NYダウ 134ドル安、貿易摩擦への懸念と利益確定売り

  
19日のNYダウ工業株30種平均が6営業日ぶりに反落し、前日比134ドル79セント安の2万5064ドル50セントで終えた。自動車関税を巡る米欧の貿易摩擦への警戒感が相場の重荷となった。前日まで5日続伸していたため、目先の利益を確定する目的の売りも出やすかった。
 
トランプ米大統領は来週、欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長などと会談する。18日には自動車の交易条件の改善に向けた交渉が進まなければ「大規模な報復」も辞さないとの強硬姿勢を示した。これに対し、EUで通商政策を担当するマルムストローム欧州委員は19日、米が自動車・同部品に関税を発動した場合、報復関税の「準備をしている」と表明した。
 
米主要企業の4~6月期決算の発表が佳境に入る中、ダウ構成銘柄であるクレジットカード大手アメリカン・エキスプレス(アメックス)と保険大手トラベラーズの業績に対する失望売りが膨らみ、相場を下押した。2銘柄でダウ平均を50ドルあまり押し下げた。
 
午後にトランプ大統領が米連邦準備理事会(FRB)の利上げについて「好ましくない」と述べたことが伝わった。利上げペースが鈍化するとの思惑が浮上し、相場は下げ渋る場面があった。ただ中央銀行の独立性が脅かされるとの警戒感が市場心理を冷やし、引けにかけては売りの勢いが強まった。
 
前日夕の決算が市場予想を上回ったIBMが上げ、ダウ平均を支えた。メディア大手コムキャストが21世紀フォックスのコンテンツ事業の買収提案を取り下げると発表し、フォックスの事業買収が確実になった映画・娯楽のウォルト・ディズニーも上げた。
 
ナスダック総合株価指数は続落し、同29.148ポイント安の7825.296で終えた。過去最高値圏で推移しており、利益確定の売りが出た。
 
セクター別では、不動産や公益事業が上昇する一方で各種金融や保険が下落した。
 
個別では、金属大手のアルコア(AA)は、調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の通期見通しを下方修正し急落した。オークションサイトのイーベイ(EBAY)は、業績見通しが予想を下振れ大幅下落した。トランプ大統領の連銀批判を受けて長期金利が低下し、バンク・オブ・アメリカ(BAC)やシティグループ(C)など金融各社も売られた。
 
一方で、ITサービスのIBM(IBM)は、決算内容が好感され上昇。ケーブルテレビのコムキャスト(CMCSA)は、21世紀フォックス(FOX)の一部事業の買収から撤退し買われた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
25,064.50-134.79
S&P500種
2,804.49-11.13
ナスダック
7,825.296-29.148
 
米10年債利回り(%)
2.838 -0.037
米2年債利回り(%)
2.5908 -0.02
 
NY金(ドル/トロイオンス)
1,224.00-3.90   
NY原油(ドル/バレル)
69.40-0.06
円・ドル
112.44 – 112.45-0.52

 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は反落した。9月物は前日比155円安の2万2705円で引け、同日の大取終値を85円下回った。
欧米の貿易摩擦への警戒感や、中国景気の先行き懸念を背景に売りが強まった。この日にトランプ米大統領が米経済テレビ番組のインタビューでドル高けん制発言を行い、円が反発したことも売り材料になった。
9月物安値は2万2660円、高値は2万2900円。
 
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
22705 ( -85 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
22725 ( -65 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7683.97(+7.69)
FTSE100種総合株価指数は、英通貨ポンド安が相場を後押しし、小幅ながら3日続伸した。前日18日の終値に比べ7.69ポイント高の7683.97で引けた。
 
朝方に発表された6月の英小売売上高は市場予想を下回ったものの、それを手掛かりとしたポンド安を受け、株高が進んだ。上げ一服後はもみ合いとなった。
構成銘柄の約6割が下落したものの石油株などの大型株が上昇し、指数をけん引した。通貨安の恩恵を受けやすい多国籍企業が上昇する一方で、主力の鉱業株に売りが広がり、引けにかけて上げ幅を縮小した。
 
個別銘柄では、英・蘭日用品・食品大手ユニリーバが3.0%高で上昇率トップ。飲料のコカ・コーラ・ヘレニック・ボトリング、酒類のディアジオや総合ヘルスケアのNMCヘルスの上げも目立った。バラット・ディベロップメンツなど住宅建設株も買われた。世界最大級の航空ショーで受注合戦が伝えられ、英航空機エンジン製造大手ロールス・ロイス(0.7%高)や英航空・防衛大手BAEシステムズ(0.3%高)などの航空関連株が買われた。
 
半面、英放送局スカイは1.5%安と軟調。米中貿易戦争に絡んで、鉱業大手アングロ・アメリカンが4.0%安と軟調。英広告大手WPPは2.9%安とさえず建機レンタルのアシュテッド・グループ、投資会社メルローズ・インダストリーズも安く引けた。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12686.29(-79.65)
ドイツ株式指数(DAX)は6営業日ぶりに反落した。終値は前日18日と比べて79.65ポイント安の12686.29だった。
 
上昇基調が続いていたことから、ひとまず利益を確定する目的の売りが出たほか、四半期決算を発表したITのSAPが大幅下落し、株価指数を押し下げた。
 
個別銘柄では、SAPは第2四半期決算でライセンスの伸びが期待に届かなかったことが響き、売られた。アナリストが目標株価を引き下げたタイヤのコンチネンタルや、鉄鋼のティッセン・クルップも安かった。
半面、ドイツポストが高く引けた。自動車のダイムラーとフォルクスワーゲンも上げた。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5417.07(-30.37)
フランスの株価指数CAC40は下落した。

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