23日のNYダウ工業株30種平均は、米主要企業の決算発表が今週ピークを迎える中、様子見ムードが広がり、小幅続落した。
前週末比13ドル83セント安の2万5044ドル29セントで終えた。
米国とイランの対立激化で地政学リスクが強まったほか、中国および欧州連合(EU)との貿易摩擦問題も先行き不透明感が根強く、売りが先行した。
長期金利の上昇で金融関連株が選好され、下げ場を縮小したものの、今週に発表が予定される複数の主要企業決算を見極めたいとの思惑から、相場を押し上げるには至らなかった。
ダウ平均の構成銘柄では工業製品・事務用品のスリーエムや航空機・機械大手ユナイテッド・テクノロジーズ、航空機のボーイングなど海外売上比率が大きい銘柄への売りが目立った。米中や米欧の貿易摩擦が激化すれば悪影響を受けるとみなされたようだ。
一方、日銀が現行の金融緩和策の修正を検討していると伝わり、米長期金利が大幅に上昇。利ざや拡大の思惑からJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスなど金融株が上昇した。
今週はハイテク大手を中心に米企業の4~6月期決算発表が佳境を迎える。結果を見極めたい投資家が多く、株価は前週末終値を挟んで小動きとなる場面も多かった。
ナスダック総合株価指数は4営業日ぶりに反発し、前週末比21.675ポイント高の7841.873で終了した。引け後に四半期決算を発表したアルファベット(グーグル)などハイテク企業が決算期待で上昇した。一方、米中貿易摩擦の影響を受けるとの見方から、マイクロン・テクノロジーなど半導体株は売りが優勢だった。
セクター別では、銀行や運輸が上昇する一方で資本財や食品・飲料・タバコが下落した。
個別では、石油サービスのハリバートン(HAL)は、営業利益が予想に届かず、下落。電気自動車のテスラ(TSLA)は、サプライヤー各社に過去に支払った代金の一部返金を要請したことが嫌気され軟調推移。自動車大手のフィアット・クライスラー(FCAU)は、CEOの退任が報じられ売られた。
一方で、玩具メーカーのハズブロ(HAS)は、決算内容が予想を上振れ大幅上昇した。決済サービスのペイパル(PYPL)は、ヘッジファンドのサード・ポイントが同社株を取得したと報じられ堅調推移した。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,044.29-13.83
S&P500種2,806.98+5.15
ナスダック
7,841.873+21.675
米10年債利回り(%)
2.9597 +0.067
米2年債利回り(%)
2.6329 +0.034
NY金(ドル/トロイオンス)
1,225.60-5.50
NY原油(ドル/バレル)
67.86-0.03
円・ドル
111.33 – 111.34+0.37
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は下落した。
9月物は前週末比65円安の2万2460円で引け、同日の大取終値を80円上回った。米国発の貿易摩擦による景気リスクが警戒され、米株とともに売られた。
トランプ米大統領は中国や欧州との貿易交渉に強硬姿勢を保っている。日銀が金融緩和政策の修正を検討するとの報道を受け円高が進んだことも相場を下押した。
この日の9月物安値は2万2320円、高値は2万2540円。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
22460 ( +80 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
22485 ( +105 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7655.79(-23.00)
FTSE100種総合株価指数は、米国発の貿易摩擦をめぐる懸念がくすぶり、株価は続落した。前週末20日の終値に比べ23.00ポイント安の7655.79で引けた。
この日のFT指数は安寄り後、下げ幅を徐々に縮小する展開となった。構成銘柄の約8割が下落した。
夏季休暇シーズンを迎え市場は閑散とするなか、終日低調な取引だった。25日に米国と欧州連合(EU)首脳の会談を控えた様子見ムードで取引を手控える向きも多かったようだ。時価総額の大きいたばこ株や主力の鉱業株が売られ、指数を押し下げた。
個別銘柄では、英住宅大手テイラー・ウィンピーが4.0%安、バラット・ディベロップメンツとパーシモンはそれぞれ約3%安と、大幅下落した。英ソフトウエア会社マイクロフォーカスは2.1%安、英資産運用会社ハーグリーブズ・ランズダウンは1.9%安。
航空株も売りに押された。四半期の減益を発表したアイルランドの格安航空会社(LCC)のライアンエアーが大幅下落したことを嫌気した売りが出た。保険株をはじめ金融株も軟調だった。
半面、前週末に引き続きネット専業スーパーのオカドが買われ、5%強高で引けた。外食デリバリーサービスのジャスト・イートは1.8%高と好調だった。衣料小売りと食品事業のアソシエーテッド・ブリティッシュ・フーズも上げた。広告のWPPグループが高かった。医薬品のグラクソ・スミスクラインが上昇に転じて引けた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12548.57(-12.85)
ドイツ株式指数(DAX)は3日続落した。終値は前週末20日と比べて12.85ポイント安の12548.57だった。
米欧の貿易摩擦が警戒されるなか、欧州株には売りが出やすかった。
個別銘柄では、アナリストが目標株価を引き下げた航空のルフトハンザが安かった。ドイツポストとハイデルベルクセメントの下げも目立った。
一方、前週末に大幅下落した鉄鋼のティッセン・クルップが高く引けた。欧州の長期金利上昇を背景に銀行株も上昇した。自動車株は買い戻された。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5378.25(-20.07)
