NYダウ617ドル高、FRB議長発言で利上げ打ち止め観測

28日のNYダウ工業株30種平均は前日比617ドル70セント高の2万5366ドル43セントと大幅に3日続伸で終えた。上げ幅は3月下旬以来、約8カ月ぶりの大きさで月間でも上昇に転じた。
 
株価の不安定な動きが続く中、利上げペースが緩まることを期待する投資家は、28日のパウエルFRB議長のニューヨークでの講演に注目。講演で同議長は「政策金利は中立金利を若干下回っている」と述べ、利上げの停止が近づいていることを示唆した。これを受け、市場では「来年の利上げ回数は9月時点の見通しである3回から2回に減り、その後の利上げは打ち止めとなる」との見方が広がり、株価上昇に拍車が掛かった。
 
利上げ打ち止め観測から金融政策の影響を受けやすい2年物の米国債利回りが低下した一方、長期金利の指標である10年物の米国債利回りは横ばい圏で推移した。長短金利差の縮小への警戒感が後退し、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株も軒並み上昇した。
 
また、米ニューヨーク・タイムズ(電子版)は27日、複数の政府関係者の発言として米中首脳会談が「停戦の舞台になる」と報じた。トランプ米大統領は貿易戦争が金融市場や経済に与える影響を懸念しているという。問題解決に向け米中が交渉する数カ月間は新たな関税を遅らせる可能性があるという。
 
中国で生産する「iPhone」が来年から制裁関税の対象になるとの警戒感が後退したアップルが大幅に上昇。10月下旬にインドネシアでライオン航空機が墜落した事故の原因が、同航空の整備にあった可能性が浮上したこともありボーイングも買われ、2銘柄でダウ平均を150ドル押し上げた。
 
10月の新築一戸建て住宅販売件数が2年7カ月ぶりの低水準となったのを受けて午前中に売りが膨らんでいたKBホームやDRホートンなど住宅関連株も、午後の取引では軒並み上昇した。利上げが早期終了すれば、住宅販売の鈍化につながっている住宅ローン金利の上昇に歯止めがかかるとの期待が広がった。
 
米商務省が発表した7~9月期の実質国内総生産(GDP)改定値は、前期比年率で3.5%増えた。10月末発表の速報値と同じで、市場予想に一致したため相場の反応は限定的だった。
 
セクター別では小売やソフトウェア・サービスが上昇する一方で、公益事業や家庭用品・パーソナル用品が下落した。
 
ナスダック総合株価指数は208.892ポイント高の7291.592で終えた。アマゾン・ドット・コムやアルファベット(グーグル)、ネットフリックスなど主力株が軒並み大幅高となった。
 
個別では、クラウドベースの顧客管理ソフトなどのセールス・フォース(CRM)は、決算内容が予想を上振れたほか、19年度の業績見通しを引き上げ上昇。ネット小売のアマゾン(AMZN)は、サイバーマンデーの注文数が創業以来で最多となったことを明らかとなり、業績期待から堅調推移。家電量販店のベストバイ(BBY)は、楽天の調査でブラックフライデーでの市場シェア拡大を指摘され買われた。
 
一方で、宝飾品のティファニー(TIF)は、既存店売上高が予想を下振れたほか、年末商戦を控えて中国人旅行者の支出減少懸念が強まり大幅下落となった。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
25,366.43+617.70
S&P500種
2,743.78+61.61
ナスダック
7,291.592+208.892
NY金(ドル/トロイオンス)
1,223.60+10.20
NY原油(ドル/バレル)
50.31-1.25
円・ドル
113.65 – 113.66-0.21

 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は3日続伸した。12月物は前日比300円高の2万2395円と、この日の高値近くで引け、28日の大取終値を165円上回った。

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を受け、利上げ終了時期は近いとの見方が広がり、米株とともに買われた。
同議長は、政策金利は中立水準を「わずかに下回る」と述べた。
この日の12月物高値は2万2420円、安値は2万2040円。
 
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
22395 ( +165 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
22400 ( +170 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7004.52(-12.33)
FTSE100種総合株価指数は続落した。前日27日の終値に比べ12.33ポイント安の7004.52で引けた。構成銘柄の6割近くが下落した。
低調な取引となるなか、売り買いが交錯した。午前は前日終値付近でもみ合っていた。米株高につれて午後に買いが進む局面があったが、金融株と住宅建設株に売りが広がり、結局下落して引けた。
 
個別銘柄では、英格安航空大手イージージェットが4.9%安、指数の下げを主導した。アナリストが目標株価と投資判断を同時に引き下げたことが売り材料視された。同業のインターナショナル・エアラインズ・グループも連れ安した。住宅建設大手パーシモンは4.7%安、英住宅大手テイラー・ウィンペイは4.2%安と大幅に下落した。
 
半面、主力の鉱業株が終日上昇し、株価指数を下支えした。米株市場でのハイテク株の買いが波及し、ソフトウエア開発のセージ・グループとマイクロフォーカスが上昇した。
産銅大手アントファガスタは3.6%高、英オンライン食品販売オカド・グループは2.1%高と買われた。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11298.88(-10.23)
ドイツ株式指数(DAX)は小幅続落。終値は前日27日と比べて10.23ポイント安の11298.88だった。
取引は低調だった。米株高に連れて上昇する局面があったものの、引けにかけて売りが優勢になった。タイヤのコンチネンタルが大幅下落し、指数の重荷になった。同社は2019年の業績見通しに慎重な見方を示したことで売られた。電力株が軟調だった。
一方で医療機器のフレゼニウスと素材メーカーのコベストロが高かった。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4983.24(+0.09)

 

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