NYダウ108ドル高、米中首脳会談への期待

27日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前日比108ドル49セント高の2万4748ドル73セントとこの日の高値圏で終えた。
 
この日のダウ平均は売り優勢でスタート。トランプ米大統領は米紙ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、貿易問題をめぐる中国との協議が不調に終われば、新たな対中制裁関税を発動する意向を表明。また、来年1月に予定する関税率の引き上げが凍結される可能性についても「かなり低い」と語り、市場では今週末から始まる20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて開かれる米中首脳会談の行方に警戒感が広がった。
 
朝方に米連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長が講演し、政策金利は景気をふかしも冷やしもしない中立金利に「かなり近づいた」と話した。28日にはパウエルFRB議長が講演する。不安定な株式相場を踏まえ「利上げは経済データ次第との姿勢を強調するのでは」との思惑が広がった。
 
ダウ平均は朝方に一時220ドルあまり下落した。上げに転じた後も買いは医薬品や通信などディフェンシブ関連に偏り、相場の上値は重かった。トランプ氏が前日に中国と合意できなければ中国から輸入するiPhone(アイフォーン)にも関税をかけると述べ、アップルが下落した。UBSのアナリストは10%の関税で、アップルの2019年9月期の1株利益に0.33ドル分の下押し圧力がかかると試算した。
 
事業分割とともに自社株買いの一時停止や利益見通しの引き下げを発表した航空機・機械のユナイテッド・テクノロジーズ(UTC)が大幅安。米中交渉を前に航空機のボーイングも売られ、相場の重荷になった。
 
セクター別では電気通信サービスや医薬品・バイオテクノロジーが上昇する一方で、自動車・自動車部品や素材が下落した。
 
ナスダック総合株価指数は小幅に続伸し、前日比0.847ポイント高の7082.700で終えた。バイオ関連株などに買いが入った一方、アップルやフェイスブックなど主力株の下げが続き、指数の上値は重かった。
 
アマゾン・ドット・コムは26日の「サイバーマンデー」で商品の注文数が過去最高を更新したと発表した。ただ輸送コスト増加などへの警戒もあり、上値は重かった。
 
個別銘柄では、複合企業のユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)は、分社化計画を発表したものの、コスト負担への懸念から下落。自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)は、トランプ大統領が同社の事業再編計画への不満を表明し、電気自動車販売向け補助金の全廃を示唆したことで軟調推移した。バイオ医薬品のブリストル・マイヤーズ(BMY)は、皮膚がん治療薬の臨床試験失敗を発表し下落。携帯端末のアップル(AAPL)は、トランプ大統領による関税引き上げ措置の影響が懸念され売られた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,748.73+108.49
S&P500種
2,682.17+8.72
ナスダック
7,082.700+0.847
NY金(ドル/トロイオンス)
1,213.40-9.00   
NY原油(ドル/バレル)
52.09+0.46
円・ドル
113.76 – 113.77+0.17
 
 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は小幅続伸した。
12月物は前日比50円高の2万2095円で引け、26日の大取終値を95円上回った。
今週末の米中首脳会談を控え、貿易交渉の進展期待が広がり、米株とともに買われた。クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は27日、米中首脳会談は新たな展開の機会との見方を示した。
27日の12月物高値は2万2200円、安値は2万1820円。
 
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
22095 ( +95 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
22095 ( +95 )
( )は大阪取引所終値比
 
 

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7016.85(-19.15)
FTSE100種総合株価指数は反落した。前日の終値に比べ19.15ポイント安の7016.85で引けた。構成銘柄の約6割が下落した。徐々に下げ幅が広がった後、米国株の下げ渋りにともない、英国も下げが縮まった。
 
トランプ米大統領が中国輸入品への関税を拡大する可能性を示したことから、市場では両国の貿易摩擦が激しくなるとの懸念が強まった。欧米各国の株式相場が売られ、英国もつれ安となった。資源株と医薬品株の値下がりが株価指数の下げに寄与した。
 
個別銘柄では、鉱業・化学のジョンソン・マッセイが4.1%安とギャンブル事業のGVCホールディングスが3.8%安ともに大幅安。旅行のTUIの下げも目立った。英同業のトーマス・クックが通期の利益見通しを引き下げたことが売り材料となった。アナリストが株価目標を引き下げた鉱業のアントファガスタの値下がりも大きくなった。銀行株も軒並み下落した。
 
半面、飲料のコカ・コーラ・ヘレニック・ボトリングは4%超上昇した。今年7月以降、株価が大幅に下落していたために割安感が出ていた。飲料の市況の改善で今後は良好な業績も期待できるとして、アナリストが投資判断を買いに引き上げたことが好感された。ネット専業スーパーのオカド・グループは3.3%高と携帯電話サービスのボーダフォン・グループは1.8%高と上げも目立った。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11309.11(-45.61)
ドイツ株式指数(DAX)は3営業日ぶりに反落した。終値は前日と比べて45.61ポイント安の11309.11だった。
トランプ米大統領が26日に中国の輸入品すべてに関税を課す可能性を示したことから、米中の貿易摩擦が激しくなると懸念され、欧州各国の株式市場で売りが広がった。
ドイツ誌がこの日、米大統領は20カ国・地域(G20)首脳会議の後、来週にも輸入車に関税を課す可能性があると報じたことから、自動車株が軒並み売られた。
 
個別銘柄では、フォルクスワーゲンは4%下がった。オンライン決済サービスのワイヤーカードとタイヤのコンチネンタルの値下がりも大きくなった。
一方で、透析器大手のフレゼニウス・メディカル・ケアと電力のエーオンは買われた。
 
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4983.15(-11.83)
 

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