10日のNYダウ工業株30種平均は続落した。前週末比59ドル47セント安の2万5857ドル07セントで終えた。
トランプ米政権による新たな減税策への期待から買い先行でスタート。ロイター通信などが、下院共和党指導部が週内に「減税第2弾」を発表する見通しと報じた。昨年末成立の1兆5000億ドル規模の大型減税に続くもので、時限的な個人減税の恒久化措置などが盛り込まれるという。
これを受けてダウは一時120ドル超上昇。しかし、その勢いは弱く、すぐに値を消す展開となった。
中国で製品を生産するアップルや、中国の売上比率が高いボーイングなどが下げを主導した。
トランプ米大統領は中国からの輸入品2000億ドル相当への追加関税を計画しているうえ、中国からの全輸入品への報復関税を課す準備があると7日に述べた。中間選挙での支持獲得を狙ってトランプ氏は貿易相手国に対し強硬姿勢を強めるとみられ、投資家心理を冷やした。
トランプ氏は8日、アップルに対し、関税を負担したくないなら「生産拠点を米国に移せ」とツイッターに投稿して圧力をかけた。追加関税が収益に与える影響が懸念され、アップルは4日続落した。中国から部品を調達する半導体のインテルも下落した。
ただ、下げの勢いは限られた。米東海岸南部に大型ハリケーンが接近しており、ホームセンター大手ホーム・デポや小売りのウォルマートに防災用品の販売増加や、被災後の復興需要を見込む買いが入った。スポーツ用品のナイキや航空機・機械大手ユナイテッド・テクノロジーズの上昇も相場を下支えした。
ナスダック総合株価指数は5営業日ぶりに反発し、前週末比21.619ポイント高の7924.160で終了した。マイクロソフトやフェイスブックなど主力株の一角が上昇し、指数を押し上げた。クアルコムやブロードコムなど半導体株の持ち直しも目立った。
セクター別では、耐久消費財・アパレルや運輸が上昇する一方でテクノロジー・ハード・機器やヘルスケア機器・サービスが下落した。
個別では、電気自動車のテスラ(TSLA)は、週末に自動車部門の社長人事を新たに発表したほか、一部アナリストの買い推奨を受け上昇した。
一方で、中国電子商取引のアリババ・グループ(BABA)は、ジャック・マー会長が1年後に退任する意向を発表し下落。メディアのCBS(CBS)は、ムーンベスCEOがセクハラ疑惑を受けて辞職し軟調推移。写真共有アプリを手掛けるスナップチャット(SNAP)は、最高戦略責任者の退社が報じられ売られた。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,857.07-59.47
S&P500種
2,877.13+5.45
ナスダック
7,924.160+21.619
米10年債利回り(%)
2.9369 -0.005
米2年債利回り(%)
2.7109 +0.004
NY金(ドル/トロイオンス)
1,199.80-0.60
NY原油(ドル/バレル)
67.57+0.03
円・ドル
111.13 – 111.14+0.15
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は5営業日ぶりに反発した。
9月物は前週末比105円高の2万2450円で引け、同日の大取終値を90円上回った。円安進行や、米ナスダック総合株価指数が5営業日ぶりに反発したことが買い材料になった。市場には貿易摩擦への懸念が根強く、買いの勢いは弱かった。
この日の9月物高値は2万2500円、安値は2万2245円。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
22450 ( +90 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
22450 ( +90 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7279.30(+1.60)
FTSE100種総合株価指数は小幅ながら5営業日ぶりに反発した。前週末7日の終値に比べ1.60ポイント高の7279.30で引けた。
金融株や流通株が上げを主導した。イタリアの財政不安後退を手掛かりに買い安心感が広がったが、午後のポンド高を眺めて値を消し、引けはほぼ横ばいだった。
個別では、銀行のロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は1.8%高、バークレイズが1.3%高、ロイズ・バンキング・グループも1.1%高と高くなり、指数をけん引した。欧州の長期金利上昇を背景に利ざや拡大を意識した買いが入った。保険株と資産運用株は軒並み上昇した。
アナリストが投資判断と目標株価を引き上げたWMモリソン・スーパーマーケッツのほか、ロンドン証券取引所(LSE)グループの上げが目立った。
半面、為替差損による影響が懸念され、時価総額の大きい多国籍企業のたばこ株や医薬品株が売られた。午前は買いが先行していた石油のロイヤル・ダッチ・シェルは売りに転じた。
投資会社のメルローズ・インダストリーズが4%強と大幅下落した。銅価格の下落を受けて鉱業株は終日軟調だった。ブリティッシュ・エアウェイズの顧客情報流出を受け、親会社の欧州航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は0.8%安と引き続き軟調。英格安航空大手イージージェットも1.5%安と弱含んだ。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11986.34(+26.71)
ドイツ株式指数(DAX)は続伸。終値は前週末7日と比べて26.71ポイント高の11986.34だった。
個別では、コメルツ銀行が高かった。欧州の長期金利が上昇し、利ざやの拡大で業績が改善するとの思惑から買われた。電力のエーオンとRWEも上げた。
一方で医薬・農薬大手のバイエルなど化学関連株が下落した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5269.63(+17.41)
