7日のNYダウ工業株30種平均は3日ぶりに反落し、前日比79ドル33セント安の2万5916ドル54セントで終えた。
朝方発表された8月の米雇用統計では、物価上昇の先行指標として注目される平均時給が前年同月比2.9%増と2009年6月以来、9年2カ月ぶりの高い伸びを示した。低インフレの継続を想定していた多くの市場関係者にはサプライズとなり、連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ加速への警戒感から、株式市場は売り先行で取引を開始した。
昼頃にトランプ米大統領が中国製品に対する追加関税を巡って、足元で検討している2000億ドル分のほかにも「自分が望めば短期間で2670億ドル分を追加する準備もある」と述べたと米メディアが昼すぎに報じた。米政権が貿易問題に対する強硬姿勢を強めているとの見方を誘った。航空機・機械関連のユナイテッド・テクノロジーズや航空機のボーイングなど、海外事業の比率が高い銘柄を中心に売りが出た。
半導体のインテルが米政権に対して、米企業の競争力の低下につながるなどとして中国に対する追加関税の発動を控えるよう訴えた。アップルも関税による自社製品への悪影響を主張した。収益悪化への警戒感が強まり、両社株が売られた。ダウ平均の下げ幅は一時177ドルに達した。
ただ、主な株価指数は高く推移する場面があった。中国への投資で初期の合意に達したと伝わった石油のエクソンモービルが上げたほか、このところ下落が続いたフェイスブックやマイクロン・テクノロジーなどハイテク株の一角に買い戻しが入った。
ナスダック総合株価指数は4日続落し、同20.185ポイント安の7902.541で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,916.54-79.33
S&P500種
2,871.68-6.37
ナスダック
7,902.541-20.185
米10年債利回り(%)
2.9388 +0.062
米2年債利回り(%)
2.7066 +0.066
NY金(ドル/トロイオンス)
1,200.40-3.90
NY原油(ドル/バレル)
67.86+0.09
円・ドル
111.03 – 111.04-0.28
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は4日続落した。
9月物は前日比60円安の2万2345円で終え、大阪取引所の終値を35円下回った。
米中貿易摩擦の激化や米利上げ継続への警戒感から、米株式相場とともに下げた。トランプ米大統領が7日、中国に対し第4弾の制裁関税発動の準備があると述べた。
また、8月の米雇用統計で平均時給が約9年ぶりの伸び率となり、利上げへの思惑も強まった。
9月物の安値は2万2155円、高値は2万2445円だった。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数は投資家のリスク回避が続き、4日続落した。前日6日の終値に比べ41.26ポイント安の7277.70と、終値ベースで4月中旬以来の安値で引けた。
この日のFT指数はジリ安。午後に入って米雇用統計が市場予想を上振れすると、ドル高に圧迫されて英通貨ポンドが上げ幅を削り、株価も幾分持ち直した。
構成銘柄の約7割が下落した。
個別銘柄では、原油相場が下落に転じたことから、石油のBPとロイヤル・ダッチ・シェルの下げ幅が大きくなった。アントファガスタが4.1%安など鉱業関連株も軒並み下落した。銀行株と保険株は全面安。ロイズ・バンキング・グループの下げが目立った。
航空のインターナショナル・エアラインズ・グループは午後に下げ渋った。傘下のブリティッシュ・エアウェイズが6日、ウェブサイトが不正アクセスを受けて顧客情報が流出したと発表し、売られた。同業のイージージェットも下がった。
半面、医療機器のスミス・アンド・ネフューとソフトウエア開発のセージ・グループは2.0%高と上昇した。アナリストが買い推奨を始めたビジネスサポートのDCCの上げも目立った。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数(DAX)は7営業日ぶりに小反発した。終値は前日6日と比べて4.38ポイント高の11959.63だった。日中は下げていたが、午後遅くに上昇に転じた。
個別では、ITのSAPと医薬・化学大手の独メルクが上昇した。
一方で、医薬・農薬大手のバイエルとハイデルベルクセメントはそれぞれ、アナリストによる株価目標の引き下げが響いて下落した。ドイツ銀行も売られた。中国複合企業の海航集団(HNAグループ)が保有するドイツ銀行の株式を売却する方向で検討に入ったと一部で報じられた
■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)5,252.22+8.38
