19日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前週末比395ドル78セント安の2万5017ドル44セントと、10月30日以来3週ぶりの安値で終えた。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)はこの日、アップルが9月に発表したスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の新モデル3機種について、ここ数週間で生産の発注を減らしていると報道。これを受けてアップル株やサプライヤー株が急落したほか、アマゾン・ドット・コムなど他の主要IT株にも売りが膨らんだ。
ダウ平均の下げ幅は一時512ドルに達した。アップル1銘柄でダウ平均を51ドル押し下げた。
また、18日閉幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では、米国と中国の意見が対立し、首脳宣言採択を断念する異例の結果となった。両国の主張の開きが大きいことが浮き彫りとなり、市場では貿易摩擦が早期に解決されるとの期待が後退。中国との取引が多いボーイングなどが売り込まれ、ダウを押し下げた。
建機のキャタピラーや工業製品・事務用品のスリーエム(3M)など中国売上高が多い銘柄が下落。航空機のボーイングはインドネシア機墜落との関連が指摘される機体の不具合について当局の調査を受けていることも嫌気され、下げが大きくなった。ボーイング1銘柄でダウ平均を101ドル押し下げた。
全米住宅建設業協会(NAHB)が19日朝に発表した11月の住宅市場指数は前の月から大幅に低下し、2016年8月以来の低水準となった。市場予想も下回り、利上げ継続による住宅市場への悪影響も警戒された。
日産自のカルロス・ゴーン会長が金融商品取引法違反の疑いで逮捕された件については「心理面で米市場でもマイナスに働いた可能性はあるが、実質的な影響はない」との見方があった。
セクター別では公益事業や電気通信サービスが上昇する一方で、半導体・半導体製造装置やソフトウェア・サービスが下落した。
ナスダック総合株価指数は大幅続落し、前週末比219.396ポイント安の7028.477と4月25日以来ほぼ7カ月ぶりの安値で終えた。
個別銘柄では、アマゾンとフェイスブックが5%を超える下落。中国当局が反トラスト(独占禁止法)違反を示す証拠を主張したと報じられた企業にマイクロン・テクノロジーが含まれたことから、半導体株にも売りが殺到した。前週の決算が失望を誘った半導体のエヌビディア(NVDA)は19日も12%安で引けた。
電気自動車のテスラ(TSLA)は、マスクCEOが独ダイムラーとライトバンの電動化で協業の可能性を示唆したほか、電気自動車リーフで一部競合する日産自動車(NSANY)のゴーン会長逮捕の報道もあり日中上昇して推移していたが、引けにかけて小幅下落に転じた。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,017.44-395.78
S&P500種
2,690.73-45.54
ナスダック
7,028.477-219.396
NY金(ドル/トロイオンス)
1,225.30+2.30
NY原油(ドル/バレル)
57.17+0.71
円・ドル
112.51 – 112.52-0.23
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は続落した。
12月物は前週末比155円安の2万1590円で引け、19日の大取終値を250円下回った。
アップル主導で米株が大幅に下げたうえ、米中貿易協議への警戒感が広がり、米株とともに売られた。18日に閉会したアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は、米中の対立で首脳宣言を初めて断念した。
この日の12月物安値は2万1530円。高値は2万1915円。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
21590 ( -250 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
21605 ( -235 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7000.89(-12.99)
FTSE100種総合株価指数は続落した。前週末16日の終値に比べ12.99ポイント安の7000.89と10月下旬以来、約3週間ぶりの安値水準で引けた。構成銘柄の約6割が下落した。
株価は高値で寄り付いたが、米株安を眺めて値を消した。英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる政局混迷やアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での米中対立も市場心理を圧迫した。
首相であるメイ保守党党首の不信任投票をめぐる政治的駆け引きの行方を見きわめたいとの様子見の姿勢が漂い、終日低調な取引だった。
個別銘柄では、石油株が全面安となったほか、エネルギー関連サービスのウッド・グループも売られた。建機・産業機器レンタルのアシュテッド・グループが4.2%安、特殊化学のジョンソン・マッセイも4.1%安と売りが進行し、指数の下げを主導した。買いが先行して始まったたばこのインペリアル・ブランズは利益確定の売りなどで下落して引けた。
一方、金属相場の上昇を背景に鉱業株が軒並み上昇した。なかでもフレスニージョは3.4%高と上げが目立った。前週末に下落した銀行株と保険株の大半が買い戻された。携帯電話サービスのボーダフォン・グループなど通信株も上げた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11244.54(-96.46)
ドイツ株式指数(DAX)は4日続落した。終値は前週末16日と比べて96.46ポイント安の11244.54だった。
午後に入り、米株安に連動して下げ幅を広げた。
個別では、オンライン決済サービスのワイヤーカードが約7%安と大幅に下落し、株価指数の重荷になった。医療機器のフレゼニウスとIT(情報技術)のSAPの下げが目立った。
一方で工業用ガスのリンデが上げた。下落基調が続いていた自動車株は買い戻され、全銘柄が上げた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4985.45(-39.75)
フランスの株価指数CAC40は、自動車大手ルノー株の下落が指数を押し下げ、前営業日終値比で0.80%近く下落した。ルノー株は一時15%安まで急落する場面があったが、8%超安で引けた。
