15日のNYダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反発し、前日比208ドル77セント高の2万5289ドル27セントで終えた。
この日のNYダウは売り優勢で開始した。朝方発表された米百貨店チェーン大手のさえない決算内容が嫌気され、小売り株が売られたほか、英国の欧州連合(EU)離脱に対する不透明感も投資家心理を悪化させた。両政府は同日までに離脱協定案に合意したが、同案への反発から英閣僚が相次ぎ辞任し、政局混迷への不安が広がった。
一時は下げ幅を前日比292ドルまで広げた。
15日に四半期決算を発表したウォルマートの下げはダウ平均の重荷だった。15日発表の10月の米小売売上高は前月比で市場予想以上に増えたが、8~9月分が下方修正されたうえ、自動車やエネルギーの影響などを除くコア売上高は予想ほど強くないとの見方を誘い、小売株の売りにつながった。
ただ、米中貿易交渉の進展を期待させる報道をきっかけに買いが優勢になった。アップルが6日ぶりに反発し、主力ハイテク株に買いが波及した。
「米国と中国が、20カ国・地域(G20)首脳会議で貿易戦争の休戦で合意する努力を強めている」とフィナンシャル・タイムズ(FT、電子版)が15日午後に報じた。貿易摩擦が和らぐとの期待を誘い、中国売上比率が高い建機のキャタピラーや工業製品・事務用品のスリーエム(3M)などが買われ、ダウ平均を押し上げた。
アナリストが「買いの好機」と指摘したアップルが6日ぶりに反発した。同社株の上昇が投資家心理の改善につながり、他の大型ハイテク株の買いにつながった。
前日夕に著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社が7~9月期に保有株の新規取得や買い増しが明らかになったJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカなどの銀行株も買われた。
ナスダック総合株価指数は反発し、前日比122.639ポイント高の7259.032で終えた。主力株に加え、15日の取引終了後に決算発表を控えたエヌビディアのほか、マイクロン・テクノロジーなど半導体関連の上げも目立った。
セクター別では、半導体・半導体製造装置やテクノロジー・ハード・機器が上昇する一方で食品・生活必需品小売や不動産が下落した。
個別では、百貨店のJCペニー(JCP)は、既存店売上高が予想を下振れたものの、在庫処分を目的とした値引き販売などの事業改革が終了間近との見方が広がり大幅上昇した。ネットワーク機器メーカーのシスコ・システムズ(CSCO)は、決算内容が好感され堅調推移。携帯端末のアップル(AAPL)は、モルガン・スタンレーが成長を続けるサービス部門の重要性を指摘し買われた。
一方で、小売最大手のウォルマート(WMT)は売上高が予想を下振れ下落した。SNSのフェイスブック(FB)は、プライバシー問題に関して対応が遅れ、不十分であった内情をNYタイムズ紙が詳細に報じ売られた。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,289.27+208.77
S&P500種
2,730.20+28.62
ナスダック
7,259.032+122.639
NY金(ドル/トロイオンス)
1,215.00+4.90
NY原油(ドル/バレル)
56.56+0.31
円・ドル
113.57 – 113.58+0.05
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は6営業日ぶりに上げた。
12月物は前日比270円高の2万1935円で引け、15日の大取終値を115円上回った。
朝方は英国の欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感から、米株とともに売りが先行した。その後は英報道を手がかりに米中貿易交渉の進展期待が広がり、反発した。
この日の12月物高値は2万1940円。安値は2万1540円。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
21935 ( +115 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
21950 ( +130 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7038.01(+4.22)
FTSE100種総合株価指数は小反発した。前日14日の終値に比べ4.22ポイント高の7038.01で引けた。
英国の欧州連合(EU)離脱一色に染まった相場だった。14日夜に英EUが離脱協定に合意したが、結局好感した買いは入らなかった。15日は英閣僚が相次いで辞任。与党内でメイ首相に対する不信任投票を要求する動きも伝わった。
株価は通貨ポンド急落による下支えと「合意なき離脱」の懸念のせめぎ合いの中で、前日終値を挟んだ水準となった。構成銘柄の半数以上が下落した。
個別銘柄では、金属と原油の価格上昇を受けて主力の鉱業株と石油株がそろって全面高となった。なかでもロシアの鉄鋼大手エブラズが5.2%高と鉱業のランドゴールド・リソーシズは4.8%高と上げが目立った。エネルギー関連サービスのウッド・グループも高かった。
半面、銀行のロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)が9%超安と、年初来安値で引けた。ロイズ・バンキング・グループなども大幅に下げた。住宅建築株は軒並み7%以上、下落した。なかでもパーシモンの下げ幅は一時10%を超えた。小売株も売られた。
上期決算が大幅に減益となった郵便大手のロイヤル・メールも安かった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11353.67(-58.86)
ドイツ株式指数(DAX)は続落した。
終値は前日14日と比べて58.86ポイント安の11353.67だった。反発して始まった後、米株の下落が波及し下げに転じた。構成銘柄の約8割が下落した。
個別銘柄では、タイヤのコンチネンタルや自動車株が売られた。10月の欧州の新車販売数が2カ月連続でマイナスとなったことが弱材料になった。医薬・化学大手のメルクが安かった。
一方で重電のシーメンスや化学のBASFが上げた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5033.62(-35.23)
