NY株式市場は急反発。
イタリアの政局混迷に対する警戒感は失速。
原油上昇でエネルギー関連セクターが堅調だった。
「前日の売りは行き過ぎだったようだ」という後講釈も聞こえる。
ADP全米雇用レポートで民間部門雇用者数は17.8万人増で着地。
第1四半期GDP改定値は年率換算で前期比2.2%増で着地。
速報値の2.3%増からやや下方修正となった。
小型株で構成されるラッセル2000指数は過去最高値を更新。
政府がEUへの鉄鋼・アルミに対する輸入関税適用計画を発表するとの報道から引け後の鉄鋼やアルミ株は上昇。
VIX(恐怖)指数は14.94%。
VXV(3ヶ月先の変動)は16.00とそれぞれ低下した。
債券市場は利回りは小幅に上昇し平穏な動き。
イタリア情勢の解釈の軟化を受けて買い戻し中心にユーロは急反発。
もっとも「イタリアのユーロ圏離脱懸念は後退した。
しかし打開に向けた道のりはまだまだ」と言う声もある。
ドル円は108円台で動意薄だった。
日経平均は339円安と続落。
市場はイタリアの政情不安を煽り立てたが、始値22051円。
終値22018円。
その差は約30円。
ローソク足では下ヒゲをつけた実体の短い陰線。
「イタリアショックというほどの値動きではない」という見方だ。
値上がり292銘柄(前日507銘柄)、値下がり1760銘柄(前日1499銘柄)。
新高値15銘柄(前日40銘柄)新安値299銘柄(前日164銘柄)。
新安値は昨年4月17日の400銘柄以来約1年1ヶ月ぶりの多さとなった。
25日線(22542円)を下回り2.3%のマイナスかい離。
26週線(22350円)を下回ったことは図柄的には良くない。
救いは75日線(21920円)が上向き始めたことだろう。
昨日の安値も21931円。
シカゴ225先物安値も21915円だったから一応のメドだ。
ただTOPIXは200日移動平均線(1745P)を割り込んでおり、こちらが実感だろう。
2012年7月以来の歴史的8日続落だ
。騰落レシオは94.24%。松井証券信用評価損益率速報で売り方▲10.828%。
買い方▲10.347%。
マザーズ銘柄ネットストック信用評価損益率で売り方▲16.09%。
買い方▲17.17%。
いずれも拮抗してきた。
Quick調査の5月25日時点の信用評価損率はマイナス9.5%と4週ぶりの悪化。
空売り比率は44.1%と7日連続40%超。
裁定買い残は109億円減(7週ぶりの減少)で2兆6786億円。
裁定売り残は269億円増の6780億円。
シカゴ225先物終値は大証日中比225円高の22255円。
昨日空けたマド(22240円)は埋めてきた。
気学では「関門注意日にして、後場仕成りの急変をみる」。
大引けのMSCIに絡んだ商いに注意ということだろうか。
因みにMSCI標準指数の入れ替えで新規追加はサイバー(4751)、小林薬(4967)、
SGHD(9143)、東セン(9439)。
除外は八十二銀(8359)、九州FG(7180)、ミクシィ(2121)。
加えて持ち合い株の評価変更などで日本株からの資金流出は約3000億円との観測だ。
「記録は気にし始めると途絶える」というマーフィーの法則のような法則。
先週は「日経平均の8週続伸」あるいは「3月20日以降3日続落なし」。
これは気にし始めた途端に途絶えた。
昨日は「TOPIXの8日続落」。
遡って調べる市場関係者が増えたら途絶えそうな気配。
「気になる」あるいは「気にする」ことは重要だ。
しかし気になり始めるとそれは拡散のようになり拡散されると収束するもの。
人間の思考には2つの側面があるという。
1つは既知の情報から論理的に思考や推論を進めていき、唯一の正解に正しくそして早く到達する。
これが収束的思考。
もう1つは既知の情報から様々に考えを拡散させ新たな物を生み出していく拡散的思考。
アメリカの心理学者ジョイ・ギルフォードが提唱した概念だ。
「そうだろう」と思ったのは日経朝刊政治面の「海外投資家、政治を注視」の記事。
「マーケットは世の中の全ての事象や現象を映し出す鏡だ、と言われる。
イタリア政局の混迷が世界の金融市場を揺らし、米朝首脳会談をめぐるニュースが飛び交い、
日本の政治動向、特に首相の進退に直結する自民党総裁選に関心が集まる」。
格調は高く「経済新聞」らしい分析だ。
登場したのは先週話題になったジェフェリーズのレポート。
「安倍首相の自民党総裁選での3選が難しくなるものの自民党政治は続く」。
このレポートが日本株売りの材料になった可能性があると指摘している。
分析された海外投資家の論法。
内閣支持率急落→解散・総選挙で自民党が負け安倍首相退陣もしくは自民党総裁でなくなる
→アベノミクスの終焉→日銀黒田総裁による異次元緩和終了。
これは海外投資家ならずとも最悪のシナリオだ。
TOPIXの8日続落はアベノミクス初のこと。
だから「イタリアの問題は蒸し返しでもあり下落の主役ではない」と昨日も言った。
「一番の悪材料は骨太の方針原案に来年の消費税10%が明記されたこと」と推理した。
そして、不思議なことに一夜明ければNY株は急反発。
何もなかったのように市場は展開するに違いない。
材料は炙る出して透かして見なければ本質が見えないものだ。
イタリアがダメならアメリカ。
そんな印象なのが「米国でクレジットカードのローン残高が膨張」。
2018年3月末残高は8150億ドル(約88兆円)。
過去最高だった08年12月の水準に迫った。
背景は「景気拡大で消費好調、インターネット通販の普及でカード利用する機会が増えたため」。
ここへきてローンの支払い延滞や貸倒損失も増えているという。
当然、大手金融機関の収益圧迫への懸念も浮上してきている。
支払い延滞や貸倒損失が増えているのは、金利上昇で返済に窮する借り手が増え始めたためとの解釈。
もともとそんな国なのだから・・・。
そういう発想はやはり無理らしい。
NYダウは308ドル高の24667ドルと4日ぶりの反発。
NASDAQは65ポイント高の7462ポイントと3日ぶりの反発。
S&P500は34ポイント高の2724ポイントと4日ぶりの反発。
ダウ輸送株指数は163ポイント高の10918ポイント。
3市場の売買高は75.8億株と増加。
CME円建ては大証比225円高の22255円。
ドル建ては大証比225ポイント高の22255ポイント。
225先物大証夜間取引は日中比230円高の22260円。
ドル円は108.90円。
10年国債利回りは2.856%。
◇━━━ カタリスト━━━◇
DIT(3916)・・・動兆。
DITに注目する。
同社は独立系情報サービス会社。
組み込み開発が車載向けや半導体関連向けに拡大基調。
今年4月にRPAテクノロジーズと業務提携。
RPA(ロボットによる業務自動化)と連携する新ソフトを拡販。
セキュリティソフトは東南アでも今期中発売。
RPAへの過剰な期待を是正するロボットの高度化に取り組んでいる。
RPAの最先端だ。
(兜町カタリスト櫻井)
