NYダウ245ドル安、世界経済減速への懸念

29日の米株式相場は大幅続落した。NYダウ工業株30種平均は前週末比245ドル39セント安の2万4442ドル92セントと、7月上旬以来の安値で終えた。
 
NYダウは買いが先行した。前週末に300ドル近く下げた反動で、割安感の出た銘柄に買い戻しが入り、序盤に352ドル高まで上昇した。
朝方に発表された9月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.4%増と堅調な伸びが続いた。米連邦準備理事会(FRB)が重視する物価指数であるPCEデフレーターも落ち着いており、足元の米景気の良好さを示す内容だった。
 
しかし、インドネシアで同日発生した旅客機墜落事故を受け、機体製造元で構成銘柄のボーイングが急落。前週発表した決算が投資家の失望を誘ったアマゾン・ドット・コムとアルファベットが売り込まれ、他のハイテク株にも売り圧力が及ぶ中、ダウは中盤にかけて上げ幅を縮小した。
 
午後には、ブルームバーグ通信が29日、11月に予定される米中首脳会談で貿易交渉が進まない場合、トランプ米政権が12月初めまでに中国からの残りの全輸入品に追加関税を発動する方針だと報じた。既に企業業績に悪影響が出始めている米中貿易戦争の長期化懸念から、リスク回避の売りが一気に加速した。中国売上高が大きいとされる航空機のボーイングや建機のキャタピラーなどが売られた。ダウ平均を約160ドル押し下げた。
 
さらに、貿易摩擦への懸念から相場が下げに転じると、コンピューター取引による機械的な売りが加速し一時566ドル安まで下げた。日中の高値と安値の差は918ドルと荒い値動きが続いた。
 
セクター別では、自動車・自動車部品や電気通信サービスが上昇する一方でメディアや小売が下落した。
 
ナスダック総合株価指数も大幅続落。同116.921ポイント安の7050.292と4月以来、約半年ぶりの安値を付けた。取引時間中には7000を下回る場面もあった。
 
個別では、ITサービスのIBM(IBM)は、ソフトウェアのレッドハット(RHT)と約340億ドルで買収合意したものの、財務負担が嫌気され軟調推移。先週の冴えない7-9月期決算が引き続き嫌気され、ネット小売のアマゾン(AMZN)や検索大手のアルファベット(GOOGL)など主要ハイテク株が軒並み下落した。
一方で、自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)やフォード(F)は、中国で自動車購入税を半減させる計画が浮上し上昇した。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,442.92-245.39
S&P500種
2,641.25-17.44
ナスダック
7,050.292-116.921
 
米10年債利回り(%)
3.0868 +0.011
米2年債利回り(%)
2.8224 +0.012
 
NY金(ドル/トロイオンス)
1,227.60-8.20
NY原油(ドル/バレル)
66.67-0.37
円・ドル
112.36 – 112.37+0.44

 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は続落した。
12月物は前週末比220円安の2万1030円で引け、12月物終値ベースで今年4月2日以来、約7カ月ぶりの安値をつけた。
29日の大取終値を70円下回った。

米中貿易摩擦の激化懸念が広がり、米株とともに売られた。29日のNYダウ工業株30種平均は一時566ドル安まで下げたが、引けにかけては下げ幅を縮めた。
12月物安値は2万0800円、高値は2万1495円。
 
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
21030 ( -70 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
21055 ( -45 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7026.32(+86.76)
FTSE100種総合株価指数は反発した。前週末26日の終値に比べ95.33ポイント高の7034.89で引けた。
この日のFT指数は高寄り後、正午すぎに7085.88と1週間ぶり高値まで上昇。その後は引けにかけて上げ幅を縮小した。構成銘柄の約8割が上昇した。
 
個別銘柄では、銀行のHSBCホールディングス4.8%高と大幅高で推移した。四半期の税引き前利益が予想を上回って増えたことが買い手がかりになった。他の銘柄にも買いが波及し、銀行株が高かった。
投資会社のメルローズ・インダストリーズは5.0%高やロシアの鉄鋼大手エブラズは4.5%高と上げが目立った。引けにかけてギャンブル事業のGVCホールディングスが上げ幅を広げ、6%超高となった。BTグループなど通信株にも買いが入った。
 
半面、軟調な金相場を背景に関連銘柄のランドゴールド・リソーシズとフレスニージョが下落した。航空機エンジンのロールス・ロイスは2.8%安。新型エンジン「トレント7000」の生産・出荷に遅れが生じていると伝わったことなどが嫌気された。ブリティッシュ・アメリカン・タバコは1.9%安とふるわなかった。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11335.48(+134.86)
 
ドイツ株式指数(DAX)は大幅反発。終値は前週末26日と比べて134.86ポイント高の11335.48だった。前週末に大幅に下げた反動や自動車株の上昇が株価を押し上げた。
 
個別では、自動車株が軒並み大幅に上昇した。タイヤのコンチネンタルも高くなった。中国当局が自動車購入にかかる税率の引き下げを検討しているとのブルームバーグ通信の報道がきっかけになった。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4989.35(+21.98)

 

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