3連休明けのNY株式市場は主要株価3指数が軒並み下落。
米中も米朝も関係なしに「イタリア政局の状況がユーロ圏の安定を脅かすとの懸念」が台頭した。
安全資産の債券が買われ銀行セクターが軟調だった。
市場は一つのことか考えられないという典型だろう。
原油価格の下落からエネルギーセクターも軟調。
しかしダウ輸送株指数まで大幅安となっているのが目につく。
2年債と10年債の利回りは4日連続で低下し7週間ぶりの低水準。
10年債利回は一時2.759%に低下。
2年債利回りは2.311%まで低下。
30年債利回りは2.954%まで低下し2月1日以来の水準を付けた。
「状況がどれだけ悪くなるか次第で、米10年債が2.50%になることも排除できない」。
そんな見方まで登場した。
コンファレンス・ボードの消費者信頼感指数は128.0で前月の125.6から改善したが影響薄。
イタリア政局の混乱受けてFRBは年内はあと3回の利上げを実施するとの予想は後退。
FRBが年末までにFF金利誘導目標を2.25~2.50%に引き上げる確率は13%。
前週25日が32%、1週間前は51%だった。
ドルは対ユーロで10カ月ぶりの高値を更新。
ドル円は約1.2%安の108.10円と5週間ぶりの安値を付けた。
「イタリア株とイタリア国債が売られ、ドイツ国債が買われた。
債券が買われたのでリスクオフで株が売られた」。
そんな単純な解釈が多くのデコレージョンで修飾されるから見えにくくなる。
VIX(恐怖)指数は17.02%。
日経平均は続落。
TOPIXは7連敗。
7連敗は2016年9月7日~15日以来。
「あの時は7連敗で止まって11月にかけて上昇相場に転じた。
しかし今回は懐疑の中で揺れ揺られる相場」という声が聞こえる。
8日続落となると2012年7月以来となる。
当時のTOPIXは700ポイント台だったことなど記憶の彼方だ。
「日経平均の短期的な下値のメドは13週線(22012円)」という見方もある。
26週線(22363円)を下抜けた以上はそうならざるを得ないだろう。
その先は52週線(21502円)では少し芸がなさ過ぎようか。
月足陽線基準22508円は少し遠のいてしまった。
24日に勝手雲の上限(22495円)を割り込み25日は下限(22333円)で踏みとどまった。
しかし29日には下限(22413円)を割れこんだ。
4月4日以来のこととなる。この先は6月7日に黒くねじれているのが悩ましいところ。
市場からは「日経ダブルインバース(1357)の5日線と25日線がゴールデンクロス。
これでは日経平均株価もTOPIXも下降トレンド」という声が聞こえる。
日経平均の25日線からのかい離はマイナス0.8%。
騰落レシオは99.98%と低下。
空売り比率は44.0%と6日連続の40%超。
3月23日の50%に近づいてきた。
日経平均採用銘柄のEPSは1664円でPERは13.43倍。
21632円で13倍割れとなる。
シカゴ225先物終値は大証日中比260円安の22040円。
21915円まで下落した場面もあった。
今年4勝15敗の火曜日。
TOPIXの8連敗でアク抜けと行きたいところだ。
気学では「高下しても結局安い日」。
5月25日現在の信用売残は9億円増の8242億円。
信用買残は1158億円増の3兆4245億円。
信用倍率は4.15倍。
昨日の日経長官では「セルインメイ」の格言に「ラマダン」。
5月16日からスタートしたラマダン。
前週末までのTOPIXの下落率は1.9%。
2000年以降のラマダン期間中のTOPIXは上げ7回、下げ11回と負け越し。
2000年以降の平均騰落率は約3%の下落。
今年もラマダンは訪れている。
そしてラマダン明けは6月14日だ。
ちなみにイスラムのヒジュラ暦の新年は9月11日(火)。
国内のマクロ面では繊細に数字を追求するのが市場関係者。
針の先でつついたように決算短信や日銀短観などを読み尽くし比類ないほどの分析をする。
ところが事が海外のことになると一気に情緒的になる傾向は否定できない。
例えばイタリアの政治不安が台頭してきた。
「イタリアはEUで第3位の大国」という言葉は登場する。
では、具体的にはどの程度なのかという指摘は殆ど無い。
国内では繊細に、海外は情緒的モード。
アメリカのGDPが2000兆円を超え北朝鮮のGDPは2兆円程度。
そんな比較さえ見当たらないから不思議なものだ。
見えにくい海外案件こそ抽象論ではなく具体的数字でイメージしなければならないだろう。
【世界の名目GDPランキング(2017年)】
1位 アメリカ 19.39兆ドル
2位 中国 12.01兆ドル
3位 日本 4.87兆ドル
4位 ドイツ 3.68兆ドル
5位 イギリス 2.62兆ドル
6位 インド 2.61兆ドル
7位 フランス 2.58兆ドル
8位 ブラジル 2.05兆ドル
9位 イタリア 1.93兆ドル
10位 カナダ 1.65兆ドル
11位 韓国 1.53兆ドル
12位 ロシア 1.52兆ドル
13位 豪州 1.37兆ドル
14位 スペイン 1.31兆ドル
15位 メキシコ 1.14兆ドル
【TOPIX続落局面とその後】
続落日数 続落最終日 1週間後 3週間後 5週間後
7日 2013年10月7日 4.3% 4.0% 4.9%
7日 2014年4月14日 3.4% 2.4% 3.2%
6日 2015年8月25日 3.2% 2.1% 0.9%
6日 2016年1月12日 ▲0.8% 3.6% ▲8.5%
6日 2016年5月6日 1.7% 4.0% 2.5%
7日 2016年9月15日 2.7% 4.2% 5.9%
「TOPIXの8日以上の続落場面は2012年7月の9日続伸まで遡らなければならない。
アベノミクス開始以前のことで、象徴的意味からは7日続落がアベノミクス相場の限界」。
そんな声も聞こえる。
ちなみに東証マザーズ指数、日経ジャスダック平均は昨日まで5日続落。
東証2部指数は4日続落。
NYダウは391ドル安の24361ドルと3日続落。
NASDAQは37ポイント安の7396ポイントと続落。
S&P500は31ポイント安の2689ポイントと3日続落。
ダウ輸送株指数は144ポイント安10755ポイント。
3市場の売買高は75.8億株と増加。
CME円建ては大証比260円安の22040円。
ドル建ては大証比260ポイント安の22040ポイント。
225先物大証夜間取引は日中比280円安の22020円。
ドル円は108.65円。
10年国債利回りは2.768%。
◇━━━ カタリスト━━━◇
ランドコンピュータ(3924)・・・動兆。
ランドコンピュータに注目する。
同社は行う独立系SIで金融系に強み。
銀行向け好調。
クラウド型販売管理システムが拡大基調。
本日から東証1部。
(1440円)。
(兜町カタリスト櫻井)
