NYダウ53ドル安、政権運営の先行き不透明感

 
11日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比53ドル02セント安の2万4370ドル24セントで終えた。
 
トランプ米大統領は朝方、ツイッターに「中国とは極めて建設的な対話が行われている。重要な発表に注目するように」と投稿。またブルームバーグ通信は、中国が米国車に課している報復関税の引き下げに動くと報じた。市場では米中間の貿易摩擦緩和への期待が広がる中、自動車株を中心に買われ、ダウは序盤に一時368ドル高まで上昇した
 
ただ米中交渉は長期化が予想されるうえ、11日は米予算編成を巡るトランプ大統領と野党民主党の対立も伝わったため、積極的な買いは続かなかった。
ダウ平均は徐々に伸び悩み、午後には200ドルあまりの下げに転じた。中国との貿易交渉は長期化が予想されるうえ、対中戦略で米政府高官同士の相反するコメントが伝わった経緯もあり「(トランプ氏の前向きな発言も)市場の信頼性を失いつつある」との声がある。
 
11日は2019会計年度(18年10月~19年9月)予算編成を巡り、メキシコ国境の「壁」建設に充てる50億ドルの予算計上を求めるトランプ氏が、民主党幹部と激論となった。もともと投資家心理が弱気に傾きやすい基調とあって、国内政治の不透明感も相場の下押し圧力になった。
 
市場関係者は「金融株の下げが目立った。景気の先行き懸念や米利上げの打ち止め観測などが重しとなっている」と話した。
 
セクター別では、家庭用品・パーソナル用品や食品・生活必需品小売が上昇する一方で銀行や保険が下落した。
 
ナスダック総合株価指数は続伸し、前日比11.311ポイント高の7031.831で終えた。アルファベット(グーグル)やマイクロソフトなど主力株の一角が買われた。半導体のブロードコムの上げも目立った。一方、アップルの下げが続き、エヌビディアも大幅に下げた。
 
個別では、靴小売のDSW(DSW)は、決算内容が予想を上振れ上昇。自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)やフォード(F)は、中国による輸入関税引き下げへの動きから堅調推移。検索大手のアルファベット(GOOGL)は、グーグルのピチャイCEOがプライバシー問題に関して下院で証言し上昇した。
一方で、半導体のエヌビディア(NVDA)は、ソフトバンクが保有する同社株の全売却を検討していることが報じられ下落した。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,370.24-53.02
S&P500種
2,636.78-0.94
ナスダック
7,031.831+11.311
NY金(ドル/トロイオンス)
1,249.40-3.20
NY原油(ドル/バレル)
51.96+0.96
円・ドル
113.38 – 113.39+0.27
 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は小幅高。
12月物は前日比20円高の2万1345円で引け、11日の大取終値を215円上回った。米中貿易交渉の進展期待から米株とともに買い先行で始まった。
12月物は一時2万1525円まで上げた。その後、トランプ米大統領と野党民主党首脳が予算編成を巡り激しく対立する模様がテレビで放映され、投資家心理を冷やし上げ幅を縮めた。この日の12月物安値は2万1065円
 
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
21345 ( +215 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
21345 ( +215 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

 ■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6806.94(+85.40)
FTSE100種総合株価指数は英通貨ポンド安を好感して反発し、全面高となった。
前日の終値に比べ85.40ポイント高の6806.94で引けた。構成銘柄の約9割が上昇した。日中を通して徐々に上げ幅が広がった。
 
中国の副首相と米国の通商代表らが通商問題について電話で協議したことが明らかになり、両国間の通商協議が進展するとの期待が広がった。欧米各国の株高を受けて、英株もつれ高となった。資源株の値上がりが株価指数を押し上げた。
 
個別銘柄では、銅の価格上昇で鉱業関連株が軒並み大幅高だった。アングロ・アメリカンは5.5%高、2018年の生産量がこれまでの予想を上回るとみる一方で、同年の費用は予想を下回るとの見通しを示したことが好感された。建機・産業機器レンタルのアシュテッド・グループは3.6%高、通期業績がこれまでの会社予想を上回るとの見通しを示し、大幅高となった。業績回復に向け新たなビジネスプランを発表した広告のWPPグループの上げも目立った。
 
半面、複数のアナリストが投資評価を引き下げた資産運用のスタンダード・ライフ・アバディーンは1.9%安と売られた。鉱業のランドゴールド・リソーシズも軟調だった。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 10780.51(+158.44)
ドイツ株式指数(DAX)は6営業日ぶりに反発した。終値は前日と比べて158.44ポイント高の10780.51だった。3銘柄を除くすべての銘柄が上昇した。日中を通して徐々に上げ幅が広がった。米中の通商協議が進展すると期待され、欧州各国の株式相場が上昇した。
 
自動車株が買われた。なかでもフォルクスワーゲンの値上がりが目立った。医薬・農薬大手のバイエルと工業用ガスのリンデも大幅高となった。値下がりしたのは、不動産のボノビアとドイツポスト、医療機器のフレゼニウスの3銘柄だけだった。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4806.20(+63.82)
フランスの株価指数CAC40の終値が前日に比べて1%以上上昇した。

 

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