20日の米株式相場は3日続伸した。ダウ工業株30種平均は前週末比89ドル37セント高の2万5758ドル69セントと、2月1日以来ほぼ6カ月半ぶりの高値を付けた。
主要な米経済指標や企業決算の発表がない中、22、23両日に開催されると報じられた米中間の次官級貿易協議への期待感が相場の支えとなった。6月初旬以来、両国の貿易協議は中断しているだけに、市場では通商摩擦緩和に向け、何らかの進展があるのではないかとの思惑が広がっている。
対立解消に向けてトランプ米大統領と習近平中国国家主席が11月に会談する可能性があると報じられたことも投資家心理を改善させた。
航空機のボーイングなど中国への収益依存度の高い銘柄の一角に買いが続いた。
米企業による積極的なM&A(合併・買収)を好感した買いも入った。アナリストが投資判断を引き上げたスポーツ用品のナイキが買われたのも指数を押し上げた。
食肉のタイソンフーズや飲料・食品のペプシコが相次いでM&Aを発表した。潤沢な手元資金を活用したM&Aが続くとの思惑も投資家心理の改善につながった。米長期金利が低下し、株式の割高感が薄れるとの見方も相場を支えた。
ただ、今週は22日に7月31日~8月1日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨の公表を控えているほか、23日からカンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)が開かれる。米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースを見極めたいとして、上値を追う勢いは限られた。
ナスダック総合株価指数は4.676ポイント高の7821.006で終えた。ネットフリックスやアルファベット(グーグル)、新製品を発表した画像用半導体(GPU)のエヌビディアなど主力株の一角に買いが入った。
セクター別では、耐久消費財・アパレルや自動車・自動車部品が上昇する一方で食品・生活必需品小売やテクノロジー・ハード・機器が下落した。
個別では、スポーツ用品のナイキ(NKE)は、複数アナリストによる投資判断引き上げを受け上昇。食肉メーカーのタイソンフーズ(TSN)は、同業のキーストーン・フーズと21.6億ドルで買収合意し堅調推移。電気自動車のテスラ(TSLA)は、JPモルガンによる目標株価引き下げを受け、下落したものの、引けにかけて小幅上昇に転じた。
一方で、飲料メーカーのペプシコ(PEP)は、炭酸水メーカーのソーダストリーム・インターナショナルと32億ドルで買収合意したものの、財務負担を懸念した売りが広がった。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,758.69+89.37
S&P500種
2,857.05+6.92
ナスダック
7,821.006+4.676
米10年債利回り(%)
2.819 -0.054
米2年債利回り(%)
2.5872 -0.033
NY金(ドル/トロイオンス)
1,194.60+10.40
NY原油(ドル/バレル)
66.60+0.69
円・ドル
110.00 – 110.01-0.61
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は続落した。
9月物は前週末比85円安の2万2175円で終えた。同日の大取終値は15円上回った。円高進行が重荷になった。
22日公表の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨や24日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を見極めたいとのムードも強かった。
この日の安値は2万2130円、高値は2万2265円。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
22175 ( +15 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
22180 ( +20 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7591.26(+32.67)
FTSE100種総合株価指数は、投資家のリスク回避姿勢が和らぎ3日続伸した。前週末17日の終値に比べ32.67ポイント高の7591.26で引けた。
この日のFT指数は7500台後半を中心に底堅く推移。終盤には7616.15まで上昇する場面も見られた。
構成銘柄の約7割が上昇した。夏季休暇シーズンで取引は低調となるなか、米中の貿易協議が進展するとの期待が投資家のリスク選好意欲につながった。主力の資源株が指数の上げをけん引した。
個別銘柄では、銅や原油の先物相場の上昇を追い風に、終日鉱業株と石油株への買いが続いた。なかでもロシアの鉄鋼大手エブラズは2.8%高と上げが目立った。
ロシア鉄鋼大手エブラズ。英投資会社メルローズ・インダストリーズは2.6%高、賭け屋大手パディー・パワー・ベットフェアーは2.2%高、欧州航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)と保険会社セントジェームズ・プレイスは各1.9%高だった。
半面、ソフトウエア開発のセージ・グループが約7%安と、大幅下落した。競合他社による競争激化を背景にアナリストが投資判断を引き下げたことが響いた。住宅関連株が売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12331.30(+120.75)
ドイツ株式指数(DAX)は大幅反発。終値は前週末17日と比べて120.75ポイント高の12331.30だった。米中貿易協議の進展を期待した買いで、ほぼ全面高となった。
個別では、アナリストが目標株価を引き上げた医薬・農薬大手のバイエルが大幅上昇した。消費財のヘンケルと工業用ガスのリンデも高かった。一方で不動産のボノビアとコメルツ銀行が小幅安となった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5379.65(+34.72)
