5日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前週末比190ドル87セント高の2万5461ドル70セントで終えた。
この日のNYダウは、序盤から買いが先行。前週末の強い米雇用統計を受けた長期金利の上昇が一服し、企業業績への影響懸念が後退した。自社株買いを発表したIBMや、クレディ・スイスが投資判断を引き上げたシェブロンに個別物色が入ったことも、相場を押し上げた。ただ、米中間選挙を6日に控え様子見姿勢が強かったうえ、アップルが大幅に下げたのが重荷だった。
バージニア・ロメッティ最高経営責任者(CEO)が約100万ドルの株式を取得したと5日付で米証券取引委員会(SEC)に届け出たIBMが4%近く上昇。クレディ・スイスが4日付で投資判断を3段階中で真ん中の「中立」から最上位の「買い」に引き上げたシェブロンも3%強上げ、2社でダウ平均を58ドルあまり押し上げた。
3日に発表した2018年7~9月期決算が大幅増益となり、市場予想を上回った著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイも大幅に上昇。これを受け、JPモルガン・チェースなど金融株の一角に買いが波及したのも相場の支えになった。
米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した10月の非製造業景況感指数は60.3と前月から1.3ポイント低下したが、市場予想(59.5)ほど低下しなかった。サービス業の景況感の高止まりを好感し、ウォルマートやマクドナルドなど小売・外食株が買われたのも相場の支えになった。
一方、10月に発売した新型iPhoneの量産モデル「XR」の増産を中止したことが明らかになったアップルが大幅に続落。時価総額はほぼ3カ月ぶりに1兆ドルの大台を下回り、1銘柄でダウ平均を40ドル近く押し下げた。
セクター別では、各種金融や保険が上昇する一方でテクノロジー・ハード・機器や小売が下落した。
ナスダック総合株価指数は続落し、28.143ポイント安の7328.851で終えた。アマゾン・ドット・コムやアルファベット(グーグル)、フェイスブックなどの主力株が軒並み下げた。
トランプ米大統領は米ネットメディアのアクシオスが4日に公開したインタビューで、IT大手に対し独占禁止法の適用を「真剣に検討している」と語った。規制強化の懸念が再燃し、IT大手株の売りを誘った。
個別では、携帯端末のアップル(AAPL)は、10月から販売を開始した低価格の液晶ディスプレー版「iPhone XR(テンアール)」増産計画中止を委託先に要請したことを日経新聞が報じ、需要後退への懸念から下落。食品メーカーのシスコ(SYY)は、決算内容が嫌気され大幅下落した。
一方で、著名投資家バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ(BRKB)は好決算を発表すると共に、約9億ドルの自社株買いを実施したことが明らかとなり上昇。スポーツ用品メーカーのアンダーアーマー(UA)は、一部アナリストによる投資判断引き上げを受け買われた。ホームセンターのロウズ(LOW)は、米国とカナダでの不採算店舗の閉鎖計画を発表し小幅上昇となった。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,461.70+190.87
S&P500種
2,738.31+15.25
ナスダック
7,328.851-28.143
米10年債利回り(%)
3.1989 -0.015
米2年債利回り(%)
2.9116 0
NY金(ドル/トロイオンス)
1,232.30-1.00
NY原油(ドル/バレル)
62.69-0.45
円・ドル
113.19 – 113.20+0.01
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は小幅反落した。
12月物は前週末比10円安の2万1990円で引け、5日の大取終値を120円上回った。5日午前中に米株とともに買われ2万2000円台に乗せたが、引けにかけて伸び悩んだ。6日の米中間選挙を控え、新たな取引に慎重な向きが多かった。
この日の12月物安値は2万1860円、高値は2万2080円。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
21990 ( +120 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
22020 ( +150 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7103.84(+9.72)
FTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反発した。前週末2日の終値に比べ9.72ポイント高の7103.84で引けた。
米中間選挙などを控えて様子見気分が広がり、薄商いとなる中、個別銘柄を物色する動きが入った。構成銘柄の約7割が下落した。
個別銘柄では、原油相場が上昇に転じたことで石油のBPとロイヤル・ダッチ・シェルが買われた。医薬品株も上がり、なかでもアストラゼネカの値上がりが大きくなった。中国の鉄鋼価格が上昇し、ロシアの鉄鋼大手エブラズが4%高と目立った。
ソフトウエア開発のマイクロフォーカスは、通期の売上高がこれまでの予想の下限を上回るとの見通しを示し買われた。たばこ株も上昇した。
半面、高級衣料バーバリーは3.5%安、衣類小売ネクストは3.1%安と売られた。アナリストが株価目標を引き下げた建機・産業機器レンタルのアシュテッド・グループは4%超の下落。最高経営責任者(CEO)が辞任を発表した投資会社のメルローズ・インダストリーズも売られた。ギャンブル事業のGVCホールディングスと外食デリバリーサービスのジャスト・イートはそれぞれ大幅安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11494.96(-24.03)
ドイツ株式指数(DAX)は4営業日ぶりに反落した。終値は前週末2日と比べて24.03ポイント安の11494.96だった。
個別では、タイヤのコンチネンタルと半導体のインフィニオンテクノロジーズ、素材メーカーのコベストロがそれぞれ大幅に下落した。
一方で、工業用ガスのリンデと電力のエーオンは買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5101.39(-0.74)
