28日のNYダウ工業株30種平均は、前日比98ドル46セント(0.4%)高の2万4216ドル05セントで反発で終えた。
欧州株安の流れを引き継ぎ、売り優勢で開始。朝方発表された1~3月期の米実質GDP(国内総生産)確定値が前月比2.0%増と、改定値から下方修正されたことも重しとなり、午前はもみ合い商状が続いた。
午後に入ると、ハイテク株や金融株の上昇にけん引され、ダウは徐々に上げ幅を拡大。トランプ米政権が前日、中国資本による米ハイテク企業への投資規制について、出資規制などの厳格な措置導入を見送ったことが好感された。
前日にほぼ2カ月ぶりの安値を付けた後とあって、これまで売り込まれていた銘柄に自律的な反発を見込んだ買いが入った。金融やIT業種を中心に上昇した。
ゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェースの2銘柄でダウ平均を33ドルあまり押し上げた。業種別S&P500種株価指数で「金融」は前日まで13日続落しており、値ごろ感や短期的な反発に着目した買いが入った。米長期金利の低下を背景に、配当利回りが相対的に高いベライゾン・コミュニケーションズなど通信株が買われたのも指数の支えになった。
一方、26日にダウ平均の構成銘柄に採用されたドラッグストア大手のウォルグリーン・ブーツ・アライアンスが急落し、指数の上値を抑えた。アマゾン・ドット・コム(AMZN)が28日、医薬品のインターネット通販を手掛けるピルパックを買収すると発表し、競争激化の懸念が広がった。1銘柄でダウ平均を44ドルあまり押し下げた。
ナスダック総合株価指数は58.598ポイント高の7503。683で終えた。処方薬事業への参入が収益を押し上げるとの見方からアマゾンが上昇。マイクロソフトやアルファベット(グーグル)、前日に売り込まれた半導体関連株などが買われた。
セクター別では、電気通信サービスや小売が上昇する一方で食品・生活必需品小売や消費者・サービスが下落した。
個別では、朝方に発表した四半期決算が市場予想を上回る増収増益だった調味料大手のマコーミックが大幅高。四半期決算の発表と同時に通期の業績予想を引き上げたコンサルティングのアクセンチュアも買われた。
一方、買収によるアマゾンの本格的なヘルスケア分野への参入を受けて、ドラッグストアのウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)や薬剤給付管理会社のCVSヘルス(CVS)などが下落。ピルパック買収でアマゾンに競り負けたと伝わったウォルマートも下げた。前日夕に開いた投資家向け説明会で成長戦略を発表したが、踏み込み不足とみられた外食のチポトレ・メキシカン・グリルが急落。最高財務責任者(CFO)の退任を発表したコーヒーチェーンのスターバックスも下げた。
VIX指数は16.85と前日から低下した(前営業日17.91)。
続落して寄り付いたダウ平均・ナスダックがプラス圏に浮上し、S&Pも上昇し、VIX指数は低下した。1-3月期GDP・確報値は前期比+2.0%と改定値の+2.2%から下方修正されたが、反応は限られた。
NYダウ工業株30種(ドル)
24,216.05+98.46
S&P500種
2,716.31+16.68
ナスダック
7,503.683+58.598
米10年債利回り(%)
2.8383 +0.011
米2年債利回り(%)
2.5161 +0.012
NY金(ドル/トロイオンス)
1,251.00-5.10
NY原油(ドル/バレル)
73.33-0.12
円・ドル
110.50 – 110.51 +0.16
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は反発した。9月物は前日比150円高の2万2280円で引け、同日の大取終値を50円上回った。
米中貿易摩擦の激化懸念の薄れから米株とともに買われた。市場の一部には大規模な貿易戦争には発展しないとの楽観的な見方も出ている。
円安進行も支援材料になった。この日の9月物高値は2万2310円、安値は2万2020円
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
22280 ( +50 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
22320 ( +90 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7615.63(-6.06)
FTSE100種総合株価指数は、3日ぶりに小反落した。前日27日の終値に比べ6.06ポイント安の7615.63で引けた。
株価は朝方こそアジア株安や28~29日開催の欧州連合(EU)首脳会議で、貿易摩擦や政治不安が浮き彫りになると懸念さを眺めて売り優勢で始まったが、その後方向感を欠いた。安値圏で推移する時間が長かったが、引けにかけて下げ渋った。
構成銘柄の約7割が下落した。午前に上昇に転じる場面もあったが、午後には再び下落した。
個別では、ゴールドマン・サックスがM&Aの標的リストに加えたソフトウエア開発のマイクロフォーカスが3.7%安と大幅安となった。投資会社のメルローズ・インダストリーズの下げも目立った。
半面、アイルランド製薬大手シャイアーが3.1%高で上昇率トップ。武田薬品工業の株主総会でシャイアー買収反対の株主提案が否決されたことが好感された。安全投資先としてディフェンシブ株が買われ、インペリアル・ブランズなどたばこ株や医薬品株、水道のセバーン・トレントなど公益企業株の値上がりが目立った。ポンド安の恩恵が期待され、グローバルに事業展開する酒類のディアジオも買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12177.23(-171.38)
ドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前日27日と比べて171.38ポイント安の12177.23だった。28~29日開催の欧州連合(EU)首脳会議での議論が行き詰まる懸念が残るなか、欧州各国の株式相場が下落した。ドイツでは、日中を通して徐々に下げ幅が拡大した。
個別では、半導体のインフィニオンテクノロジーズとタイヤのコンチネンタルが大幅安となった。アディダスの下げも目立った。サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会で27日に、アディダス製のユニホームを採用するドイツ・チームが1次リーグで敗退したことが重荷となったとの見方も出ている。
上昇したのは、コメルツ銀行と電力のRWE、ドイツ銀行の3銘柄だけだった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5275.64(-51.56)
フランスの株価指数CAC40の終値が前日に比べて約1%下落した。
