4日のNYダウ工業株30種平均は3日続落し、前週末比12ドル34セント安の2万5952ドル48セントで終えた。
トランプ米政権は、中国からの輸入品2000億ドル相当に追加関税を課す第3弾の制裁措置を週内にも発動する見通し。5日に再開される北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉をめぐる米国とカナダの二国間協議の先行きにも不透明感が漂う中、ダウは朝方に一時158ドル安まで売られた。
米通商政策の先行き警戒感から海外売上高の比率が高い銘柄の一角が売られた。新興国の経済不安も相場を押し下げた。スポーツ用品のナイキが売られたのも指数の重荷になった。
アルゼンチンの通貨ペソや南アフリカランド、トルコリラがドルに対して大きく売られた。新興国経済の先行き不安が意識されたほか、ドル高が海外収益を圧迫するとの見方から、工業用品のスリーエムや建機のキャタピラーなどが売られた。
米プロフットボールリーグ(NFL)の試合前の国歌斉唱で起立を拒否した選手を広告に起用すると発表したナイキが大幅に下落した。ツイッターで不買運動を呼びかける動きが広がり、収益の警戒感が広がった。ナイキ1銘柄でダウ平均を18ドル近く押し下げた。
一方、ホームセンターのホーム・デポやクレジットカードのアメリカン・エキスプレスなどが上げた。ダウ平均は小幅高に転じる場面があった。
米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した8月の製造業景況感指数は2カ月ぶりに上昇し、2004年5月以来14年3カ月ぶりの高水準になった。もっとも、関税の影響で米製造業の生産が活発になっただけとの見方もあり、相場の反応は限られた。
ナスダック総合株価指数は18.291ポイント安の8091.246で終えた。アナリストが投資判断と目標株価を引き下げたと伝わったフェイスブックが売られた。アルファベット(グーグル)やマイクロソフトも下げた。一方、アマゾン・ドット・コムが買われ、米企業としてアップルに続き時価総額が1兆ドルを超える場面があった。
セクター別では、小売や商業・専門サービスが上昇する一方で耐久消費財・アパレルや電気通信サービスが下落した。
個別では、深海油田開発のトランスオーシャン(RIG)は、海洋採掘会社のオーシャン・リグUDW(ORIG)と27億ドルで買収合意したものの、財務負担を懸念した売りが広がった。スポーツ用品のナイキ(NKE)は、国歌斉唱中の起立を拒否して物議を醸した全米フットボール・リーグ(NFL)選手を広告に起用し下落。SNSのフェイスブック(FB)は、一部アナリストによる投資判断引き下げを受け軟調推移した。
一方で、百貨店のノードストローム(JWN)は、ゴールドマンサックスによって投資推奨リストに追加され上昇した。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,952.48-12.34
S&P500種
2,896.72-4.80
ナスダック
8,091.246-18.291
米10年債利回り(%)
2.8985 +0.045
米2年債利回り(%)
2.6533 +0.024
NY金(ドル/トロイオンス)
1,199.10-7.60
NY原油(ドル/バレル)
69.46-0.41
円・ドル
111.46 – 111.47 +0.01
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は反落した。
9月物は前週末比110円安の2万2710円で引け、同日の大取終値を60円下回った。
貿易交渉を巡りトランプ米大統領が中国とカナダに強硬な姿勢で臨んでおり、景気への影響を懸念する売りが出た。新興国経済の先行き不安も売り材料になった。
この日の9月物安値は2万2600円、高値は2万2850円。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
22710 ( -60 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
22715 ( -55 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7457.86(-46.74)
FTSE100種総合株価指数は反落した。前日3日の終値に比べ46.74ポイント安の7457.86で引けた。構成銘柄の約8割が下落した。
この日のFT指数はじり安。午後3時ごろには安値の7437.65を付けたが、引けにかけて水準を幾分戻した。
鉱業株と医薬品株の値下がりが株価指数の下落に大きく影響した。広告のWPPグループの下げも指数の押し下げ要因となった。
個別では、BHPビリトンの下げが大きくなった。医薬品のアストラゼネカとグラクソ・スミスクラインも下がった。WPPは6%超安。一時は8%超下がる場面もあった。通期業績見通しで売上高を引き上げたものの、利益率については引き下げたことが響いた。
半面、バークレイズは2.0%高など銀行株は上昇した。レジャー・外食のウィットブレッドは2.6%高と値上がりも目立った。アナリストが株価目標を引き上げた投資会社のメルローズ・インダストリーズも堅調だった。複合企業のスミス・グループは小幅高。同社の医療関連部門に対し、米医療機器会社のICUメディカルが新たな買収提案を行ったが、スミス側が拒否したと一部で報じられ上昇した。ただ、午後には伸び悩んだ。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12210.21(-136.20)
ドイツ株式指数(DAX)は4日続落した。終値は前日3日と比べて136.20ポイント安の12210.21だった。米中の貿易摩擦への警戒感から売りが広がった。徐々に下げ幅が広がった後、午後には安値圏で横ばいだった。
個別では、アディダスと消費財のヘンケル、半導体のインフィニオンテクノロジーズの下げが目立った。上昇したのは、コメルツ銀行とドイツ銀行、鉄鋼のティッセン・クルップ、透析器大手のフレゼニウス・メディカル・ケアの4銘柄だけだった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5342.70(-71.10)
フランスの株価指数CAC40の終値は前日に比べて1%以上下がった。
