワイヤーカードと工業用ガスのリンデも高くなった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4847.53(-20.25)
