「気迫」

朝9時のミーティングは恵比寿のGAtech(3491)。
樋口龍社長の話は興味深かった。
「機関投資家とのミーティングは多いです。
ただ、説明に入る前にこう言うのです。
『買ってくれる可能性があるのなら一生懸命話します。
でもそうでないなら帰ります。
お互いに時間は貴重です。
買う気もないのに1時間も時間をかけるのは無駄ですから』」。
 
当然のことだと思うが、これだけの気迫を持ってIRに望む経営者やIR担当者というのはどれくらいいるのだろう。
あるいはこういうコスト意識を持ったIRというのはどれくらいあるのだろう。
一般的には機関投資家に対して会社側の姿勢は低い。
「お話を聞いていただければ」なんていう低姿勢と「良ければ買ってもいい」というタカピーな姿勢。
機関投資家がお金持ちであるわけではない。
そこに投資している投資家が一番なんてことは考慮されない。
マネーの機関化減少は「投資資金は誰のもの」という原理原則を忘れてしまいがちだ。
「ボストンに行ってきます」とか「シンガポールでワンオーワンです」なんて話はよく聞く。
しかし交通費をかけて、時間をかけて行って結果が出ないのなら、それは会社や株主に対する背信みたいなもの。
毎年恒例の物見遊山にならないように、これだけの気迫を持って臨んでもらいたいものだ。
「買わないのならあなたに費やした私の1時間を返して欲しい」。
こんな気概や気魂が必要だろう。
 
世の中、横文字になるとなんとなく納得してしまう風潮というのは市場だけではない。
逆説的かも知れないが、株をウリカイしないストラテジストとかアナリストっていうのはどういう存在になるのだろう。
ファンドマネージャーなんていうと格好いいけれど「計算屋」なんていい方もできなくはない。
あるいは「金庫番」でもいいかも知れない。
でもファンドマネージャーというタイトルだと身構えてしまうから節後なものだ。
長年棲息してきて思うのは「本物は表に出てこない」。
本物は本尊と言い換えてもいいかも知れない。
自縄自縛になりそうだが、どうもそんな気がする。
その点、カタリストというのは、結構使い勝手は良い。
なんせ触媒なのだから・・・。
 
市場関係者の多くは世界経済動向を語る。
しかし本当に必要なのは世界情勢の分析なのだろうか。
企業業績の分析、あるいは株価の分析ではないのか。
かねて何度も揶揄してきた「床屋政談」。
「だから何」という生産性のない語り合い。
「中東が大変だ」、「アメリカはだめになる」、「中国の逆襲だ」。
それって自分の生活や仕事に関わってくるのか来ないのか。
為替の連中が話題にコト欠いて「経済指標とスケジュール」に走るのと一緒ではないのかどうか。
見極めることが必要なのは経済指標やイベントでなく株価の行方ではないのかどうか。
この辺が90度違っているから相場は見えなくなる。
「こんなに上がるとは思っても見なかった」なんて市場関係者がいるようでは、東京市場もまだ未成熟だ。
株価は決して誤差の範囲で動くものではない。
上や下へのトレンドは瞬時刹那にそれなりの理由があるものだ。

(櫻井)

 

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