14日のNYダウ工業株30種平均が4日続落し、前日比205ドル99セント安の2万5080ドル50セントで終えた。
前日に約1年ぶりの安値を付けた原油価格の反発の動きを受け、14日の米株式市場は取引開始直後にエネルギー株を中心に押し目買いが入って、ダウは一時210ドル超上昇。
ただ、目先の戻りを期待した買いが先行したが続かず、次第に世界景気の先行き不透明感などからの売りが優勢になった。アップルや金融株の下げも重荷だった。
午後には350ドル安となる場面があった。コンピューター経由の「アルゴリズム」取引などで荒い値動きとなった。投資家心理を測る指標である変動性指数(VIX)が上昇し、不安心理が高まった状態とされる20を上回った。
14日発表の10月の中国の小売売上高は鈍化が目立ち、米中貿易摩擦の影響を受ける中国景気の減速が鮮明になってきた。原油先物相場が前日まで12日続落したことも、世界景気の減速を映しているとの見方があった。
アップルは5日続落し、ダウ平均の重荷となった。アナリストによる目標株価や「iPhone(アイフォーン)」の販売台数予想の引き下げが相次いだ。JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスなどの金融株も安い。金融規制を協議する下院金融サービス委員会の委員長に就く予定の民主党のウォーターズ議員が、規制緩和に否定的な発言をし、売りを招いた。
午後に英政府が同日の閣議で、欧州連合(EU)離脱交渉を巡り、交渉官レベルで暫定合意した離脱協定案を了承したと伝わった。EU離脱に伴う不透明感が後退したとして、相場は下げ幅を縮める場面があった。
朝方発表の10月の米消費者物価指数(CPI)は前月比0.3%上昇した。市場予想と同じだが、上昇率は1月以来の大きさだった。過度な利上げ警戒感が和らいだ半面、緩やかな利上げが続くとの受け止めが多かった。
セクター別では、電気通信サービスやメディアが上昇する一方でテクノロジー・ハード・機器や保険が下落した。
ナスダック総合株価指数は反落し、同64.482ポイント安の7136.393で終えた。アップルに加えて、アマゾン・ドット・コムやネットフリックスなどの主要IT(情報技術)株が下げた。
個別では、医療用大麻のキャノピー・グロース(CGC)は、1株損失の拡大が嫌気され大幅下落。同業ティルレイ(TLRY)も軟調推移となった。写真共有アプリを手掛けるスナップチャット(SNAP)は、昨年の新規株式公開(IPO)での情報開示を巡り、米司法省とSEC(米証券取引委員会)による捜査を受けていることが明らかとなり下落した。
一方で、衣料品のカナダグース(GOOS)は、決算内容が好感され、大幅上昇となった。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,080.50-205.99
S&P500種
2,701.58-20.60
ナスダック
7,136.393-64.482
NY金(ドル/トロイオンス)
1,210.10+8.70
NY原油(ドル/バレル)
56.00+0.31
円・ドル
113.56 – 113.57-0.33
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は5営業日続落した。
12月物は前日比105円安の2万1665円で引け、14日の大取終値を155円下回った。
朝方は米株とともに反発して始まったものの、世界景気の先行き警戒感が重荷になり、米株とともに下げに転じた。中国の10月の小売売上高が5カ月ぶりの低水準になり、景気減速懸念が広がった。
この日の12月物安値は2万1550円。高値は2万1985円。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
21665 ( -155 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
21675 ( -145 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7033.79(-19.97)
FTSE100種総合株価指数は反落した。前日の終値に比べ19.97ポイント安の7033.79で引けた。構成銘柄の約6割が下落した。
前日の引け後、英政府が欧州連合(EU)からの離脱で事務レベルの暫定合意に達したと発表した。しかし、英議会承認の不透明感などから、株価の押し上げにはつながらなかった。
個別では、ロシアの鉄鋼大手エブラズは3.3%安と大幅安。資源大手リオティントは、3.5%安、同BHPビリトンは、2.4%安など資源株の一角が下落率上位となった。
複数のアナリストが株価目標を引き下げた信用調査のエクスペリアンの値下がりも目立った。
半面、ソフトウエア開発のマイクロフォーカスは、アナリストによる投資判断の引き上げが好感され6%超上昇した。時価総額の大きい日用品のレキットベンキーザーの値上がりは株価指数の下値を支えた。自動車・航空部品のスミス・グループは約5%超上がった。同社は産業技術に注力するため、ヘルスケア部門を分社化すると発表した。再生可能エネルギー部門を含む新会社を設立すると発表した電力のSSEも大幅高となった。ブックメーカー(賭け屋)のパディパワー・ベットフェアとギャンブル事業のGVCホールディングスも大幅高だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11412.53(-59.69)
ドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前日と比べて59.69ポイント安の11412.53だった。
7~9月期に独日両国がマイナス成長となったことから、世界的に景気の減速が懸念され、欧州各国の株式相場は下がって始まった。午後に米国株が上昇して始まると、欧州各国も上昇に転じる場面があったが、その後再び売られた。
個別では、オンライン決済サービスのワイヤーカードが5%安。第3四半期の業績は良好で、通期の利益見通しも引き上げたものの、取扱量が予想を下回ったとして売りが広がった。複数のアナリストが株価目標を引き下げた医薬・農薬大手のバイエルの下げも目立った。
一方、電力のエーオンは大幅高。2018年通期の利益は予想の上限方向に達するとの見通しを示したことが好感された。第3四半期の決算を発表した医薬・化学大手の独メルクは4%超上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5068.85(-33.00)
