6月29日の米株式相場は続伸した。ダウ工業株30種平均は前日比55ドル36セント(0.2%)高の2万4271ドル41セントで終えた。
NYダウは買い先行で始まった。前日の引け後に発表した2018年3~5月期決算が2桁の増収増益となったナイキが11.1%急騰し、全体の上げをけん引した。
欧州連合(EU)が、移民・難民対応をめぐり、加盟国が自主的に受け入れることなどで合意にこぎ着け、欧州株が上昇したことも追い風となった。
また、原油高を背景にエネルギー株が買われたほか、米連邦準備制度理事会(FRB)のストレステスト(健全性審査)に合格した金融大手にも買いが入り、ダウは午前に一時、293ドル高を付けた。貿易摩擦への懸念がくすぶり、ダウ平均は取引終盤になって急速に伸び悩んだ。米政権は来週7月6日から、中国製品への追加関税の第1弾を発動する。7月4日に独立記念日の祝日を挟む来週は休暇を取る市場参加者も多く、取引終了にかけて利益確定売りが優勢になった。
月間では144ドル安となり、3カ月ぶりに下げて終えた。
4~6月期のダウ平均は前の四半期末と比べて168ドル高で終えた。一方、17年末からは447ドル下げた。
ナスダック総合株価指数は、前日比6.621ポイント(0.1%)高の7510.304で終えた。
セクター別では、耐久消費財・アパレルやエネルギーが上昇する一方で自動車・自動車部品や電気通信サービスが下落した。
個別では、ウェルズファーゴ(WFC)やシティグループ(C)など大手金融銘柄に大規模な株主還元策を好感した買いが広がった。
バイオ医薬のバーテックス・ファーマシューティカルズはカナダ保健省から難病治療薬の承認を受けたと前日夕に発表し、急伸した。同業のセルジーンは骨髄疾患の臨床試験で良好な結果が出たと発表したのを手掛かりに買われた。
一方で、アルコール飲料のコンステレーション・ブランズ(STZ)は決算内容が嫌気され、下落した。ゼネラル・モーターズ(GM)やフォードなど自動車株も下げた。米政権が自動車輸入への追加関税を検討していることについて、GMは競争力が低下し人員削減などにつながりかねないと懸念を示した。
VIX指数は16.09と前日から低下した(前営業日16.85)。
米貿易摩擦の激化懸念を背景とした動きがいったん落ち着き、ユーロ圏政治リスクが後退し、米株は続伸。ダウ平均が一時250ドル超高まで上昇しが、引けにかけて上げ幅を大きく縮小した。
NYダウ工業株30種(ドル)
24,271.41+55.36
S&P500種
2,718.37+2.06
ナスダック
7,510.304+6.621
米10年債利回り(%)
2.8656 +0.019
米2年債利回り(%)
2.5323 +0.012
NY金(ドル/トロイオンス)
1,254.50+3.50
NY原油(ドル/バレル)
74.25+0.80
円・ドル
110.69 – 110.70+0.35
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は反落した。9月物は前日比55円安の2万2225円で終え、大阪取引所の終値を65円下回った。
米企業の好調な決算や欧州株高を手がかりに米株式とともに買いが先行した。取引終了にかけては米中貿易摩擦への根強い懸念を背景に米株式相場が上げ幅を縮め、日経平均先物も下げに転じた。
9月物の安値は2万2125円、高値は2万2335円.
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
22225 ( +15 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
22265 ( +55 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数は前日28日の終値に比べ21.30ポイント高の7636.93で引けた。
米国による貿易戦争への懸念が若干和らぎ、反発した。投資家心理が改善し、欧州の主な株価指数は軒並み上げた。
英国株も時価総額の大きい鉱業株や医薬品株を中心に幅広い銘柄が買われ、構成銘柄の約7割が上げた。もっとも、引けにかけて石油株などに利益確定の売りが出て、上げ幅を縮めた。
個別銘柄では、上昇率トップは英ソフトウエア会社マイクロフォーカスの3.9%高。前日は下落率トップで、変動幅が大きくなっている。
航空株も買われ、航空機エンジンのロールス・ロイスと航空・防衛大手のBAEシステムズはそれぞれ2%以上、上昇した。ソフトウエア開発のマイクロフォーカスの上げも目立った。
半面、WTOが豪州のたばこの警告表示規制を正当と認定したことで、たばこ大手ブリティッシュ・アメリカン・タバコが1.2%安で軟調。クルーズのカーニバルやレジャー・外食のウィットブレッドなどレジャー関連株が軟調だった。石油株も全銘柄が下落に転じて引けた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数(DAX)は大幅反発した。終値は前日28日と比べて128.77ポイント高の12306.00だった。
欧州連合(EU)首脳会議で移民・難民問題への対応策で合意したことを好感した買いで構成銘柄の約9割が上昇した。
個別では、素材メーカーのコベストロと半導体のインフィニオンテクノロジーズが高かった。一方で自動車関連株が軟調だった
■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)5,323.53+47.89
フランスの株価指数CAC40は1%近く上昇した。
