ダウ反発し52ドル高、米利上げ加速の警戒和らぐ

23日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比52ドル40セント高の2万4886ドル81セントで終えた。
 
米中の貿易摩擦解消に向けた閣僚級協議の先行き不透明感を嫌気し、売り先行でスタート。トランプ大統領は22日、前週開催された協議について「満足していない」と発言。さらに23日朝にはツイッターへの投稿で「これまでの協議と異なる仕組みが必要だ。完了は困難で、その後の結果を検証できない」と懐疑的な見方を示したことから、ダウの下げ幅は一時160ドルを超えた。
 
その後、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受けて利上げ加速の思惑が後退し、米株に買い安心感が広がった。議事要旨の公表前は米中の貿易交渉の不透明感から安く推移していたが、取引終盤にかけて上昇に転じた。
 
米連邦準備理事会(FRB)は米東部時間午後2時、5月のFOMC議事要旨を公表した。一部の参加者は、物価上昇率が目標とする2%を一時的に超えても政策目標と矛盾しないと主張していた。物価上昇圧力の高まりが必ずしも利上げ加速につながらないとの見方が広がり、米株は買い優勢に転じた。
 
ナスダック総合株価指数は反発し、前日比47.500ポイント高い7425.955で終えた。金利が低下し、ハイテク株の相対的な割高感が後退した。アマゾン・ドット・コムやフェイスブック、ネットフリックスの上昇が目立った。
 
セクター別では、小売やソフトウェア・サービスが上昇する一方でメディアや自動車・自動車部品が下落した。
 
 
個別では、宝飾品のティファニー(TIF)は、既存売上高が予想を大幅に上振れたのと10億ドルの自社株買いを発表し23%高と急騰。アパレルのラルフローレン(RL)やホームセンターのロウズ(LOW)は、決算内容が好感され大幅上昇した。
 
一方、ディスカウントストアのターゲット(TGT)が下落。朝方発表した四半期決算で特別項目を除いた1株利益が市場予想に届かなかった。ケーブルテレビのコムキャスト(CMCSA)は、メディアのウォルト・ディズニー(DIS)による21世紀フォックス(FOX)の映画・テレビ事業の買収の対抗案を正式に公表し、財務負担を懸念する売りが広がった。
IT大手ヒューレット・パッカード・エンタープライズは最高経営責任者(CEO)が年後半の業績に慎重姿勢を示したと伝わり急落した。
ゼネラル・エレクトリック(GE)は23日の会合で、18年12月期通期のエネルギー関連事業の利益が横ばいにとどまるとの見通しを公表し、売られた。
 
 
VIX指数は12.58と前日から低下した(前営業日13.22)。米中通商問題に対する楽観ムードの後退や米朝首脳会談の不透明感でリスクオフムードが高まり、米株は売りが先行し、VIX指数は一時14.60まで上昇した。
ただ、引けにかけて米株がプラス圏に浮上し、VIX指数も前日比で低下した。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録の内容にサプライズはなく、反応は限られた。
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,886.81+52.40
S&P500種
2,733.29+8.85
ナスダック
7,425.955+47.500
 
米10年債利回り(%)
2.9935 -0.071
米2年債利回り(%)
2.5322 -0.038
 
NY金(ドル/トロイオンス)
1,289.60-2.40   
NY原油(ドル/バレル)
71.83-0.37
円・ドル
109.94 – 109.95-0.05

 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は続落した。6月物は前日比315円安の2万2620円で引け、同日の大取終値を100円下回った。
米朝首脳会談や米中通商交渉の不透明感を背景に円高が進み、売りが優勢になった。
米株の反発につれ、引けにかけて下げ渋った。
この日の6月物安値は2万2475円、高値は2万2945円。
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
22620 ( -100 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
22620 ( -100 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7788.44(-89.01)
FTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。最高値を更新した前日22日の終値に比べ89.01ポイント安の7788.44で引けた。構成銘柄の約8割が下落した。
米中通商交渉や米朝首脳会談の開催をめぐる不透明感から、世界各国株式相場が下落し、これに連動した。原油と銅の価格安を背景に石油株と鉱業株が売られ、株価指数に大きく影響した。
 
個別銘柄では、石油のロイヤル・ダッチ・シェルとBPの下げが大きくなった。鉱業株も全面安だった。なかでも、アングロ・アメリカンは5%安と目立った。航空株も売られ、インターナショナル・エアラインズ・グループは、アナリストが投資判断を引き下げたことなどが売り材料となった。
 
半面、小売りのマークス・アンド・スペンサー(M&S)は5%超上昇した。通期決算で2年連続の減益となったものの、利益が市場予想を上回ったほか、配当の据え置きを発表したことが好感され買われた。
総合ヘルスケアのNMCヘルスとたばこのインペリアル・ブランズ、日用品のレキットベンキーザーの上げも目立った。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12976.84(-193.08)
ドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前日22日と比べて193.08ポイント安の12976.84だった。米中通商交渉や米朝首脳会談の開催をめぐる不透明感から世界各国の株式相場が下落し、これに連動した。DAX構成銘柄では1銘柄を除くすべての銘柄が下落した。
 
航空のルフトハンザと工業用ガスのリンデ、自動車のフォルクスワーゲンの下げが目立った。上昇したのは、アナリストが株価目標を引き上げたITのSAPだけだった。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5565.85(-74.25)
フランスの株価指数CAC40の終値が前日に比べて1%以上下がった。
 

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