1日の米株式相場は3日続伸した。NYダウ工業株30種平均は前日比264ドル98セント高の2万5380ドル74セントで終えた。
トランプ米大統領はこの日、中国の習近平国家主席と電話で会談したとツイッターに投稿した。貿易や北朝鮮問題について協議したと明らかにした上で、「会談は長く、極めて良いものだった」と強調。市場では、米中貿易摩擦の解決に向けた進展に期待が広がり、航空機大手ボーイングなど中国との取引が多い銘柄を中心に買いが膨らんだ。
ダウ平均の構成銘柄であるダウ・デュポンが朝方発表した2018年7~9月期決算は、調整後の1株当たり利益が市場予想を上回った。決算を好感した買いにダウ・デュポンは急伸。他の素材株にも買いが波及し、相場全体を押し上げた。
保険のシグナの四半期決算が市場予想を上回ったうえ、通期の利益見通しを引き上げた。好調な業績の発表が相次いだのも投資家心理の改善につながった。
市場関係者は「朝方は利食い売りが出やすい雰囲気だったが、トランプ大統領のツイートで雰囲気が一変した」と指摘した。「企業決算はピークを過ぎた。引け後のアップル決算が終われば、市場の注目点は雇用統計、そして中間選挙に移っていくだろう」と話した。
投資家心理を測る目安となる米株の変動性指数(VIX)の大幅な低下も相場を支えた。VIXは一時19.03と前日比で10%あまり低下し、不安心理が高まった状態とされる20を下回って推移する場面が目立った。
セクター別では、半導体・半導体製造装置や素材が上昇する一方で電気通信サービスや公益事業が下落した。
ナスダック総合株価指数は、前日比128.158ポイント高の7434.057で終えた。時価総額の大きいアマゾン・ドット・コムや取引終了後に決算発表を控えたアップルが上昇した。エヌビディアなどの半導体、ギリアド・サイエンシズなどバイオ製薬銘柄も買われた。
個別では、イスラエルの製薬テバ・ファーマスーティカル・インダストリーズ(TEVA)は、決算が予想を上振れ大幅上昇した。ストリーミング端末のロク(ROKU)は、一部アナリストによる投資判断引き上げを受け買われた。
一方で、楽曲配信大手のスポティファイ(SPOT)は、月間アクティブユーザー数(MAU)の見通しを引き下げ下落した。
マーケット終了後に携帯端末のアップル(AAPL)が発表した7-9月期決算は、売上高、一株利益ともに予想を上振れたものの、iPhone販売台数が予想に届かなかったほか、10-12月期の売上高についても弱気な見通しを示し、時間外取引で下落して推移している。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,380.74+264.98
S&P500種
2,740.37+28.63
ナスダック
7,434.057+128.158
米10年債利回り(%)
3.1341 -0.025
米2年債利回り(%)
2.8465 -0.029
NY金(ドル/トロイオンス)
1,238.60+23.60
NY原油(ドル/バレル)
63.56-0.13
円・ドル
112.56 – 112.57-0.33
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は小反落した。
12月物は前日比5円安の2万1765円で終え、大阪取引所の終値を225円上回った。円相場の反発が売りを誘った。
一方、米中貿易摩擦への警戒感がやや後退し米株式相場が続伸したため、下げ幅は限られた。トランプ米大統領は1日、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と貿易問題などで「とても良い話し合いができた」とツイッターに投稿した。市場は2日発表の10月の米雇用統計に注目している。
12月物の安値は2万1510円、高値は2万1865円。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
21765 ( +225 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
21790 ( +250 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7114.66(-13.44)
FTSE100種総合株価指数は原油安や英通貨ポンドの急伸に圧迫され、4日ぶりに下落した。前日の10月31日の終値に比べ13.44ポイント安の7114.66で引けた。ただ、構成銘柄の約6割は上昇した。
個別銘柄では、石油のBPは4%超の大幅安。ロイヤル・ダッチ・シェルは、未監査の第3四半期決算で利益が予想を下回ったことが嫌気された。エネルギー関連サービスのウッド・グループも4%超下落した。アナリストが株価目標を引き下げた梱包材メーカーのスマーフィット・カッパ・グループは3.8%安と値下がりが目立った。医薬品のアストラゼネカは2.7%安と下げが大きくなった。
半面、銅と金の価格上昇を受けて、鉱業関連株は買われた。なかでもフレスニージョは4%超の上昇と目立った。BHPビリトンは、自社株を買い戻し、特別配当を支払うと発表し買われた。通信のBTグループは8%超上がった。一時は11%高をつけた。上期の利益が市場予想を上回ったほか、通期の業績見通しを引き上げたことが好感された。医療機器のスミス・アンド・ネフューは6.6%高と大幅高。2018年の業績見通しで売上高は予想の範囲内に達し、利益率も改善するとした。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11468.54(+21.04)
ドイツ株式指数(DAX)は続伸した。終値は前日の10月31日と比べて21.03ポイント高の11468.54だった。
個別では、航空のルフトハンザは7%超上がった。ドイツ銀行と半導体のインフィニオンテクノロジーズも買われた。
一方で、アナリストが株価目標を引き下げたオンライン決済サービスのワイヤーカードの下げが目立った。アディダスも下落した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5085.78(-7.66)
