11日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前日比113ドル99セント高の2万5971ドル06セントで終えた。
この日のNYダウは、米中貿易摩擦の激化懸念がくすぶる中、小幅安で開始。
朝方に100ドル超下げる場面があった。トランプ米大統領は前週末、2670億ドル相当の中国産品に追加の制裁関税を課す用意があると発言。中国政府も対抗策を講じる構えを示した。また、半導体需給の悪化観測からアナリストが関連株の調整局面入りを予想したと伝わり、半導体株が軒並み安。ダウ平均を構成するインテルも下げ、指数の重荷となった。
ただ、貿易問題に関する新たな悪材料を欠く中で、ダウは間もなくプラス圏に浮上。
新製品の発表を控えたアップルが大幅に上昇。このところ軟調だった主力ハイテク株も持ち直し、相場を押し上げた。航空機のボーイングが上げたほか、原油高でエネルギー株が買われたのも相場上昇に寄与した。ダウ平均は一時160ドル超上昇した。
アップルが買われ、1銘柄でダウ平均を37ドルあまり押し上げた。12日に発表する主力のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」など新製品への期待が高い。11日はUBSが目標株価を引き上げたことも材料視され、買いが膨らんだ。
ボーイングは8月末までの旅客機の受注・出荷実績を明らかにし、出荷台数が7月から大幅に伸びたことなどが買い材料視された。ホームセンターのホーム・デポはハリケーン後の復興需要に期待した買いが入り、過去1年の高値を付けた。
アナリストが投資判断と目標株価を引き上げたスポーツ用品のナイキも上昇した。市場では「米中の貿易摩擦を巡る先行き不透明感が意識されており、個別に材料が出た銘柄への物色が強まり相場を押し上げた」との指摘があった。
ナスダック総合株価指数は続伸し、前日比48.314ポイント高の7972.474で終えた。アップルへの買いがアマゾン・ドット・コムやアルファベット(グーグル)、フェイスブックなど主力ハイテク株全般に波及した。
セクター別では、テクノロジー・ハード・機器や小売が上昇する一方で半導体・半導体製造装置や自動車・自動車部品が下落した。
個別では、大型ハリケーン「フローレンス」が米東部へ接近していることを背景に、原油相場の上昇で、エクソン・モービル(XOM)やシェブロン(CVX)などエネルギー関連会社が堅調推移。ホームセンターのロウズ(LOW)やホーム・デポ(HD)は、ハリケーン被害による復興需要を見込んだ買いが広がった。
一方で、ファストフードのヤム・ブランズ(YUM)が中国部門をスピンオフして誕生したヤム・チャイナ(YUMC)は、中国投資家連合が買収を断念し大幅下落。電気自動車のテスラ(TSLA)は、野村証券による投資判断・目標株価引き下げを受け軟調推移。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,971.06+113.99
S&P500種
2,887.89+10.76
ナスダック
7,972.474+48.314
米10年債利回り(%)
2.9792 +0.042
米2年債利回り(%)
2.748 +0.033
NY金(ドル/トロイオンス)
1,202.20+2.40
NY原油(ドル/バレル)
69.85+0.60
円・ドル
111.61 – 111.62+0.08
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は続伸した。
9月物は前日比265円高の2万2715円で終え、大阪取引所の終値を65円上回った。米長期金利の上昇を背景に円安が進んだほか、米株式相場が上昇したのが好感された。
ただ、貿易摩擦への懸念はくすぶっており上値は重かった。
9月物の高値は2万2745円、安値は2万2445円。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
22715 ( +65 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
22715 ( +65 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7273.54(-5.76)
FTSE100種総合株価指数は小反落した。前日10日の終値に比べ5.76ポイント安の7273.54で引けた。
たばこ株や資源株などが指数を押し下げた。指数構成銘柄全体の約5割が下落した。株価は外為市場のポンド乱高下を眺めて方向感なく推移。米中貿易摩擦の激化懸念も上値を抑えた。
個別では、たばこのインペリアル・ブランズとブリティッシュ・アメリカン・タバコが3.3%安くなり、指数の下げを主導した。メキシコ産金大手フレスニーヨが2.3%安でこれに続いたほか、ロシア鉄鋼大手エブラズ、スイス資源大手グレンコアなどの資源株の一角も緩んだ。
前日に外国為替市場で対ドルなどポンド高が進んだことから、為替変動の影響を受けやすい多国籍企業の売りを誘った。銀行株と保険株も軒並み下落した。
半面、建機・産業機器レンタルのアシュテッド・グループが5%超となり、大きく上昇した。四半期決算が大幅な増益となり、通期業績も予想を上回る見込みとの自信を示したことを好感した買いが入った。原油高を追い風に石油株は上昇した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11970.27(-16.07)
ドイツ株式指数(DAX)は小幅ながら3営業日ぶりに反落した。
終値は前日10日と比べて16.07ポイント安の11970.27だった。
個別銘柄では、医薬・農薬大手のバイエルが前日に引き続き安かった。タイヤのコンチネンタルと半導体のインフィニオンテクノロジーズの下げも目立った。
一方でコメルツ銀行が高くなった。コメルツ銀行とドイツ銀行が合併する可能性がありえるとの独誌の報道がきっかけになった。ドイツ銀行も上げた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5283.79(+14.16)
フランスの株価指数CAC40とスペインのIBEX35が小幅ながら上昇に転じて引けた。
