「材料なのか需給なのか」

「材料なのか需給なのか」
 
NY株式市場は急落。
NYダウは600ドル超の下落。
NASDAQは300ポイント超の大幅下落。
4.4%安は1日の下落率としては2011年8月18日以来の大きさだ。
8月29日の直近高値からは12.4%の下落率となり「調整局面入り」。
S&P500は6日続落。
NYダウとS&P500は年初来からの騰落率がマイナスに転じた。
「世界的なリスクオフトレード」という見方になってきた。
新築一戸建て住宅の販売戸数は約2年ぶりの低水準。
住宅ローン金利と住宅価格の上昇が市場の重荷となった格好だ。
地区連銀経済報告(ベージュブック)では「製造業者が関税を理由に値上げを行っている」との指摘。
半導体大手のTIの軟調な業績も売り材料とされた。
SOX指数は6%超の下落となり2014年10月以来の大幅下落。
第3四半期の米企業増益率予想は過去10日間に21.6%から22.4%に上向いていた。
しかし第4四半期については冴えない見通しを受け20%から19.5%に低下している。
10年債利回りは3.1%台で3週間ぶりの低水準。
オバマ前米大統領やヒラリー・クリントンなどへの不審物郵送の事件も安全志向を高め債券買い心理になったそういう解釈も聞こえる。
「株安が安全資産のドル志向につながりドル高」という珍妙な声。
ドル円は112円台前半での推移。
VIX(恐怖)指数は25.27に上昇。
SKEW指数は126.54と落ち着いている。
7月に2回、8月に2回、9月にも2回点灯した「ヒンデンブルグ・オーメン」。
コイツでも持ち出してくるのだろうか。
 
水曜の日経平均は前日の604円安に対して80円高。
「戻ったといえるほどの幅ではない。下ヒゲが長い陰線。
底打ち感やアク抜け感はまだない」との見方だ。
新興市場はマザーズ、ジャスダックとも冴えない動き。値上がり1283銘柄。値下がり729銘柄は順当。
新高値11名銘柄、新安値384銘柄は意外感。
騰落レシオは93,54%まで低下した。
NT倍率は13.37倍と98年3月以来の過去最高水準。
松井証券信用評価損益率速報で売り方▲8.506%。買い方▲13.396%。
マザーズ銘柄ネットストック信用評価損益率で売り方▲0.6%。買い方▲20.86%。
10月19日時点のQuick調査の信用評価損率はマイナス10.17%と3週ぶりに改善。
空売り比率は44.49%と前日の50.8%から低下した。
裁定買い残は4539億円減の1兆3749億円。
3週連続減少し直近2週間で約1兆円の減少となった。
裁定売り残は257億円増の3727億円。
日経VIは25.22と低下。
日経平均採用銘柄のPERは12.73倍と2日連続の13倍割れ。
EPSは1735円。
シカゴ225先物終値は大証日中比625円安の21405円。
安値は21340円。
7月安値21462円を掠めての戻り。
その先は残念ながら3月安値20317円まで節はない。
下向きの25日線(23309円)からは5.23%のマイナスかい離。
21500円どころに下落するとマイナス7.5%を超える。
マイナス10%かい離で20978円だ。
同200日線(22491円)からは1.78%のマイナスかい離。
20241円でマイナス10%かい離だ。
12ヶ月線(22559円)の下に24ヶ月線(21084円)が控えている。
6ヶ月線(22689円)が12ヶ月線を下抜けると厄介な状況。
15年9月以来の13週と26週線のデッドクロスも指摘されている。
「ゴールデンクロスまで1年かかった」というのが日経朝刊「スクランブル」での論旨だ。
ボリンジャーのマイナス2σ(21865円)で昨日は下げ止まったが、マイナス3σは21143円。
気学では「人気に逆行し前後場仕成を異にする」。
市場からは「追証」の声。
日銀のETF買いは昨日まで今月10回で6月の10回に並んだ。
今日買えば11回目で今年最高のハイペース。
日経平均は10月2日の24270円から9%下落しており、今日は10%超の数字。
「セオリーでは調整入り」という声もある。
株式益回りは7%台だが8%台が見られてしまうのかも知れない。
 
