ダウ反発で34ドル高、一時500ドル超の下落から切り返す

10日のNYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、前週末比34ドル31セント高の2万4423ドル26セントで終えた。
ダウ平均は、前週末7日までの3営業日で1400ドル余り急落。10日も米中貿易の先行き懸念は根強く、取引開始から売りが優勢した。
 
また、メイ英首相が英国の欧州連合(EU)からの離脱案を巡り、11日の議会で予定していた採決を見送ったのを受け一時は500ドルあまり下落した。
英国がEU離脱を巡る議会投票を延期したのを受け午前に大幅安となった。英国や欧州の経済混乱につながりかねない「合意なし離脱」への警戒感が短期筋の売りを誘った。米クアルコムが10日朝、中国の裁判所がアップルのスマートフォン「iPhone」の販売差し止めの仮処分を出したと発表し、アップル株が売られたのも投資家心理を冷やした。
 
世界景気の減速懸念から原油先物相場が反落し、エクソンモービルやシェブロンなど石油関連株が売られて指数の重荷となった。英EU離脱を巡る欧州経済の先行き不透明感や長短金利の縮小継続への警戒感から、JPモルガン・チェースやゴールドマンサックスなど金融株も下げた。
 
午前中の売りも一服すると、ダウは徐々に下げ幅を縮め、プラス圏に浮上。携帯端末用半導体大手の米クアルコムとの特許訴訟で、中国での一部の「iPhone(アイフォーン)」の販売停止処分を受けて売りが出ていたアップルがプラス圏に浮上したことも、投資家心理を和らげた。
S&P500種株価指数などの主要な株価指数が4~5月の取引時間中の安値を下回らなかったことから短期筋の売り圧力が衰えた。
 
半面、上値の重さも意識された。11月の中国の貿易統計を受けて中国の内需低迷が世界景気の減速につながるとの警戒感が上値を抑えた。米国の要請に応じてカナダ当局が逮捕した中国の華為技術(ファーウェイ)副会長兼最高財務責任者(CFO)の保釈を巡る聴聞会の結果を見極めたいとの雰囲気も根強かった。
 
セクター別では、半導体・半導体製造装置やソフトウェア・サービスが上昇する一方で銀行や自動車・自動車部品が下落した。
 
ナスダック総合株価指数は反発し51.268ポイント高の7020.520で終えた。自社株買い枠の増額を届け出たフェイスブックが買われたほか、マイクロソフトやアルファベット(グーグル)、アマゾン・ドット・コムなど主力株が軒並み上昇した。
 
個別では、半導体のクアルコム(QCOM)は、携帯端末のアップル(AAPL)による特許侵害が認められ、中国での「iPhone」旧モデルの販売差し止めを受けて上昇した。エヌビディア(NVDA)やブロードコム(AVGO)も買われた。
一方で、アップルの部品サプライヤーであるスカイワークス・ソリューションズ(SWKS)、コルボ(QRVO)は下落した。原油相場の下落で、石油のマラソン・オイル(MRO)や深海油田開発のトランスオーシャン(RIG)などエネルギー銘柄が軟調推移となった。
 
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,423.26+34.31
S&P500種
2,637.72+4.64
ナスダック
7,020.520+51.268
NY金(ドル/トロイオンス)
1,249.40-3.20   
NY原油(ドル/バレル)
50.89-1.72
円・ドル
113.29 – 113.30+0.66

 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は大幅安の後、下げ幅を縮めた。
12月物は前週末比10円安の2万1325円と、10日の大取終値を185円上回った。英国の欧州連合(EU)離脱を巡る議会採決の延期で英政局先行き警戒感が広がり、一時米株とともに売り込まれた。その後は米株の反発につれ回復に転じた。
 
この日の12月物安値は2万0945円、高値は2万1390円。
 

シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
21325 ( +185 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
21320 ( +180 )
※( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6721.54(-56.57)
FTSE100種総合株価指数は反落した。前週末7日の終値に比べ56.57ポイント安の6721.54で引けた。
アジア株安の流れが波及し、売りが優勢で始まった。
英国の欧州連合(EU)からの離脱合意案をめぐり、メイ首相が議会採決を延期。政局混迷に対する懸念が一段と強まり、株価の圧迫材料となった。英通貨ポンドが大幅安となったにも関わらず、株安はとまらなかった。
指数構成銘柄全体の約8割が下落した。公益株、銀行株をはじめ金融株、資源株がいずれも全面安となった。石油株は原油相場の下落が売り材料視された。
 
個別では、ギャンブル事業のGVCホールディングスが値下げ幅を拡大し、6%近く下落した。住宅建築株も売りに押されるなか、バラット・ディベロップメンツの下げが目立った。
 
半面、堅調な金相場を背景に関連のランドゴールド・リソーシズは5.5%高と高かった。フレスニージョも0.3%高と堅調。海外で収益を得るたばこ株と医薬品株が買われた。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 10622.07(-166.02)
ドイツ株式指数(DAX)は5日続落。終値は前週末7日と比べて166.02ポイント安の10622.07だった。
終値ベースで前週末に付けた年初来の安値水準を下回り、2016年12月以来、約2年ぶりの安値水準で引けた。
アジア株安の流れが波及し、欧州市場も全面安で始まった。午後に入り下げ幅を拡大した。米国株式相場の大幅な下落や英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる先行き不透明感などで投資家心理が悪化した。構成銘柄の9割が下落した。
 
個別では、ドイツ銀行や医薬・農薬大手のバイエルが大幅に下落した。
一方で医療機器のフレゼニウス、不動産のボノビア、工業用ガスのリンデの3銘柄が上げた。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4742.38(-70.75)

 

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