17日のNYダウ工業株30種平均は大幅続落し、前週末比507ドル53セント安の2万3592ドル98セントで終えた。3月23日に付けた今年の安値(2万3533ドル)に迫った。
この日も世界的な景気減速を懸念した売りが継続。朝方に発表された12月のNY州製造業景況指数が10.9と前月の23.3から大幅低下し、市場予想(ロイター通信調べ)の20.6を大きく下回ったことも相場の重しとなっているもようだ。
また、米連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)を18、19両日に控えて警戒ムードも広がっていることから、買いが入りにくいもよう。今会合での追加利上げ決定はほぼ確実視されているが、FOMC終了後に公表する声明や金利見通しなどでFRBが今後の利上げペースについてどんな見解を示すかに注目が集まっている。
下げ幅は取引終盤に643ドルに広がった。世界景気の先行き不透明感からダウ平均は前週末に最高値からの下落率が10%を超え、調整局面入りとなった。週明けも押し目買いを入れる材料に乏しく、持ち高を手じまう目的の売りが続いた。
FOMCを前に「19年の利上げに対する不透明感が嫌気されている」との声がある。追加利上げが予想される半面、声明で「19年の世界景気について慎重な姿勢を示せば一段の株安があり得る」。FOMCメンバーの景気認識や利上げ見通しを確認するまで買いは入れにくいという。
テキサス州の連邦裁判所が14日に米医療保険制度改革(オバマケア)に違憲判決を下したのを受け、ヘルスケア関連株が軒並み下げた。「これまで資金の受け皿になっていただけに、市場心理が一段と弱気に傾いた」との指摘も聞かれた。
米著名投資家のジェフリー・ガンドラック氏が17日、米CNBCのインタビューで「米株式相場が弱気相場に入った」との認識を示した。市場では通常、高値からの下げ幅が2割に達すると弱気相場入りと判断する。発言が伝わったタイミングで主要指数の下げ幅は大きくなった。
S&P500種株価指数は今年の安値を更新した。
セクター別では全面安となり、特に家庭用品・パーソナル用品や不動産の下落が目立った。
ナスダック総合株価指数は3日続落し、前週末比156.932ポイント安の6753.733で終えた。17年11月中旬以来、1年1カ月ぶりの安値を付けた。アマゾン・ドット・コムやフェイスブック、マイクロソフトなど主力株が軒並み下げた。
個別では、複写機のゼロックス(XRX)は、格付会社のムーディーズが同社格付をジャンク急に下方修正し大幅下落。家電量販店のベストバイ(BBY)は、バンクオブアメリカによる投資判断引き下げを受け下落。投資銀行のゴールドマンサックス(GS)は、マレーシア政府系投資会社である1MDPを巡る巨額不正事件で、同国当局による訴追を受け軟調推移した。検索大手のアルファベット(GOOGL)は、NYでのオフィス拡張に10億ドル超を投じることを発表し売られた。
NYダウ工業株30種(ドル)
23,592.98-507.53
S&P500種
2,545.94-54.01
ナスダック
6,753.733-156.932
NY金(ドル/トロイオンス)
1,241.40-6.00
NY原油(ドル/バレル)
49.16-2.04
円・ドル
112.82 – 112.83-0.58
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は続落した。
3月物は前週末比140円安の2万1085円で引け、17日の大取終値を365円下回った。
世界景気の先行き警戒感が根強いうえ、18~19日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に買い控える向きが多く、米株とともに売られた。
この日の3月物安値は2万0910円、高値は2万1500円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
21085 ( -365 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
21130 ( -320 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6773.24(-71.93)
FTSE100種総合株価指数は3日続落した。前週末14日の終値に比べ71.93ポイント安の6773.24で引けた。
米国株の寄り付きの急落などが重しとなった。さらに、指数構成銘柄ではないものの、オンライン衣類小売大手ASOSが業績不振で約40%の大暴落となり、アパレル株を中心に株式市場全体に懸念が広がった。構成銘柄の約9割が下落した。
個別では、英ファッション通販大手のASOSの急落が波及し、同業小売りのネクストが4.6%安やマークス・アンド・スペンサー(M&S)が4.6%安、ネット専業スーパーのオカドは4.4%安などに売りが膨らんだ。ASOSは本格的な年末商戦期を前に業績見通しを引き下げたことをきっかけに売られ、30%超下げた。英経済の先行き不透明感がくすぶるなか、住宅建設株や金融株も売られた。テクノロジー株も売りが先行した。引けにかけてエネルギー関連サービスのウッド・グループは6.0%安と総合ヘルスケアのNMCヘルスは5.0%安と値下げ幅を広げ、大幅安で引けた。
半面、主力の鉱業株が上昇した。自社株買いが完了したと伝わったBHPビリトンは2.7%高と、一部アルミニウム製錬所の売却が完了したリオ・ティントも2.4%高と上げが目立った。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 10772.20(-93.57)
ドイツ株式指数(DAX)は3日続落した。終値は前週末14日と比べて93.57ポイント安の10772.20だった。
前週末に引き続き、欧州の景気減速を警戒した売りが優勢で始まった。午後に米国の株式相場が下落して始まったことに伴い、欧州株も下げ幅を拡大した。ドイツ株は一時1.5%程度まで下げ幅を広げる場面があった。構成銘柄の約8割が下落した。アディダスが大幅安で引けた。電力のエーオンの下げも目立った。
一方、医薬・農薬大手のバイエルが上げた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4799.87(-53.83)
フランスの株価指数CAC40は1%以上、下落した。