日経平均は月初から2000円以上の下落。
10月は魔物が潜む月になってしまった。
月足陽線基準24245円など夢の世界。
10月SQ値22313円はその後1週間は5勝1敗で「幻」でなかったが今は「幻」。
年足陽線基準23506円も怪しくなってきた。
昨年末終値22764円も下回っての推移。
市場が感じている「見えない敵」の真相が見えないことが警戒感と不安心理を掻き立てる。
しかし下げは東京主導ではない。
明らかにNY主導だ。
想定される米中貿易摩擦での米景気のりセッション入りへの警戒感。
ただ、それにしては売りが激し過ぎる。
税制などの面から需給は売りが多いのは理解できる。
しかし、それ以上に市場が抱えているのは大きな警戒感。
その主人公が見えないことが腹立たしい。
中東ではサウジが代表で火種とされている。
ムハンマドの贖罪というのもあろうが、オイルマネーの縮小という構図もナシではない。
あるいはどこかでの騒乱を見越しているのかどうか。
「見えない敵」はいつ姿を表わすのか。
そこが市場の大きな課題でもある。
単に「見えない影」に怯えているのだとしたらそれこそ茶番だが・・・。
明日は北京で日中首脳会談。
表面上の主な議題は「自衛隊と中国軍の偶発的衝突を避けるためなのかホットラインの開設」。
ここにガス田問題が加わる見通しでなんか隔靴掻痒。
11月11日にはパリで米ロ首脳会談。
こちらは中距離核戦力廃棄条約が主題。
そして11月末のアルゼンチンのG20では米中首脳会談。
貿易摩擦問題はあるが中身は「セイハロー」程度。
しかし、ココが本物の地政学という気がする。
ひょっとすると最悪はトランプ弾劾シナリオなのかも知れない。
いずれにしても「茶番に騒がす、茶番に踊らず」が重要だろう。
昨日の安倍首相は夕刻カタールのタミム首長と電話。
その後トルコのエルドアン大統領と電話。
直前には官邸でオックスフォード大名誉総長のクリストファー・パッテン男爵と面談。
教授というよりも保守党の政治家で最後の香港総督などを歴任した人物だ。
そして赤坂の日本料理「古母里」で2時間以上も産経新聞の政治部長や論説委員と面談。
一体何が起きているのかは微妙に気にかかる。
そういえば前日は「明治150周年」記念式典だった。
 
参考になったのは木曜日経朝刊のコラム「ポジション」。
見出しは「消費増税、円安の経験則」。
過去3回の増税時にドル円は円安に振れたという歴史が紹介されている。
(1)1989年4月に3%の消費税を導入。
直前3月末に1ドル=130円、1年後の90年3月末には153円。
17%の円安トレンド。
(2)97年4月に3%→5%に引き上げ。
直前3月末122円→128円。
5%の円安トレンド。
(3)2014年4月に5%→8%に引き上げ。
直前3月末102円→18%120円。
18%の円安トレンド。
そして半年前くらいから増税による円安を織り込み始めるという。
興味深いのは増税円安の背景。
「消費増税で物価が自動的に上昇するため」。
物価上昇率の高い国の通貨の価値は減少。
だから円安というわかりやすい議論だ。
消費増税は利下げと同じ効果がある」と言う専門家の意見も登場した。
「増税後の個人消費の減少も景気回復力が弱まり円安要因)という声もある。
「そうか、消費増税→円安」と短絡的に捉えれば見事な増税プロパガンダでもある。
一番良くないのは「増税→インフレ→円安」の構図。
数十年経験していないだけに、中央銀行は「インフレ退治が主な役割」というのは忘れ去られている。
この悪循環が巡ってきたときの恐怖はデフレの継続どころではない。
それにしても「財政均衡、デフレ脱却」を魔法のように実現してくれるのが消費増税」。
見事なパラドックスだ。
しかもサブ見出しは「過去3回進行」そして「延期説もリスク」。
「増税延期がリスク」というのが霞が関しかいないと思えは材料の出処は財務省あたりなのだろうか。
 
NYダウは608ドル安の25706ドルと3日続落。
NASDAQは329ポイント安の7108ポイントと続落。
S&P500は84ポイント安の2656ポイントと6日続落。
ダウ輸送株指数は331ポイント安の9905ポイント。
SOX指数は6.61%の反落。
2014年10月以来の大幅な下落。
3市場の売買高は96億株と増加。
CME円建ては大証比625円安の21405円。
ドル建ては大証比600ポイント安の21430ポイント。
225先物大証夜間取引は日中比600円安の21430円。
ドル円は112.25円。
10年国債利回りは3.111%。
 
◇━━━ カタリスト━━━◇
 
乃村工芸社(9716)・・・動兆
 
乃村工芸社に注目する。
同社は展示施設、商業施設、博物館等のディスプレー最大手。
受注は過去最高水準。
NTTデータとAIやVR技術等活用の新サービスも進展。
19年2月期第2四半期売上高522億4200万円(前年同期比1.3%減)。
営業利益34億7000万円(同2.0%増)。
ただし、第2四半期に限ると売上高301.15億円(同19.2%増)。
営業利益29.26億円(同91.0%増)と好調。
受注も711.58億円(同27.1%増)に増大。
受注残高は550.85億円(前年同四半期末比28.9%増)。
下げからのリバウンド期待。
 
 
(兜町カタリスト櫻井)

 

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