23日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比76ドル62セント安の2万5656ドル98セントで終えた。
トランプ米政権は23日、中国による知的財産権侵害を理由とする制裁関税の第2弾を発動。新たに160億ドル相当の中国製品に25%の追加関税を課した。これに対し中国も同規模の報復措置を発動したことから、市場では「貿易戦争」の激化が嫌気され、輸出依存度の高い建機のキャタピラーや航空機のボーイングなど中国依存度の高い銘柄が売られ、ダウ平均を下押しした。
貿易摩擦が経済成長を妨げるとの懸念から、国際商品市場では原油や銅などの価格が下げる場面が目立った。エクソンモービルなど石油株の下げにつながった。
トランプ大統領周辺とロシアとの不適切な関係を巡るロシア疑惑への懸念も、株買いを手控えさせた。トランプ氏は23日、米メディアのインタビューで自身が弾劾訴追された場合は「株式相場が暴落する」などと述べた。市場では「(S&P500種株価指数が過去最高値に迫るなど)ここまで相場が順調に上げてきたため、いったん様子見ムードが広がった」との見方があった。
銀行株のほか、店舗での食中毒が発生し当局が調査に入ったと伝わった外食のマクドナルドが下げたこともダウ平均を押し下げた。
米東部時間の24日午前には米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の講演を控え、内容を見極めたい投資家が多い。米主要企業による四半期決算の発表もほぼ一巡し、手掛かり難も買い見送りにつながった。
ナスダック総合株価指数は6営業日ぶりに反落し、前日比10.638ポイント安の7878.459で終えた。画像処理半導体のエヌビディアが4日続伸。アップルなど主力株が堅調に推移し指数は上げる場面が目立ったが、取引終盤に下げに転じた。
セクター別では、商業・専門サービスやソフトウェア・サービスが上昇する一方で自動車・自動車部品や素材が下落した。
個別では、小売大手のシアーズ・ホールディングス(SHLD)は、採算性の低い46店舗の閉鎖計画を発表し下落。食品のホーメルフーズ(HRL)は、決算内容が嫌気され軟調推移。中国電子商取引のアリババ・グループ(BABA)は、調整後1株利益が予想を下振れ下落。
一方で複合企業のハネウェル・インターナショナル(HON)は、通期見通しを引き上げ堅調推移となった。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,656.98-76.62
S&P500種2,856.98-4.84
ナスダック
7,878.459-10.638
米10年債利回り(%)
2.8279 +0.004
米2年債利回り(%)
2.6203 +0.025
NY金(ドル/トロイオンス)
1,194.00-9.30
NY原油(ドル/バレル)
67.90+0.07
円・ドル
111.36 – 111.37+0.57
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は3日続伸した。
9月物は前日比125円高の2万2490円で引け、同日の大取終値を80円上回った。米中両政府の相互に追加関税の発動。これを受けて円安が進み、日本株は買われた。
市場は24日に予定するパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演に注目している。
この日の9月物高値は2万2515円、安値は2万2360円。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
22490 ( +80 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
22500 ( +90 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7563.22(-11.02)
FTSE100種総合株価指数は米中の貿易摩擦の拡大をめぐる懸念を背景に投資家のリスク意欲が後退し、株価は小反落した。前日22日の終値に比べ11.02ポイント安の7563.22で引けた。構成銘柄の半数以上は上昇した。
午前に買い圧力が強まる場面もあった。ただ、英政府が23日に欧州連合(EU)との間で合意もないまま離脱する場合の対策を公表すると、合意なき離脱への懸念が広がり午後には下げに転じた。
個別銘柄では、総合ヘルスケアのNMCヘルスは2.8%安と値下がりが目立った。
たばこのインペリアル・ブランズは2.7%安、保険のプルーデンシャル、クルーズ運航のカーニバルはそれぞれ1.1%安、配当権利落ちで売られた。銅と金の価格下落を背景に、アングロ・アメリカンなど鉱業株も下落した。上期業績が予想範囲に達した建設資材のCRHは午前に上昇したが、午後には下げに転じた。
半面、石油のロイヤル・ダッチ・シェルとBPは買われた。ロシアの鉄鋼大手エブラズは1.6%高、投資会社のメルローズ・インダストリーズは1.4%高、ギャンブル事業のGVCホールディングスも1.6%高と値上がりが目立った。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12365.58(-20.12)
ドイツ株式指数(DAX)は4営業日ぶりに反落した。
終値は前日22日と比べて20.12ポイント安の12365.58だった。日中を通して前日終値付近の狭い範囲で推移した。
個別銘柄では、複数のアナリストが株価目標を引き下げたタイヤのコンチネンタルは4%超売られた。医薬・農薬大手のバイエルも下落した。除草剤の安全性を巡り、傘下の米モンサントに対する訴訟件数が増加したと発表したことなどが嫌気された。
一方で、日用品のバイヤースドルフと電力のRWEは上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5419.33(-1.28)
